地下に関連した俳句の例をまとめました。
地下を含む俳句例
啓蟄や五十米地下に駅/柳澤二重
観梅や地下三尺の火山弾/堀江君子
啓蟄や地下の出口のABC/田口圭
地下工場寒水通ふ管太き/細谷源二
地下工場鋼鉄の階幅広き/細谷源二
満月や地下千丈の瀧の音/鳴戸奈菜
鉦叩水琴窟は地下に鳴る/吉年虹二
予備校の地下談話室九月尽/天谷敦
井戸浚へ地下百尺の土青し/岸霜蔭
地下一尺蟻の卵の旱かな/野村喜舟
春霜や異教の民の地下砦/上田聡子
天なる母地下なる母の枯蓮/齋藤玄
秋霖や新宿長き地下歩廊/石塚友二
地下売場燭煌煌と桜鯛/古賀まり子
地下りに暮行野邊の薄かな/蕪村遺稿
一駅分地下掛歩く無月かな/能村研三
花馬酔木地下にある街思ひけり/林桂
地下駐車出で月涼し銀座裏/加藤隆一
春陰や放射線室地下の奥/織田美奈子
人間の宿泊禁ずと地下余寒/沢木欣一
俳句例:21句目~
地下に温泉が流れて潟に鳰潜る/公鳳
早蕨や地下錯綜の上に立ち/和田悟朗
羊寝し地下一坪も風の香に/小池文子
落葉敷く闇の地下より話声/福田蓼汀
立春の海峡の地下冥く過ぐ/前山松花
冬銀河地下を流るる水の音/志村宗明
ハープひく男の指や地下の夏/皆吉司
凩に追ひ落されて地下のバー/白鳥峻
列柱に水音おぼろ地下宮址/澤田緑生
萩こぼれこの地下をゆく天竜か/林翔
大寒や柱ばかりの地下の駅/松村多美
向から冬の我れくる地下鏡/河野南畦
啓蟄の人に四角な地下出口/辻田克巳
熱燗や反戦を説く地下酒場/尾関乱舌
黒人悲歌地下の酒場へ月の階/宮坂静生
地下の壁/敏感すぎて囁けず/高柳重信
地下出るに街洗はれて十六夜/西村公鳳
地下女将軍へ一切の蝉落つる/川崎展宏
地下工場寒き奥処に歯車あり/細谷源二
黴大事大事に地下のワイン樽/藤田輝枝
俳句例:41句目~
大いなる地下の墓場や蝶二つ/有馬朗人
大阪も梅田の地下の冷しそば/有馬朗人
天明の世が地下にあり鳥雲に/内山芳子
寒夕焼ガソリン地下に充満す/前山松花
春浅き黒人霊歌地下よりす/上田五千石
昼暗き地下にて一人冷酒飲む/清水昇子
月鉾の通り灯が洩る地下工事/岩根冬青
炎帝の待ち伏せにあふ地下出口/原幸子
乗初の洛中洛外地下をゆく/大橋麻沙子
町の端に地下出づ電車寒夕焼/大橋敦子
石筍にはるかなる時地下清水/玉城一香
冬の地下人固まりしまま眠る/金子如泉
冬光に押され炭坑夫は地下ヘ/対馬康子
蝕甚の月下しづもる爆心地/下村ひろし
冴え返る地下に赤き燈強き酒/成田千空
神の旅どこまで地下に水の音/杉野一博
窓の景子になく暑き地下電車/大橋敦子
絵本抱き地下より帰る大都会/対馬康子
薬屋の地下の怪談かきつばた/桑原三郎
蟻出づる地下迷宮の装衣とも/橋本榮治
俳句例:61句目~
豆の花白ばかり胸に不毛の地/下村槐太
赤い口ひらひら地下の語り継ぎ/穴井太
うぐひすや坑より暗き地下御堂/田村了咲
曼珠沙華地下に血脈あるごとし/福田蓼汀
地下電車地へ出て赤し妻へ初日/香西照雄
梅雨さとき葭党地下の日の森に/古沢太穂
地下蔵にワインの眠る良夜かな/後藤浩子
地下宮の闇が口あき紅牡丹/鍵和田ゆう子
わが咳の谺/始発の地下ホーム/中道量子
地下の人さゝげていでぬ初蹴鞠/田中王城
蟻地獄この地下黒部本流ありし/福田蓼汀
鈴虫のひるも鈴振る地下茶房/福島富美子
地下深く街ありホットウイスキー/小島健
春筍の地下一尺にあらんとす/相生垣瓜人
地下ばかり歩きて疲る花のあと/西村公鳳
地下を出て地下より暗し秋の暮/藤田湘子
人間蒸発紙の桜が地下にあふれ/寺井谷子
梅雨寒の地下に拝がむ涅槃像/大久保太市
極月の背骨ゆるめる地下理髪/大西やすし
初晴や地下より出でし盲導犬/漆崎とし子
俳句例:81句目~
地下出でし電車滂沱の梅雨の中/大橋敦子
歳の市を抜け厚肉を地下にたぶ/高井北杜
歳晩の灯や地上より地下に混み/川村紫陽
竜胆を濃く束ねをり地下売場/猪俣千代子
手品師の指いきいきと地下の街/西東三鬼
地下茶房夢の眼に追われる怒り/鳴戸奈菜
秋の蜂とまる洞あり地下酒場/小長井和子
雲海やホテルの地下にバスの駅/澤田緑生
髪壺の幾百地下の梅雨いきれ/加藤知世子
どこまでも地下なり雪の解ける街/対馬康子
りら冷や旧姓呼ばれる地下茶房/明才地禮子
何の風か湧く電流あおい地下画廊/伊丹公子
冬夕焼沁み入る地下の茂吉かな/堀井春一郎
啓蟄やサラリーマンは地下を出づ/岩崎照子
啓蟄や地上も地下もキック/オフ/吉原文音
土用蜆地下の売場を濡らしけり/蓬田紀枝子
梅雨の地下笑ふ吾ゐて恐ろしき/岩淵喜代子
地下深く深くなる貝つんぼの海/八木三日女
地下街を地下に落葉の街を行く/金箱戈止夫
クリスマス愚者の楽園地下にあり/福田蓼汀