俳句例:101句目～
引く浪の音はかへらず秋の暮/渡邊水巴
鯔納屋の春陰濤の音ばかり/北見さとる
放哉の卯波の音と聞きゐたり/飯島晴子
落椿よろめくほどの濤の音/鍵和田ゆう子
枕かへし冬濤の音ひきよせる/橋本多佳子
向日葵の迷路どこまで波の音/小野恵美子
病めばきこゆ春の襖の波の音/鷲谷七菜子
荒東風にのる波の音父の墓/鍵和田ゆう子
夜の秋のすこし間をおく濤の音/小川鴻翔
永き日やくたびれもせぬ波の音/正岡子規
まひるまの波の音聴く合歓の花/西村和子
いつ散りし白薔薇そらを濤の音/桜井博道
昼顔にひと日けだるき波の音/鈴木真砂女
海に来て浪の音聞く真砂女の忌/後藤綾子
行く年の波の音ともきこゆなり/柏崎要次
門火消えもとのくらさに濤の音/原田青児
波の音いと高く蝿生れけり/久保田万太郎
闇冴えて虚空に聴きし濤の音/鷲谷七菜子
椅子に寝て波のプールは海の音/松浦敬親
桑の実は食べごろ波の音ばかり/高瀬恵子
俳句例:121句目～
波の音たかく元日了りけり/久保田万太郎
短日やにはかに落ちし波の音/久保田万太郎
初鶏やひそかにたかき波の音/久保田万太郎
冬浪の音断つ玻璃に旅寝かな/佐土井智津子
ふるさとの亥の子といへば波の音/木村蕪城
枇杷もぎし山のやせける波の音/木下/慈子
ふるさとに春を風邪寝の波の音/鈴木真砂女
つはぶきの花へうしろの浪の音/鈴木蚊都夫
たまさかに浪の音して夜の雪なり/北原白秋
花ぎぼし句碑と吹かるる波の音/伊藤あかね
浪の音にも馴れ過ぎた衣更へてる/北原白秋
波の音はこぶ風あり秋まつり/久保田万太郎
波の音をりをりひびき震災忌/久保田万太郎
海苔粗朶に潮引ききりし波の音/森田かずを
春風やちよろりちよろりと波の音/正岡子規
さへづりのすとんとやめば波の音/夏井いつき
きさらぎのあけくれ波の音ばかり/鈴木真砂女
波の音やゝたかく蝶うまれけり/久保田万太郎
智恵子碑の残暑とろとろ濤の音/鍵和田ゆう子
山吹の根行く輪波の音たてて/飛鳥田れい無公
俳句例:141句目～
ぱつたりとやんだ浪の音の夜のダリヤだ/北原白秋
林檎をかぢつて、夜、浪の音がしてゐる/北原白秋
浪の音は遠し/あんまにからだ右を左にする/荻原井泉水
要咲く山垣尽きて波の音/藤田れい子「新山暦俳句歳時記」
