笑いに関連した俳句の例をまとめました。
笑いを含む俳句例
青簾光源氏のわらひ声/正岡子規
川烏川上遠く笑いけり/二村典子
末枯に転がり笑い測量士/徳弘純
木菟の独りわらひや秋の昏/其角
笑いながら輪舞閉じられ/江里昭彦
富士垢離や女の上の物わらひ/訓女
空蝉はまだ笑い声残しをり/黒田肇
葱坊主月夜の晩に笑いあう/穴井太
初凪や妻に五勺の笑い酒/西條泰弘
雑巾/笑いながら絞られる/山崎十生
深山菫慟哭しつつ笑いけり/安井浩司
七面鳥冬日の中にわらひけり/原石鼎
稲雀笑いさざめく朝日の樹/西東三鬼
さればこそ人わらひけり老の春/調和
鉄瓶の蓋の笑いや夜の長し/阿部信一
解せぬ笑い泡立草が裏口に/岩淵稲花
朝の馬笑いころげる青坊主/金子兜太
木下闇木の上に聴く笑い声/岩谷精一
二句宛の二枝の桃わらひ鳧/内田百間
両膝に笑いが残る蓮根掘り/中村浩美
俳句例:21句目~
木喰の笑いに揺れる秋桜/井上あき子
網上ぐるよろけ笑いよ沖膾/猪狩勝正
笑い声ぶつかり歩く春夕焼/二村典子
横顔の鏡をよぎる福笑い/曽根新五郎
啓蟄の土管は笑い袋だな/塩釜アツシ
円空仏わらひ上戸の夏来る/亀田虎童子
奪衣婆目尻の皺のうすわらひ/河野静雲
かみ殺し損なう笑い芥子坊主/二村典子
山国や鼬振り向き人は笑い/森下草城子
山わらひはじめしころの夜の閏/灘稲夫
撫子は笑いさざめく口の群れ/清水恵子
笑茸食ひしわらひぞ医師の前/白岩三郎
粽食ぶ母をわらひぬ勿体なし/小松月尚
萬歳が笑へば山もわらひけり/正岡子規
極楽へ肘膝ついて笑いにゆく/四ッ谷龍
笑い了えし体が桜ふぶきの中/池田澄子
笑い皺多き母なり茗荷の子/薗田よしみ
笑い茸食べたるような女正月/川村一子
乙女らの笑い通れり柚子の花/有角正巳
泣き笑いしてついてくる草虱/倉光道子
俳句例:41句目~
群がりて笑い上戸の薯の花/山中佐津喜
老人が老人を剌す笑いながら/大橋忠雄
耕せば土ふふふふと笑いけり/福島靖子
萩咲いて家中おんなの笑い声/窪田丈耳
蛇打たれ笑い崩るる如く死す/対馬康子
風花やプレハブ校舎の笑い声/三浦北曲
かるく打つ砧の中のわらひ哉/正岡子規
ふらここや花を洩れ来るわらひ声/嘯山
元日や故人もわらひ倶会一処/河野静雲
春の蛇座敷のなかはわらひあふ/飯島晴子
狸寝のわらひ出したる雑寝かな/中川四明
年の豆奪衣婆わらひゐる堂に/阿波野青畝
穀象もする死真似や笑いけり/田川飛旅子
死を悼み生をわらひて日向ぼこ/京極杞陽
なまぐさき笑いのおこる鮑採り/高橋天蕾
まゆみの実みじかく笑う笑い損/永末恵子
みつまたの花のまわりの笑い声/吉田道子
春泥や泥という字の笑い死に/増田まさみ
桜咲くと父の笑いは泣く如し/田川飛旅子
寅さんや笑いだしたるもものはな/穴井太
俳句例:61句目~
七草粥笑いぐすりを少しまぜ/岸本マチ子
極月のへのへのもへじ泣き笑い/二村典子
伊豆の山々笑いたそうな神の留守/安西篤
種まきの手を隠しまた笑いけり/永末恵子
桜狩こちらの岸をわらひけり/佐々木六戈
電話機へ大いに笑い雪の職場/田川飛旅子
呵々と笑い互いに笑い銃をもつ/橋本夢道
藁塚作る朝日に笑いまきちらし/西東三鬼
大蔵王踏み来し笑いさくらんぼ/中島斌雄
鯛焼きや姉妹病みても笑いぐせ/安井昌子
南なる故国をわらひ雪焼けなむ/石田波郷
笑はせておのれもわらひ十夜僧/河野静雲
笑いあう春のオルガンひくように/大高翔
芋の露ころがる度にわらひけり/正岡子規
チャップリン笑い犬哭き夏終わり/高澤晶子
パンドラの箱へ入れ足す笑い茸/海老名衣子
二人同時に笑い了えたる花なずな/池田澄子
初昼寝あやしき笑いしたらしき/岩下四十雀
含み笑い怺えきれずにいる無花果/武田和郎
夜が淋しくて誰かが笑いはじめた/住宅顕信
俳句例:81句目~
女給笑い皿鳴りコーヒ湯気立てゝ/高浜虚子
姉たちが連れ笑いする野ばらの実/児玉悦子
山降りる日の山雀からうつる笑い/若森京子
雪眼鏡おつとせい見て笑いつつ/田川飛旅子
脊を丸めつくり笑いの初やいと/大平美代子
これにしの梅のわらひや日の移り/広瀬惟然
白を嚥みたるのちをわらひけり/有澤かりん
もの忘れわらひあひたり春落葉/柴田白葉女
わらひだすまでに不運や鵙たける/加藤楸邨
ルンペン氏わらひのぞける冬夜宴/河野静雲
何でやはひとりわらひは涼しいか/広瀬惟然
笑いすぎて羽抜鶏になってしまう/近三津子
天の河わらひわかれてふとさびし/藤岡筑邨
法師蝉の一匹はたしかに泣き笑い/橋本夢道
栗を焼く三人のまどゐわらひ多し/森川暁水
海鼠食ひし顔にてひとり初わらひ/加藤楸邨
片すみにわらひごゑあり河豚供養/岩永佐保
田を植ゑて河童の顔やわらひをる/田中裕明
あちこちを立てても歪む福笑い/丸山ちづ子
くすくす笑いして過ぐ祭浴衣の娘/高澤良一