患者に関連した俳句の例をまとめました。
患者を含む俳句例
丑の日の輸入蒲焼患者食/大輪昌
患者皆南枕に月を浴ぶ/染谷十蒙
旧盆の仏を飾る一患者/石川桂郎
蝿交む女患者の香の中に/川畑火川
夕蝉や黙して對ふ癌患者/相馬遷子
蜩や子規忌を忘れ患者食/巌谷小波
繭玉や吾を一瞥の老患者/関戸靖子
節分の豆少し添へ患者食/石田波郷
華麗なる金をのぞく老患者/有働亨
病院一の弱虫患者黄水仙/石田波郷
点滴の患者眠れり花の昼/村田抱星
冷奴布目ばかりの患者食/石川桂郎
患者来ず四周稲刈る音きこゆ/遷子
曳売の白桃すでに一患者/巌谷小波
患者食済みし春昼箸洗ふ/高澤良一
患者食相似て蜂の一巡す/中嶋秀子
B棟の患者見下ろす一冬木/高澤良一
木葉髪拾ひ外来患者のわれ/高澤良一
たま~に来る患者や鏡餅/五十嵐播水
天高し煙草を吹かす癌患者/仙田洋子
俳句例:21句目~
女患者に頒けて螢の数が減る/長田等
子ふくべの微風頼みに老患者/岸田稚
室の花駘蕩として患者あり/久米正雄
桃を得て葡萄を望む患者哉/正岡子規
水洟や手遅れ患者叱しつゝ/相馬遷子
病廊に外来患者あふれ梅雨/高澤良一
眼鏡橋阿片患者と春惜しむ/石原八束
年の暮未払患者また病めり/相馬遷子
秋風や頂上ありく癩患者/佐野青陽人
章さげて島より患者十二月/井上杉香
胸板に夜風涼しみゐる患者/高澤良一
メモしたる年越患者回診す/松岡巨籟
脳外科の患者虚ろに冴返る/井口公子
夜泣癖ある子も患者二日灸/森田愛子
菜の窪の苺を寝かす患者食/石川桂郎
中元や小百姓なる一患者/五十嵐播水
踊見る脱柵患者暗がりに/石田あき子
患者皆着膨れ病院狭くする/高澤良一
人参も余さず食ふぞ新患者/高澤良一
患者等に二つ影もつ柏餅/石田あき子
俳句例:41句目~
初夢もなく患者食運ばるゝ/萩原麦草
卒業の日の病棟に在る患者/山口誓子
鈴虫を飼へり万年患者にて/右城暮石
雁来紅微熱患者の吾も燃ゆ/島村利南
夏雲や八十路初めて患者食/松村蒼石
患者食往来の寒さ窓に見て/石川桂郎
風邪患者金を拂へば即他人/相馬遷子
易々と蠅にたかられ一患者/高澤良一
春昼や絵も無き皿の患者食/高井北杜
大部屋の患者寝息の朧なる/高澤良一
炎天の一戸一戸の患者訪ふ/瀧澤伊代次
ふつつかな海鼠物云ふ患者食/高澤良一
新入患者として夜濯の端にあり/岸田稚
牢名主めく患者ゐて部屋晩夏/高澤良一
われを呼ぶ患者寒夜の山中に/相馬遷子
花どきのおほかた残す患者食/朝倉和江
牛の貌チブス患者の夢にくる/藤後左右
中元の使患者にまじり来る/五十嵐播水
クリスマス一夜の餐の患者食/細谷喨々
林つづる麦藁帽は試歩患者/石田あき子
俳句例:61句目~
目刺反る天皇の日の患者食/山田ひろむ
生人参噛る患者よ耳朶うすし/坂口子平
癌患者訪ふ汗をもて身を鎧ひ/相馬遷子
一患者ふうふう云ふて扇子風/高澤良一
海荒るる鰤おもへりき患者食/石川桂郎
患者食に夫が焼きたす鮎一尾/影島智子
患者等の花火櫟の空に爆づ/石田あき子
冬銀河患者の一語残りをり/岩永のぶえ
吾につく十年患者老い涼しき/相馬遷子
啓蟄や夕になりて患者増す/瀧澤伊代次
夕冷えに妻が箸執る患者食/下村ひろし
螢見んと女患者について行く/岩田昌寿
患者食こんにやくつづき百千鳥/斎藤玄
一患者黄梅ひらきたるを言ふ/金田咲子
無月なり芒惜しまず患者たち/石田波郷
蟇の貌チブス患者の夢にくる/藤後左右
豆撒けば楽世家めく患者らよ/石田波郷
買初の蜜柑小粒に患者たち/石田あき子
梅雨ふかし鶯を飼ふ老患者/石田あき子
患者には恐き夜が来る虎落笛/藤井啓子
俳句例:81句目~
障子貼るかたへ瀕死の癌患者/相馬遷子
患者より気鬱移りし養花天/築城百々平
患者一人の傅染病棟野分せり/相馬遷子
患者等に五月の冷えの屍室/石田あき子
患者等のわれらが宝庫冷蔵庫/高澤良一
着膨れて財布まさぐる一患者/高澤良一
患者食月見団子も添へられて/楢崎子葉
月追うて祭ごころや患者らは/巌谷小波
節分の小鬼坐れる患者椅子/山田ゆう子
籔からしは偽女郎花患者らよ/巌谷小波
終の葡萄ひと房添へて患者食/石川桂郎
羅に患者付き添ひ過ぎにけり/高澤良一
羞みの汗の真顔が患者拭く/赤城さかえ
盲ひゆく患者の歳暮受くべきや/向野楠葉
クリスマス七寮に満つ患者等に/石田波郷
外来の患者持ち込む咳いろいろ/高澤良一
二の酉へ患者の屋台路地急ぐ/古賀まり子
夕立に濡れたるまゝの患者診る/浦上新樹
室咲やどれも冷めゐる患者食/仲村美智子
春暖炉わが患者らは癒えゆくも/相馬遷子