俳句例:101句目~
煙突が立つ寒釣のさびしき天/林田紀音夫
枯れ果てて煙突天と地をつなぐ/仙田洋子
煙突の町ひろげつついかのぼり/橘/澪子
煙突が火の粉吐きをり花の闇/五十嵐播水
煙突の空をわたりぬ今日の月/五十嵐播水
煙突も枯木も親しわが住む町/成瀬櫻桃子
煙突をおしのけ月の位置きまる/菖蒲あや
煙突の火の子寒星にまぎれ散る/内藤吐天
煙突のけむり折れゐる余寒かな/山本いさ夫
北斗の尾煙突に触れクリスマス/伊藤三十四
煙突の吐きたるごとく月はあり/五十嵐播水
入り日影煙突横になりたがる/かわにし雄策
灯をかざる煙突ぶだうを餉に加ふ/友岡子郷
ガード下よりストーブの煙突生え/山本歩禅
空に白い陽を置き火葬場の太い煙突/尾崎放哉
リヴァプールの黒い煙突しか見えぬ/伊吹夏生
煙突と屋根旅いささかの危機を待つ/寺田京子
煙突にのぞかれて日々死にきれず/林田紀音夫
角煙突は祖父の世のもの蔦茂る/鍵和田ゆう子
煙突多きは船のまぼろしかもめどり/高柳重信
俳句例:121句目~
煙突火の粉おどろきの目の冬夜の子/中山純子
歩きつつ温室の煙突見えはじまる/加倉井秋を
日が落つる煙突の煙みな太くなる/荻原井泉水
田を植ゑて煙突もみな優しくなる/千代田葛彦
サンタ/クロース煙突のなき家ばかり/永野孫柳
かぎりなく煙吐き散らし風やまぬ煙突/尾崎放哉
お化け煙突冬日を赤児のごと抱けり/磯貝碧蹄館
子にある前途冬の煙突を比肩せしむ/磯貝碧蹄館
煙突の林立静かに煙をあげて戦争の起りそうな朝です/橋本夢道