俳句例:101句目～
どぶろくや村を出ること考へず/多田菊葉
雪うさぎ眼からとびだし濁り酒/和知喜八
どぶろくや鉄砲磨く阿仁マタギ/佐藤牧羊
頬桁の肉暑くなる濁酒かな/長谷川零餘子
風の夜の濁酒ゆすらねばならぬ/池田澄子
奥飛騨のどぶろく祭夜もすがら/鈴木朗月
どぶろくに喉ひくひくと応へけり/鈴木鷹夫
花冷えに似てどぶろくの山の国/大木あまり
どびろくや而も藩儒のなれのはて/日野草城
どぶろくを振れる笑顔も庄助さん/高澤良一
どぶろくや語尾かん高き杣ことば/高橋悦男
壁に吊るどびろくの壺とり下ろし/橋本鶏二
酸つぱくて突き返したる濁り酒/高松早基子
どぶろくや奥の座敷におしらさま/高橋清子
どぶろくの境界発句の天下かな/河東碧梧桐
どびろくは片口を以て呑むべかり/纐纈寒郎
濁酒や酔うて掌をやるぼんのくぼ/石田波郷
どぶろくの上澄み雪は夜に入りて/高澤良一
宵闇のゆたにたゆたににごり酒/正木ゆう子
張る水はどぶろくに似て代田なる/高澤良一
俳句例:121句目～
一壺のどびろくをもて箕を祭る/大橋越央子
どぶろくに灯影小さく乗つてをり/京極杞陽
どぶろくがあると耳打ち杣の宿/伊藤伊邦男
どびろくに破戒の汚名ほしいまま/山上荷亭
生ひ立ちはさして変はらず濁り酒/西山常好
うつばりに夜のきてゐる濁り酒/三田きえ子
貧の鬚伸びて濁酒を酌みにけり/河東碧梧桐
ぷくぷくとどぶろく育つ通し土間/保坂加津夫
どぶろくや獅子舞の貌地を這ひて/森田かずを
どびろくの酔ひにまかせて藁打てる/荒木嵐子
どぶろくに阿吽の膝をつき合はす/北見さとる
どびろくに酔ひたる人を怖れけり/後藤比奈夫
どぶろくにうらうら奴国あたりかな/松澤雅世
どぶろくといふ名の神社はつもみぢ/渋沢渋亭
どぶろくにゑうて身を投ぐ大地あり/森川暁水
うすにごり酒を貴船のしづくとて/後藤比奈夫
交りをかへまじく濁酒酌みにけり/河東碧梧桐
どびろくやゑうておろしゝ尻からげ/阿波野青畝
どびろくに呆けたか玩具に蹴つまづく/成田千空
酔うて泣くことのよろしき濁酒かな/岩谷山梔子
俳句例:141句目～
炉に招じ小屋のどぶろく出して来る/小原菁々子
どぶろくの酔ひ焼鳥ももう翔ぶころ/園田夢蒼花
どびろくやゑうておろしゝ尻からげ/阿波野青畝
