乳母車に関連した俳句の例をまとめました。
乳母車を含む俳句例
朝涼し国境渡る乳母車/有馬朗人
緑蔭に置かれて空の乳母車/昌治
夏湖に染まり息づく乳母車/原裕
下萌は声あぐるごと乳母車/林翔
蜻蛉と風の世界の乳母車/斉藤夏風
蟷螂に指さす母や乳母車/大熊義和
天上は鰯雲地を乳母車/小檜山繁子
短日の押す乳母車石多く/大井雅人
墓山や野の沖をゆく乳母車/徳弘純
乳母車中に日傘や寺の前/田中裕明
現世の枯園過ぎし乳母車/岩永佐保
乳母車南にならべ芋煮会/三村凪彦
緑陰に安心しきつた乳母車/角光雄
葉桜の葉騒に眠る乳母車/今田久子
緑蔭に大き異国の乳母車/藤本朋子
浪涼し干潟の端に乳母車/福田蓼汀
枳殻の花散る朝の乳母車/新田祐久
夏休の校門少し入る乳母車/中拓夫
乳母車欲しや丈なす秋桜/猿山木魂
筍ものせてたのしき乳母車/原田喬
俳句例:21句目~
乳母車轍わづかに若草野/祇園快太
乳母車通ればそよぐ霞艸/石原八束
天使乗せゐる春昼の乳母車/楠節子
蓬野にしばらく預け乳母車/大谷史子
喪の庭の錆乳母車柚子光り/館岡沙緻
囀りの田より空より乳母車/木村八重
きりこきりこと初秋の乳母車/原田喬
聖鐘や虹へ押しゆく乳母車/那須淳男
緑陰の刻とどまれり乳母車/大熊虚阿
絨緞に押す乳母車菖蒲の日/古舘曹人
恍惚とあるれんげ田の乳母車/吉岡泰
乳母車しづかに通る日向水/山本洋子
笹鳴や芝庭にある乳母車/島村元句集
乳母車など買うて遣り淺春/高澤良一
乳母車の中に大きな桜鯛/岩淵喜代子
乳母車もろとも廃家冬枯るる/岡崎光
大根をゆさゆさ運ぶ乳母車/武田和郎
櫻桃をぴしぴしと轢き乳母車/石寒太
乳母車帰る峰雲ばら色に/橋本多佳子
春光や双子を乗せし乳母車/当真嗣栄
俳句例:41句目~
秋風に押されて白き乳母車/木村敏男
秋風や城の辺いそぐ乳母車/藤岡筑邨
大寒の山ゆるぎなし乳母車/名取里美
乳母車緑蔭愛のごとつつむ/伊東宏晃
乳母車ふと忘れゐぬ蝗とる/坂本俳星
乳母車むかし軋みぬ秋かぜに/島将五
枯崖と日の寵頒つ乳母車/上田五千石
乳母車前へ前へと飛花の中/高澤良一
鯉幟分けあふ風の乳母車/畠山とみ子
かげろふの中へ押しゆく乳母車/轡田進
だんだんに杉菜遊びの乳母車/姉崎蕗子
七夕や古りてたたずむ乳母車/堀口星眠
乳母車が佝僂の歩行器雲の峰/国弘賢治
乳母車に八人の児や愛鳥日/広瀬ふき世
乳母車の行方は羨し露の坂/神尾久美子
乳母車やどかり潮の中に消え/友岡子郷
乳母車憩ふ噴水のびちぢみ/村谷龍四郎
乳母車紫陽花の毬いくつ過ぎ/行方克巳
夏蝶のつかず離れず乳母車/清野よし子
天と地を霞のつなぐ乳母車/河原枇杷男
俳句例:61句目~
寒雷すぎ乳母車の後匂いだす/赤尾兜子
山茶花や氷遠に押しゆく乳母車/水野麗
タベ風が三叉路で消す乳母車/楠本憲吉
数珠玉や乳母車より足が出る/橋爪鶴麿
日盛りの車中にたたむ乳母車/原田嶺子
春暑し赤子抜き取る乳母車/二本松輝久
春疾風向きかへて引く乳母車/伊藤文子
月夜経て鉄の匂いの乳母車/林田紀音夫
木下闇中心となる乳母車/阿部みどり女
木犀の風がねむたし乳母車/古賀まり子
桃咲くや子を歩ませて乳母車/千手和子
滅多打つ鍛冶の前ゆく乳母車/和田悟朗
花野ゆく小舟のごとき乳母車/八染藍子
茶の花や眠るまで押す乳母車/長谷弘子
蕗の葉のはみ出している乳母車/畠淑子
えごの花忘られしごと乳母車/川崎展宏
黄落の城崖に寄せ乳母車/鍵和田ゆう子
金木犀こぼれて押すや乳母車/内藤吐天
鈴懸並木の果ての一点乳母車/伊丹公子
露が散り露がふちどる乳母車/石原八束
俳句例:81句目~
風船の身もだえしてる乳母車/内山えみ
おんおんと氷河を辷る乳母車/中村苑子
麦秋や古乳母車また古りて/百合山羽公
乳母車ザビエル祭の鐘へ挿す/有馬ひろこ
乳母車の車輪がつけて行く春泥/細見綾子
乳母車と蝶と急げり遮断機へ/田川飛旅子
乳母車と交わす舌頭森は尽きず/和田悟朗
河原なでしこ嗅ぎし記憶の乳母車/汎馨子
シャボン玉連なつて舞う乳母車/志賀/誠
緋蕪菁を買ふ乳母車かたへにし/石原八束
泣くごと帰る夜店の婆の乳母車/羽部洞然
乳母車地に凍て暮るる屑部落/古賀まり子
のろのろと春をよこぎる乳母車/柿本多映
被爆地や鳩と落葉と乳母車/野見山ひふみ
夏の夜やカラオケバーに乳母車/平田桐子
芦花羨し押しやるひとの乳母車/永田耕衣
花散るや子を抜きとりし乳母車/伊佐新吉
光陰の矢の折れし野の乳母車/増田まさみ
鳩はらはらと降り冬麗の乳母車/加川憲一
茶の花や泣かせながらの乳母車/石田郷子