俳句例:101句目~
百年後の見知らぬ男わが田打つ/齊藤美規
百年の銀杏落葉の日もすがら/杉山三知子
石蕗咲くやこの蔵建てゝ小百年/大谷句佛
百年の戀は覚めてもめをとかな/筑紫磐井
穂芒に茶屋わたらひも四百年/鈴鹿野風呂
種採つて百年ほどを眠らうか/ふけとしこ
うららかやここは百年嵌め殺し/櫂未知子
かくれんぼして/百年も花菜畑/本郷和子
西日中百年手を挙げ銅像立つ/鈴木六林男
七百年のみなげき今に秋の蝉/鈴鹿野風呂
万歳や百年いきなば友なからん/高湯順三九
百年後のいま真白な電車がくる/小川双々子
氷河つるつる尻餅ついたら百年目/高澤良一
紀元二千六百年われ四十になりぬ/日野草城
百年を生きて祖父あり夏まつり/ふけとしこ
こんもりと百年があり野ばら咲く/坪内稔典
屯田村の銀芽や百年川なだめて/平井さち子
蝶の翅押さえつづけて百年経つ/津沢マサ子
松ぼつくり百年のちの晴れた日に/有住洋子
百年の仏壇洗ふ柿若葉/水谷洋子「花刺繍」
俳句例:121句目~
炉火に照りつぐこれ百年の煤人形/加藤知世子
しやぼん吹く百年たてば死ぬる子と/仙田洋子
子規没後百年の世や破れ傘/福田甲子雄「草虱」
明治百年の国旗掲げたり枯れを率て/長谷川かな女
四百年黴の納戸にマリア秘め/村松紅花「破れ寺や」
百年たれか生きん音頭なとれ躍れをどれ/安斎櫻カイ子
わが百年憶ひ出づれば鮮やかに生きゐるといふこの現実/五島茂
百年を使ひ果たしてぼんやりとこの朝の街霧に沈めり/香川ヒサ
百年とたたぬに言葉とどかざる未来の真昼に来てしまひたる/河路由佳
たねのない葡萄が好き。百年後にはいないわたしをつつむ満月/林あまり