俳句例:101句目~
深夜訪へど終に会へざりはだれ雪/松崎鉄之介
櫛落ちて覚めし深夜のいなびかり/鷲谷七菜子
梅雨の深夜覚めて明るき灯をともす/右城暮石
深夜かな蝶の聲にて哭いてみむか/河原枇杷男
手をあげるおなじかたちに深夜の木/久保純夫
チューリップ深夜にもう一人の私/橋本美代子
深夜砲声斥候に行くと飯喰いいる/鈴木六林男
オリオンを九月の深夜見るかなしさ/相馬遷子
深夜街鯨のからだがリードしている/佐々木宏
まつさきに星が見付けし深夜の火事/田川飛旅子
母が死にゆく深夜の玻璃に燃ゆる火事/加藤秋邨
深夜、静かに呼吸している点滴がある/住宅顕信
應へ吠ゆる聲あり犬の深夜となる/不滅の愛/小澤武二
花八ツ手深夜の息吹雨となる/『定本石橋秀野句文集』
星と星かち合ふこがらし/ああ日本はするどき深夜/葛原妙子
ああ昨日のその場しのぎの優しさが深夜電話に化けてまた響る/島田修三