俳句例:101句目~
螢籠霧吹くことを愛として/山口波津女
螢籠飛ぶ火もありて光ること/鈴木花蓑
晩涼やともらぬものに螢籠/鈴木真砂女
蛍籠ともりて草の青かりき/副島いみ子
病める子の夜は眠るなる螢籠/中村汀女
螢籠さげて母子の道を行く/壷井/さえ子
螢籠さびしきままに眠るべし/鈴木真砂女
目覚むれば夜またありぬ蛍籠/五所平之助
螢籠ともりそむれば見ゆるなり/後藤夜半
螢籠よりもさびしく夜明けたり/行方克巳
螢籠よるひる音のなきままに/山口波津女
あぶな絵にいやにちひさき螢籠/中原道夫
濡るる夜や風立てば炎え螢籠/鷲谷七菜子
蛍籠わが寝しあとは誰も見ず/山口波津女
蛍籠よりもさびしく夜明けたり/行方克巳
螢籠昏ければ揺り炎えたたす/橋本多佳子
蛍籠かざし合ひては行き合へる/豊田長子
蛍籠届きぬ子の忌明日にして/大久保白村
眼覚むれば夜まだありぬ螢籠/五所平之助
いつまでも吊る蛍籠燃えざるを/藤田湘子
俳句例:121句目~
螢籠見られて悪き手紙も来ず/鈴木真砂女
ともしびのあつまる螢籠の隅/赤松けい子
一つ入れたるより蛍籠となる/石井とし夫
死をひとつふたつと数へ螢籠/遠藤若狭男
蛍籠ともりそむれば見ゆるなり/後藤夜半
蛍籠昏ければ揺り炎えたたす/橋本多佳子
人に蹤き思慕としもなき蛍籠/岩坂満寿枝
螢籠わが寝しあとは誰も見ず/山口波津女
子ら寝落つよりいきいきと螢籠/菖蒲あや
蛍籠吊りてみどりの夜のうつる/石原舟月
蚊くすべや吊るしかへたる螢籠/河野静雲
螢籠おやゆびほどの戸がひとつ/木田千女
あけがたやうすきひかりの螢籠/大野林火
宵よりもあかつきさみし螢籠/成瀬櫻桃子
螢籠水にかざしてひとりかな/中島紅からす
ふりしきる雨となりけり蛍籠/久保田万太郎
螢籠口をきかぬはきけぬなり/久保田万太郎
ひとすぢの茅の葉つらぬき螢籠/軽部烏帽子
火を入れてかへりのみちの螢籠/上田五千石
逢へばまた逢つた気になり螢籠/久保田万太郎
俳句例:141句目~
ひとり覚めてあかつきさみし螢籠/成瀬櫻桃子
船員螢籠提げ漆黒の夜の汽船に戻る/大橋裸木
死んでいる螢籠つるして二三日はすぎた/橋本夢道