洞に関連した俳句の例をまとめました。
洞を含む俳句例
大西洞老坑水巌初硯/飴山實
稲光島の海蝕洞暴く/光野昌平
白雨や洞の中なる人の声/畏計
白雨や洞の中なる人の声/畏計
引窓や温泉の山の霧の洞/黄吻
窟洞の奥行見えず春愁/毛塚静枝
滴りや一仏在す洞の奥/積山茶々
月白し洞雲院の屋根瓦/藤野古白
石筍の親子が並ぶ洞涼し/森田峠
洞雫間遠に落ちて青嵐/鈴木花蓑
松明に秋風起る洞の闇/正岡子規
口洞に赫と射す日や神輿舁/林翔
陽炎や景清入れし洞の口/炭太祇
郭公や国の真洞は夕茜/芝不器男
竜泉洞夏玲瓏と谺寒む/沢田草光
窟洞の水汲みの道花杏/田中英子
炎天の蝙蝠洞を出でにけり/原石鼎
玄武洞前を稲舟下りつゝ/京極杞陽
木洞の水新しく小鳥来し/内藤吐天
神木の洞の焦げ居る青嵐/竹中龍青
俳句例:21句目~
神木の洞跳び出せり秋蛙/中嶋廣江
本抜けば本棚に洞西日中/依光陽子
竜河洞深く夏草力無し/小川原嘘帥
老桜の洞緑暗に一花舞ふ/近藤一鴻
春雷の熄みし口洞閉づるかな/波郷
千年の八百比丘尼洞の涼/庄中健吉
月涼し空は洞となりにけり/上野泰
蝙蝠や昼なき洞の仏たち/滝川愚仏
木の洞にをる如くをり冬籠/上野泰
樹の洞に蛇の入りゆく夏祓/甲子雄
夏未明銀坑洞に火を点す/吉田木魂
氷壁に黒燿石の洞の闇/中戸川朝人
洞の壁波打ちのこる夜光虫/原柯城
洞影描いてをかし月の梅/鈴木花蓑
滴りの洞の佛に詣でけり/高浜虚子
滴りや洞の深きに正座仏/梶井和呼
堂ヶ島洞に春潮ふくれ来し/笹本定行
洞を出て深秋の風吹く台地/高濱年尾
蔦枯れて額吹く風や洞の門/会津八一
煉炭の十二黒洞つらぬけり/西東三鬼
俳句例:41句目~
風船や原爆の碑は洞ににて/青木重行
八百姫の洞や椿の曼陀羅境/富田潮児
冬の耕蒼き洞なり父母は/川田由美子
枯れ進む一輪挿しの長き洞/対馬康子
真冬の洞単身で来て顔とがる/澁谷道
口洞を何もて埋めん敬老日/香西照雄
月照らす海蛇洞や久高島/いぶすき幸
異次元の入口木の洞春の闇/山田貴世
猿酒や山姥住みし洞はこれ/小林樹巴
木の洞の虚空蔵様へ初灯明/日守むめ
木の洞を通ふ風あり秋の立つ/桂信子
秋の山中にも金洞と申すは/正岡子規
藤さげて大洞山のあらし哉/前田普羅
棟木上ぐ鬨炎天の真洞かな/石塚友二
神留守の大楠の洞深かりき/川崎慶子
山の戸や洞に柴置き春浅し/尾崎迷堂
海鳴りの洞にこもれり初弁天/森重夫
茂山の洞の仏やたづねしは/尾崎迷堂
洞なして骨透くうれひ亀凍つる/原裕
秋雨の洞を讃美歌もて満たす/津田清子
俳句例:61句目~
杉の洞すはや響みし御神渡り/岡井省二
十王の口洞暗く梅雨きざす/石田あき子
啓蟄やひめゆり部隊の洞深く/平賀寛子
案内子の合図の笛や洞の秋/鈴鹿野風呂
湯の洞を出て一人きく荻の声/深谷雄大
洞の葉にほこりのたまる暑さかな/孤屋
秋の雨の朽樹の洞に溜りたる/寺田寅彦
失せし歯の洞に嬉嬉と小豆粥/今井竜蝦
寒むや洞首なし仏在しまし/上田五千石
岩橋や洞や梅雨浪艇木の葉/松根東洋城
洞の綺羅いま詠はねば春の夢/渡辺恭子
忘帰洞の高さを熟知夏つばめ/田中水桜
洞出口やさしきまゝの少女の頬/澁谷道
木の洞に手を入れ秋は暖かき/鈴木鷹夫
老鴬や霧捲き去りし洞の日に/中島月笠
木の洞死相兜虫捕る少年に/田川飛旅子
草の実やきつねの洞の小土器/中川四明
玉虫や朽木の洞に恋もあらん/寺田寅彦
秋風の抜けてくるなり椨の洞/高澤良一
木の洞に散る花びらも寒の内/藺草慶子
俳句例:81句目~
蝙蝠や松明ふりて入る洞の口/寺田寅彦
梅雨大扉入るや洞なす大仏殿/高澤良一
野菊揺れ洞の産屋を神とせる/田中水桜
障子あけて空の真洞や冬座敷/飯田蛇笏
雲の洞に遠き空ある春田かな/石原舟月
洞ぬちに神還りまし海荒るゝ/大橋敦子
秋の蜂とまる洞あり地下酒場/小長井和子
てつせんの花のぼりけり梅の洞/室生犀星
樹の洞に遥けき世あり初燕/鍵和田ゆう子
稲妻消えし闇に闇あリ納骨洞/加藤知世子
樹の洞に藁の尾垂れて巣鳥鳴く/菅原師竹
樹の洞にも托す卵や聖五月/鍵和田ゆう子
洞欅ぽやっぽやっと芽吹きけり/高澤良一
三羽目の青葉木菟の子洞を出で/高澤良一
五月闇あぶくま洞をおそれけり/加藤秋江
冬浪の洞にしぶけば泣くといふ/小路紫峡
芽吹かんと樹皮を寄る辺の洞欅/高澤良一
啼く郭公浮雲の洞に棲みをらむ/原田種茅
日傘置く洞の光陰なきところ/赤松ケイ子
落し水鳴る洞ありて吸ひにけり/飯田蛇笏