俳句例:101句目～
断崖の一樹を透きて彼岸潮/柴田白葉女
汐燃ゆる白亜紀化石断崖秋の風/石原八束
しほからき断崖を巻き春の鳶/正木ゆう子
とんぼかへす断崖秋の斜陽さし/飯田蛇笏
雪片のはるかきて断崖に触れ/正木ゆう子
断崖を跳ねしいとどの後知らぬ/山口誓子
元日の鴉にあたらしきもの断崖/齋藤愼爾
土用波断崖はからつぽの太鼓/白田喜代子
断崖を飛ぶ夢ばかり春惜しむ/岸本マチ子
断崖上蛇の舌ひかりに触れし/榎本冬一郎
真神落としといふ断崖の草紅葉/夏石番矢
断崖を削りて落ちし木の実かな/西山泊雲
断崖に立つここからは蜻蛉なり/徳重英節
野生馬に岬の断崖石蕗咲けり/波江野霧石
断崖に立ちて沖見る誓子の忌/山口超心鬼
羚羊の逃ぐ断崖を跳ぶごとく/大野雑草子
断崖に野火を追ひつめ島暮るる/徳留末雄
断崖を下り来て和布刈海女となる/樋笠文
断崖のたんぽぽ頭上かがやかす/金尾梅の門
蔦枯れて断崖の肌理あらくなる/柴田白葉女
俳句例:121句目～
断崖の松あかあかと冬に入る/なかのまさこ
みつまたの花嗅ぎ断崖下の処女よ/西東三鬼
われ立つと断崖の蟹海へくだる/野見山朱鳥
狐の提灯この断崖は曽良と誰れ/松田ひろむ
巣の中の小さき断崖ふぶきけり/増田まさみ
断崖の枯木の鳩があきらかに/阿部みどり女
断崖にすがるよしなし海苔採舟/橋本多佳子
羽子板の断崖なして売られけり/鳥居おさむ
断崖に百合より騒ぐものは無し/八木三日女
断崖を白くし百合の群れ咲けり/山口波津女
月の断崖むささび飛躍また飛躍/加藤知世子
隠岐枯れて大赤断崖の吹かれけり/佐怒賀正美
霧の断崖蝶舞ふゆとり見つつ登る/加藤知世子
きりぎしをあらがねと研ぐ秋つばめ/栗生純夫
いつも断崖おんおん裸身みがくなり/岸本マチ子
暁紅に染まる雪後の天売島断崖/七田谷まりうす
生きて世はいつも断崖百合咲けり/飯塚まさよし
