落日に関連した俳句の例をまとめました。
落日を含む俳句例
金泥の水の落日鳰くぐる/桂信子
栗山にあれば落日慌し/高浜虚子
落日の魚に袖なし花衣/上島鬼貫
声走る寒の落日見に来よと/龍男
落日の潜りて染る蕎麦の茎/蕪村
生涯に落日いくつ青葡萄/山口剛
落日に曳かれて辷る一白鳥/林翔
落日の華やぎ少し茨の実/藤松遊子
落日の落し子ここに烏瓜/但馬美作
落日は火の帯太き秋の湖/神原栄二
若者に落日はなし黄水仙/工藤紫蘇
春風の旗の日の丸落日色/池田澄子
末枯の野に落日の力なく/浅野右橘
落日を湛へて沼の草紅葉/渡辺立男
落日運ぶ少年の船黒ぶどう/伊藤和
落日も河も壮年終戦日/小檜山繁子
落日の荘巌麦の穂が囃す/桜木俊晃
落日も雀隠れに遊びけり/堀口星眠
渚ゆく水着夫人や落日後/桂樟蹊子
柿吊りて落日部落つぶら眼を/原裕
俳句例:21句目～
落日を境に氷り鷹ケ峯/宇佐美魚目
青蘆の中落日の朱一条/千代田葛彦
正面に落日うけて涅槃像/松瀬青々
刻々と春の落日幸うすし/石川桂郎
落日に鵙絶叫す吾子還せ/福田蓼汀
叫喚に似る落日の敗戦忌/小出秋光
落日の獣身を寄せ嘆き合う/三谷昭
養花天落日とみに耀ひぬ/西島麦南
落日の奢りのあとの鉦叩/友岡子郷
落日に頬白さむき鳥の母子/浜芳女
きりぎりす落日前の濤騒ぎ/野沢節子
きりぎりす落日前の濤騒ぎ/野澤節子
落日に蹴あへる鶏や鳳仙花/飯田蛇笏
飛ぶ蛾族落日すでに力なし/相馬遷子
身構えて飛ぶ落日の北京蝿/神山姫余
落日の雪に嘴とぐ鴉はも/金尾梅の門
落日へなんぞ男の息荒き/富澤赤黄男
落日の赤く太りつ麦の秋/加藤安希子
落日へ並ぶ雑木や年惜しむ/目黒十一
落日によき声洩らし松毟鳥/飯田龍太
俳句例:41句目～
秋耕の父よ落日へ横すべり/遠藤秀子
麦蒔の大落日に影浮き出す/小坂順子
落日の大きかりける鴨の陣/佐草佳子
秋落日岩塊流木荒れしまま/福田蓼汀
牛の眼の春の落日よりも大き/瀧春一
大阪の落花落日モツを焼く/坪内稔典
影捨てにゆく落日の芒原/千代田葛彦
落日や刈田万畦胸ひらく/千代田葛彦
落日や薄氷の番して居れば/永田耕衣
落日を城の旬とす雪解川/鳥居おさむ
枯樅の透け落日を海に見き/岸風三樓
蒼海の落日とゞく蚊帳かな/杉田久女
枯葎落日の珠しづめたる/鷲谷七菜子
蛇穴に落日の光ふと冷ゆる/武田一朗
蝮捕り渡り吊橋落日さす/秋元不死男
野は枯れて落日支ふ何もなし/吉本昴
落日に向ひて下る紅葉山/西山小鼓子
長城の月落日を追ふさまに/臼田亜浪
なぜ見えぬ白村江の落花落日/夏石番矢
ひまはりは実に落日の川鴉/柴田白葉女
俳句例:61句目～
落日に群衆が透く川施餓鬼/橋本多佳子
落日にくろ～とあり凧の陣/高橋淡路女
落日にしばられてゆく秋の水/鎌居千代
落日の大きく赤き菜を間引く/遠藤梧逸
原子炉を出で落日のあな寒き/岸風三樓
大きければ箔の音する落日は/南出好史
日色すぐ落日めくや冬の果樹/中島斌男
春の航落日を追ふごとく月/稲垣きくの
落日の中に灯ともる菊供養/能村登四郎
枯萱の切先失せて能登落日/金子無患子
梅の下にけふ落日を見るゆとり/瀧春一
植ゑし田に大落日の宿りける/土生耕石
老画家とゆく落日の氷湖の辺/野澤節子
能登は落日旅の仏を見る寒さ/宮武寒々
落日に拓地の鳥居稲架を抽く/木村蕪城
落日のふと寒木瓜の朱を点ず/加藤楸邨
落日を追ふ霧絶えて月のぼる/岡田日郎
落日のアルカリ性の天の意志/高柳重信
秋湖澄み富士の落日真紅なり/富安風生
落日や玉揺すり飲むラムネ瓶/松山足羽
俳句例:81句目～
渤海の秋の落日けふも見き/長谷川素逝
落日の巨眼の中に凍てし鴉/富澤赤黄男
落日や釈迦のうしろに入佐山/上島鬼貫
落日をのせ稲車ひいて来る/深見けん二
水鳥に落日のあり巣にもどる/伊東伸堂
雪吊りの中の落日まぶしめり/新田祐久
落日に垂る蓑虫に剌客の目/千代田葛彦
糸瓜棚解いて落日かくれなし/上野果堂
落日も亦好からずや月を待つ/福田蓼汀
落日やフェリーにしぶく寒の潮/河本好恵
落日のあとの湖照る帰雁かな/石田久美子
落日や戸口に払ふ野火ほこり/金尾梅の門
落日のごとく崩れし牡丹かな/稲垣きくの
落日のしづかにうごく雲の鰭/富澤赤黄男
落日のために冬田が見えぬ時/相生垣瓜人
落日のなかくらくらと夏去れり/桜井博道
落日のビュッフェの裸木殺到す/桜井博道
落日の粘野ゆく子のうたへるや/臼田亞浪
落日を朝日とまがう由紀夫の忌/五島高資
くづるる刻来て落日の白牡丹/鷲谷七菜子
