試験に関連した俳句の例をまとめました。
試験を含む俳句例
鉛筆の今を転がす大試験/秋尾敏
机低過ぎ高過ぎて大試験/森田峠
女には女の度胸大試験/田谷耕人
誘蛾燈一燈農事試験場/京極杞陽
終鈴を待てる瞑目大試験/河野頼人
教室へ刃渡りの廊大試験/井沢正江
穂積憲法最も苦手大試験/富安風生
寮の窓みな灯りて大試験/福田蓼汀
一人出て一人の廊下大試験/森田峠
倒れたる音松葉杖大試験/西川章夫
大試験地獄の底に末子かな/上野泰
大試験塞翁が馬戻りけり/中井青裕
大試験巷の音を遠くしぬ/岸風三樓
胸反れと父とし一語大試験/岡崎光
種を浸して水耕の試験棟/磯野利秀
白夜ただ茫漠農事試験場/依田明倫
雁渡し自ら並ぶ試験管/高野ムツオ
変り日の天気となれり大試験/松本旭
大空へ帽投げて果つ大試験/那須乙郎
大試験いまうつくしき渦の中/大串章
俳句例:21句目~
雪道の夙に穢れし大試験/佐々木六戈
教師にも山の如しや大試験/江川虹村
教師へは流水の私語大試験/香西照雄
牛羊に昨日の雪照る大試験/木村蕪城
大試験をへて巷の人となる/岸風三楼
大試験一礼ふかく絵馬納む/藤原三余
茶柱の立つ縁起よし大試験/清水基吉
大試験土手を歩いて帰りけり/日原傳
どこよりも厠の温し大試験/国見敏子
父に見せ封ぜし願書大試験/河野頼人
三方に窓ある部屋や大試験/徳川夢声
自己採点すれば合格大試験/藤岡敏郎
自らを恃む子として大試験/稲畑汀子
大試験山の如くに控へたり/高浜虚子
大試験終へ海外へ旅立てり/武田光子
二日めの机に馴じみ大試験/橋田憲明
大試験東京雪となりにけり/山本一歩
大試験氷上の日の午前午後/木村蕪城
大試験雪美しく踏みて来ぬ/村山古郷
大試験済み城山に登りけり/後藤秋邑
俳句例:41句目~
風音の校舎はなれぬ大試験/植松安子
亡き父の時計を腕に大試験/福家市子
また窓に近づいてゐる試験官/阿部博
冬の雲透かせて洗う試験管/対馬康子
学校の試験過ぎたる昼寝哉/正岡子規
山の手の旗雲一つ試験すむ/久米正雄
友が皆偉く見ゆ日の大試験/志賀道子
深呼吸つづけて二つ大試験/八幡里洋
苗代や札立てゝある試験田/正岡子規
試験場祭囃子の窓閉ざす/蔵田ひろし
試験期や枯芝に椅子一つ残し/中拓夫
大試験終へ鉄棒に逆上がり/木田千女
左右より息のさざ波大試験/井沢正江
雪柳さして試験も終りたる/岸風三楼
大試験済みし食欲ありにけり/山下美典
大試験父の時計を腕に締む/足立のり子
大試験疲れといふを母もまた/山田弘子
大試験終へて少女の走り来る/谷中降子
机より脚はみ出して大試験/立本美知代
大試験終り無言を解かれけり/松本巨草
俳句例:61句目~
大試験肩の重さの抜けて果つ/浅利恵子
大試験茫々過去の中に去りぬ/山口青邨
大試験重き鉄扉を押し開く/栗田やすし
麦茶よく冷えたる農事試験場/京極杞陽
母情より父情のかなし大試験/田島/澪
相模乙女の髪の逆立つ大試験/星野石雀
かかへゐし頭あげけり大試験/橋田憲明
ゆるゆると窓移る雲大試験/成瀬正とし
夜一夜蚊にくはれけり試験前/正岡子規
ジーンズの足もてあまし大試験/西岡翠
下駄箱の蓋ひとつ取れ大試験/藺草慶子
校門の聳えてゐたり試験場/藤井美智子
椿咲く試験地獄の日のひかり/西島麦南
田螺鳴く夜を試験に落ちし子と/太田嗟
吾子幼なけれどいづれは大試験/森田峠
着ぶくれて試験監督つつがなく/磯直道
秋暑あり試験管ふる医を窗に/飯田蛇笏
壁白くああ大試験とはに済む/下村槐太
紫陽花が試験官の靴だつたら/春名喜多
大吉のみくじ支へに大試験/坂本たけ乃
俳句例:81句目~
試験いま校舎のどこの雀もきこゆ/篠原
大試験さ中の吾子を胸におき/山田弘子
大試験すみ少年の瞳にもどり/香久山子
試験果つ象は鼻から水噴いて/田口彌生
試験終ゆいま潺湲に耳を藉し/木村蕪城
大試験はじまるベルに目つむれる/篠原
大試験今終りたる比叡かな/五十嵐播水
大試験地球の丸きこと如何に/松山足羽
大試験開始のベルの澱みなく/福井咲久良
夜学して蚊にくはれけり試験前/正岡子規
大試験咳とどめえぬ子がひとり/鈴木貞雄
窓の空は青きかな試験監督時間/井沢元美
薄氷踏みて試験のをはりたる/佐藤美恵子
大試験さなかの氷湖かがやけり/木村蕪城
昭和史にもつとも冥し大試験/赤松ケイ子
帰化試験受けんと老の夜学かな/常石芝青
引越しの毎ついてきた試験問題/小玉石水
待つ母に試験監視の頭のみ見ゆ/塚腰杜尚
二重窓に諏訪湖が見ゆる大試験/木村蕪城
試験憂し枯木にさがりゐる縄も/沢木欣一