鞄に関連した俳句の例をまとめました。
鞄を含む俳句例
凩や鞄の中に楽譜あり/林徹
鞄手に金田覗く往診医/松浦釉
毎日の鞄小脇に鳥曇/富安風生
花菜漬鞄に夜の京都駅/原田喬
新月や鞄の底に文庫本/原田喬
鞄手に狐さすりて午祭/上野章子
使はざる扇鞄に嶋泊り/角川春樹
先生の鞄より出る蝸牛/光成敏子
春星や大き鞄の女学生/鈴木厚子
烏貝拾ふ雑嚢といふ鞄/星野紗一
夏鏡女医の鞄に盲いたり/渋谷道
都鳥鞄をしかと抱く男/西川章夫
返し文ひと日鞄に半夏雨/下田稔
身に入むや女黒服黒鞄/田中裕明
形代を往診鞄より納む/笠野千居
香水と岩波文庫足す鞄/岡部名保子
水薬の音せし首夏の抱鞄/宮武寒々
音楽の洩るる鞄や冬木立/長谷川櫂
冬の雷喪章鞄に瀬戸渡る/宮武寒々
初冬の鞄につめる鎮痛剤/原田美芳
俳句例:21句目~
制服も鞄も返し五月果つ/皆川白陀
春泥や猫背教師の大鞄/久保木信也
勤めせし頃の鞄の黴払ふ/星川青鷹
心おもき仕事始の鞄かな/皆川白陀
啓蟄の鞄の中に電話鳴る/森田智子
土用干父の形身の支那鞄/朝山義高
炎天や金策つきし鞄置く/倉橋弘躬
いまだ序曲鞄の中の鏡の宿曜/林桂
鞄より覗く傘の柄山笑ふ/鈴木鷹夫
夜濯のものを鞄に店泊り/三浦妃代
火鉢あり机の上に鞄あり/京極杞陽
鞄あけ物探がす人冬木中/高浜虚子
探梅や鞄を持たぬ者同士/櫂未知子
はばからず大鞄提げ新社員/下田稔
日盛りの一個の鞄軽からず/八木實
山吹の日向に開く支那鞄/山本洋子
松蝉や集金鞄地に置けば/皆川白陀
螢飛ぶ故郷の夜道鞄提げ/福田蓼汀
蛍見る仕事の鞄重きかな/満田春日
枕辺の鞄に匂ふ夏蜜柑/遠藤志津香
俳句例:41句目~
熊除けの鈴を鞄に霧の朝/松原幸子
虫干の空の鞄の落着かず/上原富子
往診鞄暮雪に重し親鸞忌/伊与幽峰
従軍の子規の鞄や原爆忌/武内敦子
鞄置く土のくぼみて植樹祭/野中亮介
あたたかし鞄を置けと石があり/林翔
鳥渡る勤め帰リの鞄抱き/深見けん二
のどかさや鞄寄せある岩畳/森田公司
麻を着て麻地の鞄形見めく/黒田杏子
黒鞄さげて陽炎責めに遇ふ/鈴木鷹夫
アネモネは萎れ鞄は打重ね/高浜虚子
ヒヤシンス鞄重たき中学生/川崎展宏
八重桜さみしきものに革鞄/宮坂静生
冷凍鞄に革命と踏絵憶う夏/赤尾兜子
受験子の鞄お守り忍ばせて/市橋幸代
塾の子の鞄に釣瓶落しかな/佐伯星子
大道芸の鞄開けば小鳥来る/一/民江
帰りには膨らむ鞄日脚伸ぶ/岡田耕治
帰省子の鞄に入れる針と糸/松田吉憲
悴むや鞄へひとの金満たし/皆川白陀
俳句例:61句目~
春一番鞄の軽き日なりけり/蘭草慶子
木枯先生鞄よりひよんの笛/黒田杏子
末枯や鞄の皮の匂ひして/和田耕三郎
枯蟷螂立ちて鞄の上の地図/北条壬生
梅雨空を一瞥鞄掛け替へる/小出秋光
魂祭るカバンの上の一ト仏/河野静雲
登校の鞄まづしも雪眼の子/森川暁水
童らの鞄がさわぐ曼珠沙華/津田清子
老教師汗の鞄も擦り減りし/矢野聖峰
道草の鞄げんげの中にあり/小澤初江
遠足やつねの鞄の教師たち/福永耕二
集金鞄貰ひ蜜柑を潰したり/皆川白陀
鞄ごとあづけし霙傘ゆかし/田中裕明
鞄のもの毎日同じ木の葉髪/富安風生
鞄提げ洋傘かずくシャツも黒/三谷昭
良夜のまだうらわかき鞄かな/攝津幸彦
こがらしの鞄のなかの雷かな/鳴戸奈菜
小熊手の稲穂のぞかせ事務鞄/奈良文夫
雪吊りの生家に小さき鞄置く/角川春樹
書く暇なき鞄のはがき十二月/皆川白陀
俳句例:81句目~
鞄より首出す小犬クリスマス/福田蓼汀
猫の子が往診鞄嗅ぎに来し/福島杜子夫
帰り来て余寒の部屋に鞄置く/安斉清子
手話の子の鞄地に置く冬紅葉/阿部寿雄
茅の輪あり往診鞄提げくぐる/原田一郎
草枯のそこらまぶしく鞄置く/木村蕪城
蕗の薹手品のごとく鞄より/佐藤美恵子
往診し鞄にもらふ亥の子餅/夏秋仰星子
帰省子の子連れとなりし大鞄/影島智子
鞄いらぬ往診ひとつ松の内/下村ひろし
寒き国へ帰るよ赤き鞄提げ/佐藤ゆき子
尼様もヴィトンの鞄駅うらら/田口風子
夜学生網棚に鞄あげつらね/山田みづえ
汗を拭くセールスマンの大鞄/池田博子
縁に産婆の鞄雪解に最も照り/友岡子郷
笹子鳴く鞄の四隅鋲ひかり/中戸川朝人
黒き手套黒き鞄の未婚女醫/下村ひろし
黴鞄妻子羽がひに病めばかな/小林康治
夕立に木陰のカバン濡れ始め/江口/萌
秋風の学舎カバン屋修理に来/宮坂静生