俳句例:101句目~
御利益の高値は承知鬼灯市/篠塚しげる
宅配便のコーナー立ちて鬼灯市/森啓子
雨季さなか四万六千日帰依す/石山佇牛
土砂降りの鬼灯市となりにけり/岡島昭二
手をつなぎあゆめり四万六千日/松尾隆信
王の死の午後かと思ふ酸漿市/高山れおな
遠くより鬼灯市を見て過ぐる/池上不二子
青き実は青くともりぬ鬼灯市/片山由美子
鬼灯市の灯をわたりゆく相撲髷/成田ゆう
鬼灯市はたと暗がりありにけり/山田弘子
母子の背四万六千日の夕日くる/中山純子
四万六千日ももいろのはとの足/石田郷子
四万六千日やからだに痣ひとつ/前野雅生
鬼灯市売り家目立つ露地を抜け/森田清司
鬼灯市蒼し伽藍のふところに/山田みづえ
四万六千日婆の財布に紐ついて/館岡沙緻
四万六千日胸突坂をのぼる帰路/中原鈴代
鬼灯市雨久保田先生傘ささず/成瀬櫻桃子
鬼灯市風に鳴るもの靡くもの/五所平之助
四万六千日飢餓絵図の婆靴磨く/黒田杏子
俳句例:121句目~
鬼灯市師を喪ひてより行かず/山田みづえ
ふりかへることあり四万六千日/清水基吉
大香炉の煙にまみれ四万六千日/佐野寿々
七日足らず四万六千日にけふは/山口青邨
ささやかな鬼灯市に行きあはす/飯島晴子
ぬかるみがありて鬼灯市らしや/関口八郎
わざをぎの句碑は鬼灯市を背に/山本歩禅
アリスのごと鬼灯市に紛れたり/浦川聡子
四万六千日赤子に熱きたなごころ/辻美奈子
どぜう屋に四万六千日の流れかな/森田ゆり
ふたごころあり四万六千日の雨/小島千架子
鬼灯市の真ン中に来て雨にあふ/熊木二二三
四万六千日一天雲の無きならひ/水原秋櫻子
四万六千日あとあと熟るる鬼灯は/野沢節子
ぶつかりあふ祷り四万六千日の空/平川雅也
四万六千日子忘れの日を賜らず/山田みづえ
四万六千日小町屋で買ふつけ睫毛/鈴木栄子
四万六千日浄めの雨と濡れもする/澤田冨美
鬼灯市に遭ひし人の名うかび来ず/石田波郷
鬼灯市で袖触れあひしことの縁/樋口玉蹊子
俳句例:141句目~
四万六千日誰が面影とすれちがう/八代敏子
鬼灯市や子規に恋の句あればなあ/松田ひろむ
四万六千日あぐらずわりに六区の猫/上井正司
鬼灯市値切れずにゐて押されけり/橋本美智代
四万六千日の暑さとはなりにけり/久保田万太郎
四万六千日ひよこ鳴かずに売られけり/松下千代
四万六千日太鼓に合はせ子を揺する/岩淵喜代子