亡父に関連した俳句の例をまとめました。
亡父を含む俳句例
内張の銭の暑さや土用干/許六
暁紅や亡き父歩む雪の庭/相馬遷子
亡き父と母の足音露ふめば/井上雪
亡き父の齢の数の蛍火か/橋本榮治
帆走の何処へ亡父青曇る/杉本雷造
亡き父の武蔵十巻曝しけり/田中睦枝
亡父より波郷が恋し竜の玉/北野/登
亡き父の結ひたる垣を繕ひぬ/轡田進
メロン熟る亡き父在さば誕生日/林翔
亡き父の剃刀借りぬ白木槿/福田蓼汀
亡き父の時計を腕に大試験/福家市子
亡き父が来る白梅の虚空蔵/齋藤愼爾
亡き父の背を想ひ出す白絣/佐藤良子
新茶淹れ幽かにありし亡父憶ふ/楸邨
我が影は亡き父の影菊根分/三沢笑児
亡父母へ夫を還しぬ冬の梅/轡田幸子
亡父の夢覚めて懐かし鉦叩/河津紅子
大辞典亡父は桜さくらかな/攝津幸彦
筆硯は亡き父のもの十三夜/大橋敦子
紙払ふ亡父の昔知りたくて/加藤不倒
俳句例:21句目~
赤犬を叱りぬ亡父も西の風/攝津幸彦
雪暗し母のかたへに亡父ゐて/岸田稚
霜柱心経亡父の声も和す/上野さち子
冬日さす五百羅漢に亡父見る/渡部美恵
亡き父の冬帽の羅沙靨もつ/猪俣千代子
梅咲くと亡父の拳滾るなり/藤井真理子
亡き父の寝ぐせくぼみ竹婦人/上木彙葉
梁近き初鶏亡父の世も凍てし/栗生純夫
亡き父の日記四五行小鳥来る/堀口星眠
亡父持ちし征野の札を今流す/栗林坐凡
朝涼の夢に跣の亡父と逢ふ/つじ加代子
亡き父の秋夜濡れたる机拭く/飯田龍太
亡き父の耳たぶ揺るる高菜畑/池上樵人
濁り鮒亡父母も共に潜り行く/永田耕衣
亡き父の蓑で水見や五月雨/石島雉子郎
初鏡ひげ落さねば亡父に似て/井上如風
海鼠腸や亡父の好みの小盃/二階堂英子
亡き父も座りし炉座の榾明り/木村光子
亡き父も母も見えくる霞かな/澤村昭代
亡き父を思へば野菊流れ来る/太田土男
俳句例:41句目~
亡夫より亡父の匂ひ枇杷の花/中嶋秀子
亡父かなし夢の中まで頬被/成田智世子
水馬あとを亡父の渉り行き/鈴木六林男
亡父亡師近辺に在します淑気/池田澄子
二重廻し重し亡父の年辿る/百合山羽公
憩へと亡父のこゑする冬菫/つじ加代子
寂寞と亡父の句栖みぬ松の花/渡辺恭子
亡父亡母深夜衾に入れば見ゆ/高室呉龍
山に向き亡き父の座に夕端居/太田土男
半七も原書も亡父のもの曝す/神谷冬生
亡き父と亡き芍薬の園主かな/京極杞陽
父の日や脚立の脚に亡父の名/長友砂峰
亡き父と帰る梅雨月の暈の下/野澤節子
筒鳥は母亡き父はほととぎす/黒田杏子
母の忌に亡父讃めらる梅の花/永田耕衣
羽抜鶏走す亡き父の声の方/肥田埜勝美
肌色のクレヨン探す亡父との夏/河野薫
蔵座敷亡父の風鈴あり山も/町田しげき
亡き父にさも似て歩む雪の道/相馬遷子
遠母に亡き父に雪降りはじむ/細川加賀
俳句例:61句目~
亡き父にとゞく葉書や西行忌/寺山修司
亡父喜ばん盆提灯がみな灯り/相馬遷子
青き羽根育つ韮畑亡父そこに/寺田京子
青くるみ亡父の時計が抽斗に/寺田京子
骨壺を吊げて亡父来る鵙日和/齋藤愼爾
冬の朝亡父の時計に起こされる/吉田/洋
冬川の底流れゐて亡父泛かぶ/新谷ひろし
冬浪の綺羅の奥より亡父の声/柴田白葉女
初夢のなかに亡父母会しけり/百合山羽公
北へ雪の刈田ひろがり亡父の村/木村敏男
向日葵の光輪亡父はもう死なず/野沢節子
大花野亡き父と行く風と行く/関澄ちとせ
寒風に声かけゆくは亡父ならむ/寺田京子
手毬唄日暮は亡き父恋ふ唄に/加藤知世子
日の芒亡父は托鉢いま何処に/磯貝碧蹄館
日向ぼこ亡き父の在る思ひかな/岩崎照子
朝寒し絽のごとく亡き父はをり/友岡子郷
杖振つて亡き父来るか月の道/上田五千石
梅雨憂しや今日亡き父の誕生日/大橋敦子
蓮華草亡父は雨戸を背負ふらん/攝津幸彦
俳句例:81句目~
温め酒亡父に似て世に後るゝか/細川加賀
湯豆腐に亡父の面差し崩れおり/井上英子
漢籍に亡父のにほひ白牡丹/鍵和田ゆう子
おすましに渣滓や亡父の誕生日/池田澄子
秋霖や軍服ならぬ亡父の像/阿部みどり女
端居して亡き父います蚊遣香/上田五千石
さるすべり亡父と亡母逢う鐘まし/渋谷道
井戸深く亡父母湧けり揚雲雀/河原枇杷男
亡き父が見ゆざわざわと菜種梅雨/中拓夫
亡き父に風のややうごく藤の花/工藤厚子
亡き父のパナマ帽子を冠り見る/浅水明子
落鮎のぬめりを掌にす亡父の郷/村上紀子
麦埃に乗りて亡父母遊ぶらむ/河原枇杷男
亡き父の椅子に母居り盆の月/下田八須子
亡き父の貼りたる障子忌に籠る/岩崎照子
返り花亡き父ばかりほめられて/秋元洋子
遅日かな亡き父に啼く鳩時計/沼尻巳津子
亡父と逢ふ母の旅路や絽の帯を/渡辺恭子
鏝絵描くつもりの鏝と亡父かな/攝津幸彦
亡父の草履母に余れり落葉掃く/吉野義子