俳句例:101句目～
ころ柿ををゆびにねぶりまた一語/栗生純夫
一語待ちゐたりゆつくり揚羽過ぐ/佐野美智
一語吐きてより噴水のほぐれけり/太平雅芳
その一語胸中にあり冴ゆるかな/青柳志解樹
汝の一語欲しラ/サールに桜満ち/橋本榮治
さくらんぼ赤子に一語生まれけり/曽根澄子
一語づつ問ひかけゆくや冬木立/石田あき子
ポインセチア愛の一語の虚実かな/巌谷小波
曼珠沙華一語に出逢ふまで歩く/平井さち子
虚子一語懇ろなりし子規忌かな/深見けん二
度忘れの一語に執しそぞろ寒/鴨志田智恵子
ひきがへる師の一語また師の一語/黒田杏子
質すべき一語霜夜の書庫に入る/篠塚しげる
木の葉髪子の一語より夢を生む/塩谷はつ枝
実むらさき一語もて足る友欲しき/松村多美
春の波言へぬ一語が揺らぎだす/平井美智子
木を揺らししずかに狂う一語かな/大井恒行
子への声一語をなさず咳きに咳く/巌谷小波
告げられし一語の重さ林檎むく/小山えりか
爽やかに一語一語を聞きとめぬ/深見けん二
俳句例:121句目～
ただ一語鳴きつぐ虫やとりけもの/秋山朔太郎
毛見一語老のおもてのくもりたる/阿波野青畝
おばさん族のっぺらぼうの一語です/白石司子
一語一語風に浮かせて薔薇の門/鍵和田ゆう子
一語一語師の語逃がさじ樅の霧/鍵和田ゆう子
一語らひ三和土濡らして鵜よ眠たげ/石川桂郎
アイスティ飲んで一語のひらめけり/寺岡捷子
師の一語一語よ葡萄はひかりの粒/鍵和田釉子
遺しおくならん夜涼の一語一語/赤城さかえ句集
鮒は一語のごとし手にふれゆきにけり/阿部完市
冬日燦々さよならを終の一語とす/赤城さかえ句集
汗のシヤツ脱ぎつ一語にこだはりをり/榎本冬一郎
