無口に関連した俳句の例をまとめました。
無口を含む俳句例
冬籠弟は無口にて候/夏目漱石
雛祭無口の童女輝けり/秋山好見
茸採の男滅法無口なる/山田弘子
舳先にて少年無口雲の峯/西宮舞
佗助や無口で若き窯主/小池和子
雪が降る無口の父は涙溜め/瀬戸密
年酒くみ男三代無口なり/原けいこ
羽抜鶏男は無口通しけり/成田昭男
海鼠桶覗きて誰も無口たり/小島健
名人は概ね無口紙を漉く/鎌倉園月
いつも騒ぐ男が無口闇夜汁/田中水桜
酒強く無口な人の墓洗ふ/鈴木真砂女
道連の無口なりける枯野哉/正岡子規
角切の無口な男ふりむかず/石垣久良
崩された山の骸は無口なり/清水恵子
帰省子の去にて再び妻無口/角南旦山
流氷の街みな無口なばかり/後藤岑生
鼬罠仕掛ける無口通しけり/嶋田一歩
煙草のむ他は無口に暦売り/加藤耕子
弟のひとりは無口しじみ汁/恒任愛子
俳句例:21句目~
栄螺選る無口を楯に島男/古賀まり子
旅了えて男無口やいわし雲/倉橋羊村
百八灯点す一族の子等無口/野口/清
男らの無口に椎の花ざかり/藤田湘子
独り居の無口身につき冷奴/澤島郁子
別れたくなき故無口春の月/遠藤忠昭
木曽谷の夏炉に坐る無口な奴/穴井太
鰯雲田に居るあひだ無口なる/角光雄
雷見て誰も無口や桐一葉/高妻津弥子
いつこくの無口は海鼠にもありし/林翔
けだものの目となり無口茸狩/高橋淑子
流木の榾火は海女を無口にす/船曳青峰
浴後ふと無口になりてとみに秋/大牧広
渋取のいやに無口な美髭なり/鈴木節子
火の山を背負い無口な青胡桃/塚田愁星
無口なる妻と無口に大根蒔く/甘田正翠
無口なる父の草笛よくひびき/二村陽子
照紅葉庭師無口をおしとほす/土屋孝子
熱燗やいつも無口の一人客/鈴木真砂女
燕今日去りたり妻の無口なる/菅沼義忠
俳句例:41句目~
疲れ来てみんな無口に雪流し/江本如山
落葉焚き途中で急に無口になる/桂信子
亀鳴くや男は無口なるべしと/田中裕明
飲めといふあと無口なる新走/辻美奈子
驢馬を打つ少年無口葡萄の荷/岡崎万寿
冷酒に酔ふていよいよ無口なる/梅田男
高千穂の村人無口かじか鳴く/遠藤春塔
列車待つ人みな無口雪時雨/長久保恵美
初弥撒や快男児太郎無口なり/小原洋一
台風や無口なる人動き出す/笹本カホル
年の瀬や無口を運ぶ終電車/野田まこと
挿してその無口を愛す吾亦紅/遠藤梧逸
日盛りのわが担送車無口なり/栗林千津
昨日より姑の無口や寒の雨/小島みどり
朝裳よし紀人無口に舟の秋/高橋淡路女
枝豆に無口の口を開きけり/三栖菜穂子
植木屋の無口めでたし松落葉/石川桂郎
椎の花いつも無口の斜面あり/城門次人
臘梅を無口の花と思ひけり/山田みづえ
寒月や歩調が合って無口になる/蛭名節昌
俳句例:61句目~
幻想明度に無口になった画廊守/伊丹公子
小鳥来る少年無口にして無言/井出真理子
鋳物工場の無口な奴にきらめく塩/穴井太
耶蘇島のなべて無口の牡蠣割女/武藤壱州
青すだち夫の無口につき合ひぬ/植原昭代
ジャンケンの無口な石が夕焼ける/西本愛
紅葉酔ひして誰よりも無口なり/伊藤白潮
夏負けの妻の無口のはじまりぬ/中畑耕一
訃もたらし無口もたらし雪降れり/加藤亮
乗り合はす人は無口に花うばら/坂下優絵
我が無口松葉を踏みてめぐりをり/齋藤玄
冬深井みんな無口になつてゐる/栗林千津
出稼村いよいよ無口目貼して/仲村美智子
根つからの無口の二人麦を踏む/落合芳子
煮凝りや無口の父の遺されて/北見さとる
草の穂や国後島見えてきて無口/高井北杜
無口なること涼やかに在しけり/高木晴子
耕せば石に沁み込む北の無口/相原左義長
栗むいて無口の夜のありにけり/松尾美子
栗咲くや無口に過ぎし少年期/金箱戈止夫
俳句例:81句目~
夏大根きざむ無口の娘となりて/土生重次
坂の町無口に歩きルミナリエ/中野路得子
無口なる父子が並びて西瓜喰む/古川淳子
水仙花ひと日の雨に無口なり/楠瀬千賀子
麦茶よく冷えて無口の整備工/齊藤フク子
会うたびに無口になる父鯖を裂く/坪内稔典
栗を剥くときの無口に身のぬくむ/野澤節子
秋風に病みて無口となりし子と/吉良比呂武
咲かぬ藻や無口の性の渡し守/鍵和田ゆう子
苗売りの無口ぞ良けれ飛行機雲/田川飛旅子
茶摘女のやがて無口となりにけり/福島加津
妹よ無口なり新興住宅地の秋夜/夜基津吐虫
豆撒きて無口な父にもどりけり/北見さとる
如月のペンギン無口とお喋りと/斉藤冨美子
雛あられ父の無口にたれも似ず/正木ゆう子
セロリ噛む二十となりて無口の子/高橋悦男
だんだんと無口が好きに枇杷の花/三並富美
雲丹を割く夫婦無口にひたすらに/笹森ノブ
みちのくの田掻き無口は牛ゆづり/鷹羽狩行
われら無口じっくり静寂垂れて雲/山岡敬典