俳句例:101句目～
今生の森のみどりにふりかえる/和田悟朗
今生の紅葉且つ散るかくも散る/榎本好宏
今生の何がほんとや傘雨の忌/永井友二郎
今生れし嬰の十指の涼しかり/三上さかえ
今生の惜しい尽く尽く法師蝉/文挾夫佐恵
今生れて髪濡れゐたる三日かな/都筑智子
今生のおんなとおとこ火に還る/大西泰世
今生を燃えよと鬼の佞武多来る/成田千空
踊り果て今生終りしごとくなり/本宮鼎三
今生の汗が消えゆくお母さん/古賀まり子
青竹の今生の揺れまうしろに/大木あまり
今生に子は無し覗く寒牡丹/鍵和田ゆう子
今生にもうなき金環蝕澄めり/野見山ひふみ
もみぢ燃え今生量り無かりけり/赤松ケイ子
ちちはは降らす今生の雪ふりけり/中山純子
今生のつまづきばかり草は実に/鈴木真砂女
修二会の火今生といふいろにして/谷中隆子
今生に居合せバレンタインの日/鈴木しどみ
今生れし和紙の白さに触れては見ず/細見綾子
今生の妻とみどりの奈良大和/山田桂三「貴船菊」
俳句例:121句目～
一つ灯の消え今生の足冷ゆる/黄川田美千穂/『貝むらさき』
後世は猶今生だにも願はざるわがふところにさくら来て散る/山川登美子
