喪服に関連した俳句の例をまとめました。
喪服を含む俳句例
羅の喪服北鎌倉に降り/松本進
氷店一卓のみな喪服なる/岡本眸
喪服着て七夕竹の裏通る/寺井谷子
外套の奥の喪服に凍徹る/飯田龍太
短夜や喪服しのばす旅鞄/能勢俊子
流氷に一点喪服めきて鴎/古館曹人
実万両女がひそむ喪服妻/高萩篠生
松六日うち一日は喪服着て/安住敦
遠山へ喪服を垂らす花の昼/桂信子
喪服きて覗く鏡台春障子/車谷弘佗助
羅の躾をおろす子の喪服/三宅スミエ
老楸邨の喪服の膝に毛布かな/岸田稚
遠き忌は喪服もつけず初桜/皆吉爽雨
喪服寒く泣きけり女五十人/細川加賀
喪服脱ぐ妻とわが黙雪の暮/鈴木鷹夫
青梅雨や森に喪服の五六人/栗山政子
婦喪服秋風帳をあふりたり/片山桃史
枯芙蓉一番奥へ喪服しまふ/鈴木鷹夫
寒雷や喪服のままの四十妻/古館曹人
寒鯉に喪服の男手をたたく/坂間恒子
俳句例:21句目~
喪服着て安房の蛤提げ帰る/下山宏子
栗の花喪服の人が通りけり/阪田昭風
極月の喪服の冷をまとひけり/樋笠文
万緑の中はじめての喪服着る/皆吉司
燕とび喪服の婦人鮓購へり/宮武寒々
二三日秋の喪服を吊しけり/岸本尚毅
皆喪服されど笑あり花薺/卯坂久仁子
全員が喪服で日傘さしてをり/辻桃子
喪服着て見違ふ妻や実南天/河辺智文
喪服着て越す踏切の秋の暮/池田秀水
突風や喪服黒白春うたた/阿波野青畝
冬茜喪服に乳房ありにけり/柿本多映
紐一本一本秋の喪服脱ぐ/薄/美津子
室の花喪服とは美しきもの/大熊左利
喪服より黒き晩夏の鋪道かな/高澤良一
いい音で喪服鳴るなり夏木立/清水径子
喪服来て花野の石につまづきぬ/丸千鶴
紅梅の高さに喪服の衿重ね/矢野千代子
春の昼喪服の中のししむらも/藤田湘子
炎天を急がず歩く喪服着て/村松ひろし
俳句例:41句目~
風花や喪服あはれに美しく/長沼三津夫
羅の喪服に紅き隠し紐/品川鈴子「漠」
雨の花火終りいそげり喪服脱ぐ/岸田稚
喪服着て常より若し竹落葉/古賀まり子
ひそかにも喪服誂ふ草は実に/向笠和子
絽の喪服涙通さむばかりにて/草間時彦
オルガンの奏者も喪服桐の花/柏原眠雨
鏡中にひかる淡雪喪服着る/鷲谷七菜子
万緑や喪服のゆるす首飾り/石川秀三郎
春疾風喪服を吊りし一夜明く/横山房子
冬の日の喪服の肩のうすぼこり/土田広
移り来し人の喪服や鳳仙花/石島雉子郎
寒夜覚め壁の喪服を怖れけり/伊東宏晃
喪服着て車中に酒を飲む寒さ/石原八束
喪服きて固きふところ氷水/赤松ケイ子
逢ふときは大方喪服冴返る/河野美保子
荒梅雨の喪服の母を受け止めぬ/岸田稚
喪服着るうしろ木犀匂ふなり/伊東宏晃
喪服脱がぬ鶺鴒に山眠りをり/堀口星眠
青梅の下をとほりて喪服透く/鷲谷七菜子
俳句例:61句目~
いわし雲喪服に残るたたみ皺/田中千鶴子
朝顔に喪服のひとのかゞむかな/瀧井孝作
風入れてたたむ喪服に緑さす/古賀まり子
さむざむと払ふ喪服のパンの屑/栗生純夫
はらからと喪服を灼かる炎天下/高澤良一
新雪の山へあしたの喪服垂れ/葛西杏維子
冬座敷昨日の喪服掛けしまま/松本久美恵
冬牡丹をみなに喪服うつくしき/安沢静尾
別れたる喪服の一人青田ゆく/松谷登城夫
喪服夫人椿を踏んでしまひけり/鈴木鷹夫
喪服持ち急くにせんなき春の航/田中英子
喪服着ていちにち妻は汗拭くよ/細川加賀
喪服着てみどり児あやす蝶の昼/稲井三子
喪服着て色なき風にふれてをり/大森理恵
喪服着て蜻蛉の羽音聞こえけり/岸本尚毅
喪服脱ぐ冬着は重くあたたかし/津田清子
嫁の十年喪服の双肩がさむし/山本つぼみ
喪服着る叔母と会ひたるソーダ水/皆吉司
夏つばめ喪服つぎつぎ山路より/飯田龍太
妻帰り夜長の居間に喪服脱ぐ/津村浅次郎
俳句例:81句目~
泣き寄りて肘のふれあう夏喪服/寺井谷子
燕も喪服皆何事か成せし人なり/福田蓼汀
畳みかく喪服の裾のいのこづち/高澤良一
旅発ちの喪服に着替ふ余寒かな/伊東宏晃
絽の喪服日暮れて紋の梅萎る/殿村莵絲子
夏萩や喪服のしつけ誰にとる/古賀まり子
芹貰ふその手で喪服吊るしけり/佐野笑子
虚子庵へこたびは喪服花冷ゆる/大橋敦子
虫干の不意にかなしき喪服落つ/清水径子
連翹のひかりに遠く喪服干す/鷲谷七菜子
雪の夜を灯して母は喪服縫ふ/古賀まり子
いくたびか喪服着し寒明けにけり/宮下翠舟
うつろにもたたみ嵩なき絽の喪服/和田祥子
春の夜の喪服着たまゝ寝そべりし/久米正雄
喪服着て林檎むく手をぬらしをり/桜庭梵子
縁先に土筆の出てゐる喪服着る/加倉井秋を
喪服着てガム噛みゐたり秋の昼/星川木葛子
炎天下仕立ておろしの喪服着て/高木あけみ
喪服着てのぞき込んでる蟻地獄/岸本マチ子
老人の日喪服作らむと妻が言へり/草間時彦