俳句例:101句目~
山荘のとなりの部屋に夏蜜柑/和知喜八
山荘の離室の目覚め十一に/尾亀清四郎
梅を干す路地の酸味も山荘址/桂樟蹊子
山荘のつつじの頃を訪ふは稀/稲畑汀子
山荘のすでに閉ざされ葛の花/金堂豊子
山荘の雨忽ちに雷を呼ぶ/阿部みどり女
枝折戸を閉ざす山荘実千両/五十島典子
てつぺんに山荘のある花菜丘/吉良比呂武
トルストイ読み山荘に林檎煮る/水口楠子
小鳥来る山荘朝のパンを焼き/斎藤知恵子
山荘にきてゐるらしく網戸嵌め/清崎敏郎
ささげ畑あり山荘に住める画家/勝俣泰享
山荘客を見すして大臣の試筆哉/尾崎紅葉
山荘に著きてくつろぐたゞ涼し/高浜年尾
木の実降るや山荘の灯に斜して/小杉余子
山荘の五月の煖炉焚かれけり/大橋越央子
山荘のいとどに留守を預けたる/稲畑汀子
山荘に近きたらの芽摘まれあり/溝畑洋子
無人なる虚子山荘や芽木明り/小原菁々子
雪解けて山荘近くなりにけり/大久保白村
俳句例:121句目~
雪解富士見え山荘の道となる/池内たけし
山荘に鍵掛けをれば雉子の声/池上不二子
山荘に森の香満つる立夏かな/松本トシ子
山荘の夢さへづりとなりて覚む/藤原たかを
山荘のプールにぎはふ日なりけり/行方克己
山荘の夜はふかみつゝ遠蛙/スコット沼蘋女
山荘消せば遠ちのひとつ灯くつわ蟲/及川貞
木の葉木菟止み山荘の夜は更くる/平井慶一
山荘の富士ざくらこそ見まほしく/高浜年尾
虚子山荘触れて露けきものばかり/山田弘子
獅子独活の雨の山荘閉ぢにけり/鈴木しげを
山荘の障子開ければ本ばかり/長谷川智弥子