俳句例:101句目~
定年後峯雲つくづく見ることも/高澤良一
定年に得たる自由の野に遊ぶ/大久保白村
定年にやや間がありて古酒を酌む/田湯岬
溝萩をつくづく見ても定年来る/嶋田洋一
定年なき妻なに刻む今朝は優し/国しげ彦
石楠花を咲かせ定年きらきらす/中山和子
ばれいしよの花をみつめる定年後/穴井太
達磨忌や不意に決まりし定年制/芦沢一醒
寝ねを積む定年迎う日の近く/塩田薮柑子
停年やみなくれなゐの青木の実/秋元不死男
定年やもみじはらはらうらおもて/八木忠栄
定年勧告するもさせるも風邪声に/近藤一鴻
定年後をふた言三こと春の風邪/山本つぼみ
ブラシかけ今日定年の春コート/堀江紀代美
蝌蚪に見る定年といふピリオッド/高澤良一
定年のあとの暮しやセル軽く/佐々木あきら
茶の花にこぼれ陽が澄み定年来る/山本つぼみ
やをら定年西瓜の種を吐きだして/松本孝太郎
うつむく停年者を送る拍手と白息で/田川飛旅子
透析夫無事に停年鳥曇/大川幸子/『小春日和』
俳句例:121句目~
手の平に転ろがす定年/水割りグラス/鈴木正季
定年もなく夜はヒラメのように眠る/山田智津子
停年の夫と春愁わかちけり/野辺祥子/『遠野火』