俳句例:101句目~
洗ひ馬脊をくねらせて上りけり/飯田蛇笏
冷し馬瞳より涼しさあふれくる/朝倉和江
牛冷すベトナムは川ゆるやかに/大向/稔
冷し馬馬首ともすれば陸に向く/山口誓子
うしろより見る逞しき牛洗ふ/保坂加津夫
冷やし馬動かず海も動かざる/佐々木瑞人
菖蒲葺く奈良井も洗馬も古き宿/田中冬二
歯茎まで見せて笑ひぬ冷やし馬/加藤かけい
冷す牛汐満ち来るを暮れゆくを/篠田悌二郎
冷す牛暮色に耐へず啼くなめり/篠田悌二郎
冷し馬土手ひと飛びす仔はふた飛び/岸田稚
冷し馬の眼に遙かなる帆がすすむ/内藤吐天
冷し馬の目がほのぼのと人を見る/加藤楸邨
メナムとは母の河の意牛冷やす/成瀬櫻桃子
洗ひ馬の身ぶるひ叱る飛沫かな/茂木連葉子
身ぶるひして鼻若くなる冷し馬/能村登四郎
冷やされてゐる馬と馬相寄らず/鳥飼栄美子
馬を洗う青年麦がぐんぐん伸びる/細谷源二
洗ひ馬木橋といへど灯がついて/中村草田男
蹤いて来し仔馬見てゐる馬冷す/本多野風呂
俳句例:121句目~
役了へし馬ねんごろに冷やさるる/石川文子
星近づけて馬洗う流域富ますべく/金子兜太
おとなしく渓流に入る馬洗ふ/玉木/こうじ
馬冷すただただ加賀の入日かな/福田甲子雄
陸奥の娘は奥入瀬に馬冷すなり/大橋越央子
砂利トラック洗ふ馬洗ふごとくなり/木村蕪城
ながれ来るものに目つむり冷し馬/四ノ宮白帆
冷やされし牛くろがねになりにけり/中村正幸
水風呂やこのように馬を冷やしていた/松本勇二
馬洗ふ夕顔棚や薄月夜/こさふえ/秋元洒汀、市岡傳太編
馬を洗はば馬のたましひ冱ゆるまで人戀はば人あやむるこころ/塚本邦雄