俳句例:101句目~
初刷のはやとぢてあるホテルかな/山口波津女
僧院ホテルの点るワインは祈祷の灯/伊丹公子
ホテルあり木槿づたひにグリルあり/京極杞陽
火蛾去れり岬ホテルの午前二時/久保田万太郎
グラス噛むばかり愛しむちゝろ虫/殿村菟絲子
クレソンを摘む流れあり避暑ホテル/岩崎照子
煖房にホテル夜更けの事務をとる/山口波津女
琵琶弾いて誰ぞ秋惜しむ瀞ホテル/高橋淡路女
馬車つくや大つごもりの山ホテル/吉岡禅寺洞
古風ホテルの油彩の王女すこし伏目/伊丹公子
ガムランは呪術のその端古都ホテル/伊丹公子
海のポスター山のポスター避暑ホテル/堀/磯路
氷雨東京ひとりで寝ろとホテルの鍵/伊丹三樹彦
日短かしホテルぐらしにやゝ馴れて/大場白水郎
脱ぎ捨てるホテルの浴衣シルクハット/京極杞陽
このあたりホテルばかりの白夜かな/久保田万太郎
さがしている眉間のあたりの古いホテル/阿部完市
ゆうぐれホテルに花の溜息トランク着く/伊丹公子
ホテルの浪音もなくうすら眠うものかく/喜谷六花
ホテル/ビィレッジ白根葵は夢いろに/つじ加代子
俳句例:121句目~
ホテルはともす鳴くかなかなに似合ふ灯を/桂信子
わが泊つる森のホテルの白夜なる/山口青邨「雪国」
こはサマセット/モームの木椅子椰子ホテル/伊丹公子
消せる灯は消して白夜の山ホテル/竹中碧水史「自転」
十指どの指もて射つやホテルのシャンデリヤ/寺田京子
香水や富士屋ホテルの昼下り/星野椿「マーガレット」
軽井沢万平ホテル、グランドホテルもヒヤシンス/田中冬二