俳句例:101句目~
小夜時雨上野を虚子の来つつあらん/正岡子規
小夜しぐれうましの嫁を祝ぎて辞す/宮武寒々
発ちし子の今はフエリーか小夜時雨/山田紀子
妻持ちしばかりの吾が身小夜時雨/成瀬正とし
小夜更けし行水ふぐりことにかなし/小林康治
どの酒場にゆきても一人小夜時雨/成瀬正とし
小夜しぐれ買ひきし米を量るなり/成瀬桜桃子
小夜時雨ほとけに履かす足袋買ひに/梶山千鶴子
落第の秀才哀なり小夜すがら蛾を撲つ/尾崎紅葉
もらひ湯のチリチリあつし小夜時雨/成瀬正とし
きさらぎや小夜のくだちのマンドリン/日野草城
小夜時雨玻璃におさへて灯かがやく/川島彷徨子
埋火とわが寝すがたと小夜更けぬ/五十崎古郷句集
しぐるるや人に気がねの小夜の壁/冬の土宮林菫哉
蚊が出ぬ不思議なやうな小夜着にて母臥し/喜谷六花
小夜食やパン焼けつ皿光りをり/『定本石橋秀野句文集』