螢籠に関連した俳句の例をまとめました。
螢籠を含む俳句例
蛍籠小児病棟消灯す/中沢三省
高々と欅に風や蛍籠/小川軽舟
灯さぬ晨あるべし螢籠/六本和子
蛍籠微風の枝にかゝりけり/紅葉
妻はいま闇の水音螢籠/友岡子郷
蛍籠暗き処に移しけり/田中寒楼
明日もまた人間嫌ひ螢籠/石寒太
蛍籠極星北に懸りたり/山口誓子
亡き母の帯解く姿螢籠/松尾隆信
蛍籠蛍の死後も闇に置く/岡本眸
螢籠螢の死後も闇に置く/岡本眸
伊那谷の雨大粒に蛍籠/藺草慶子
傘立の上に移せし蛍籠/斉藤夏風
宿直の教師に炎えて蛍籠/安田晃子
暗闇に道のあらはれ蛍籠/斉藤美規
異腹の子等の面輪や蛍籠/西島麦南
横笛のごと波光り螢籠/田川飛旅子
蘇る大きひかりや螢籠/石田あき子
蛍籠離別なくとも死別来む/安住敦
螢草しつかり詰めし螢籠/大石悦子
俳句例:21句目~
香典に口さしはさむ螢籠/青木重行
霧吹いて蛍籠より火の雫/鷹羽狩行
螢籠海べの鹹き風が吹き/友岡子郷
約束の数だけ吊るす螢籠/大西泰世
少年の夢のシグナル蛍籠/中村智子
ふるさとの草沢山の螢籠/後藤夜半
眠る子の髪の根青し螢籠/岡田貞峰
海も闇陸も闇にて螢籠/山口波津女
蛍籠光点つねにすれ違ひ/野沢節子
螢籠吊す踵を見られけり/西村和子
螢籠つるや蓬のかくし妻/高田蝶衣
仲よしの禿二人や蛍籠/織田烏不関
文人の遠き日を見し蛍籠/岩井秀子
冥きより冥きに出づる蛍籠/齋藤玄
旅の土産丹波野草と蛍籠/稲畑汀子
父のほか昼は淋しい蛍籠/中川秀司
明滅にわが息合はす蛍籠/栗原政子
褪せはてし写真の祖母や蛍籠/楸邨
蛍籠どこへ置きても灯りたる/大越晶
蛍籠よべ吊り今宵芝に置く/清水忠彦
俳句例:41句目~
蛍籠われに安心あらしめよ/石田波郷
うしろより乳房殺され螢籠/出口善子
くらがりに釣して円き螢籠/鈴木花蓑
蛍籠吊りて亡き母偲びけり/永井靖晁
蛍籠吊るす踵を見られけり/西村和子
蛍籠明日を近づけ遠ざけて/鷹羽狩行
蛍籠網戸のごとく灯りたる/行方克巳
螢籠吊りぬ初むる連歌かな/尾崎迷堂
螢籠吊るす踵を見られけり/西村和子
螢籠病めるベッドに昼灯す/石川文子
螢籠臨海学校寝しずまる/田川飛旅子
螢籠螺鈿の卓の光りけり/中戸川朝人
死ねば雨その中に降る螢籠/古舘曹人
行く末の見えきて朝の螢籠/澤村昭代
兄病めば母病む螢籠ひとつ/黒田杏子
前帯にさげてをりけり螢籠/野村泊月
吊橋を渡りくるもの螢籠/加藤三七子
衣ずれの音のかかりし螢籠/伊藤通明
豊麗の闇となりけり蛍籠/加藤三七子
遠山のかたちのこりぬ螢籠/細川加賀
俳句例:61句目~
地蔵盆負ふ児曳く児に螢籠/飯田蛇笏
堪忍の火もふつ三つ蛍籠/本庄登志彦
野の闇の一掬ひなる蛍籠/水田むつみ
野の闇の匂ひのありぬ蛍籠/山下美典
雨少し降りたる軒の螢籠/山口波津女
寝たきりの父へ吉野の螢籠/木田千女
寝床より母の手招く螢籠/大木あまり
引越しの荷物さいごに蛍籠/土生重次
復習すかたはら螢籠のから/喜谷六花
思ふさま泣くも女か螢籠/鈴木真砂女
手につたふ露の雫や螢籠/高橋淡路女
敦忌のため蛍籠編み上げし/伊藤通明
旅土産の螢籠はや水吹かむ/皆吉爽雨
梅の木に螢籠吊る点る点る/金子兜太
死は黒き一点となり螢籠/遠藤若狭男
母亡くて暗きところに螢籠/棚山波朗
水くれて夕かげ待つや螢籠/井上井月
漠然と見てゐるがよし螢籠/鈴木栄子
螢籠行燈に遠くつるしけり/子規句集
女一人目覚めてのぞく螢籠/鈴木真砂女
俳句例:81句目~
いたつきの母にふた夜の螢籠/茂里正治
蛍籠飛ぶ火落つる火にぎやかに/たかし
螢籠いづこに置かば安からむ/関戸靖子
なぜポオの詩なのか朝の蛍籠/佐藤鬼房
病人のつゞきてさびし螢籠/五十嵐播水
螢籠振つて草の香たたしめぬ/大石悦子
ふたり子の顔寄せあひぬ螢籠/鈴木貞雄
螢籠二日三日と過ぎにけり/星野麦丘人
ほたる這ふ昼のさびしき螢籠/長谷川櫂
わが心ひとこそ知らね螢籠/鈴木真砂女
螢籠五銭で買ひてうれしけれ/細見綾子
螢籠かゝげて道にあがりけり/野村泊月
吹きかけし真水がひかり螢籠/嶋田麻紀
吾子の死へ朝が来てゐる蛍籠/時田光子
喪の妻に蛍籠はやかすかなり/石田波郷
螢籠今宵もともりそむるなり/後藤夜半
嫁がざる身を照らしをり螢籠/藺草慶子
螢籠さげて入りけり露路の奥/吉屋信子
蛍籠霧吹くことを愛として/山口波津女
二人子の向き合うて寝る蛍籠/野中亮介