俳句例:101句目~
まつげにもとびつく凍のあることを/稲畑汀子
わが睫毛まばゆく雲雀見むとする/鷲谷七菜子
霧にぬるゝ睫毛うごかし霧を視る/徳永山冬子
言ひよる人に睫毛伏せ縫ふ秋愁/長谷川かな女
ふるさとや麦の芽生えの睫毛ほど/猪俣千代子
汝が睫毛霧にはあらず濡れてゐし/成瀬櫻桃子
駱駝の睫毛春の失意を乗せましょか/五島エミ
かざはなや馬の睫毛にふれて消ゆ/本間/秀雄
秋暑しまつ毛にひと日の憂さ止まる/谷口桂子
芒の光まつ毛にとまるとめて病む/千代田葛彦
長いまつ毛して冬の日病んでいる/荻原井泉水
われとわが睫毛見てあり暮るる春/芥川龍之介
睫毛つよくまたたく梅雨に入るらしく/加藤楸邨
睫毛をわたる鐘竹林のコツケコツコ/八木三日女
またゝけどまたゝけど虹睫毛の雨/中村草田男「来し方行方」
硝子街に睫毛睫毛のまばたけりこのままにして霜は降りこよ/浜田到
まつげ長く妻に似て眠る子をならべ働く妻はいつしんに生きる主張を曲げない/橋本夢道