俳句例:101句目～
ひとり明るくつつじ落花を掃く校僕/友岡子郷
木洩れ日胸に散弾と浴び消される僕/楠本憲吉
夜學生よとりまけ酔つている僕を/石橋辰之助
いつも父の命日にきれる僕の定期券よ/内田南草
いつまで余後僕踏んで哭く朝のサタン/楠本憲吉
怪談や/僕がK市に避暑した頃ーーー/筑紫磐井
梅雨に入るソファー「人間椅子」の僕/萩山栄一
僕たちの終戦記念日下さい少年真夏日/中塚唯人
島に子の声僕がこのまま消え失すかと/永田耕衣
酢レンコンしゃきっと噛む僕の予後/日下部正治
老僕の大きな掌に冬夜の食べ物をのせる/大橋裸木
花器あふれるウインドに招かれ明るい僕/阿部完市
凪に打つ/<華経/華経>/僕たちはだ/星永文夫
マフラーを巻きつけられて溶ける僕/梅木なおひこ
くらがりに三羽/あかるみに二羽/父と僕/星永文夫
夜明けの逮捕僕に靴下も二枚重ねて妻乱れず/橋本夢道
地政學の書物僕も少し読む火鉢の火を直す/中塚一碧樓
僕を恋うひとがいて雪に喇叭が遠くふかるる/橋本夢道
いぬいたどりを僕たちの仲間とす朝日がさす/中塚一碧樓
三つ目の路地の子ら僕を金語楼だと朝朝はしやぐ/橋本夢道
俳句例:121句目～
風に吹かれ波にもまれ僕の人相は威厳がないと思う/橋本夢道
ねむいねむい僕の代わりに月光のえのころぐさを見張ってほしい/吉川宏志
ふと手錠を見ている僕の思想のかたわらぼんやり希望のない職務にいる/橋本夢道
