天使に関連した俳句の例をまとめました。
天使を含む俳句例
湖に天使の階段白鳥来/高澤良一
展翅せよ天使の脚を白妙に/林桂
雀の巣廃墟の天使享け給ふ/不破博
天使乗せゐる春昼の乳母車/楠節子
半ドンの広告塔の天使かな/仁平勝
新年の気泡の森の天使/大西やすし
天使祭黒を着たがる娘たち/鈴木明
満月や深窓に佇つ一天使/夏石番矢
冬ざれや翼小さき燭天使/永方裕子
天高し墜天使の羽半開き/吉原文音
春の雷天使躓き落ちてきし/伊藤梢
夏蓬影なく天使像まろぶ/小林康治
ミサの鐘芝生の天使朝寝せよ/林翔
冬深し薔薇園石の天使おく/原田青児
天使過ぎわが顔の残りけり/鈴木まゆ
これや天使われより低く枯芝に/林翔
妻疲れをり天使の鰓づかひ/佐野鬼人
剥落の壁の天使や青き踏む/山本歩禅
反逆の天使に釣瓶落しかな/吉原文音
わたくしが生死を握る天使/櫂未知子
俳句例:21句目~
日出ヅル国ノ天使ノ乱レ髪/夏石番矢
此の國の霞の上を天使かな/筑紫磐井
石の天使半顔黒く春暑し/八牧美喜子
蝿生れ天使の翼ひろげたり/西東三鬼
野外劇夜涼を羽の天使たち/佐野美智
ライラック天使に石の翼あり/皆吉司
露の村天使の羽を彫る石工/佐野美智
青写真天使一群冷えている/四ツ谷龍
族にも蝶や天使や四温晴/竹腰千恵子
黄葉や天使の声に送られつ/横田昌子
二児が天使降誕祭を演出す/伊藤敬子
天使の夜の猪突を訝しむ/下村ひろし
天使の悍の静止や西東忌/秋元不死男
天使も母も秋天知らず病む/今瀬剛一
冬薔薇石の天使に石の羽根/中村草田男
天使祭棒パンと棒胸に抱き/沼尻巳津子
石の天使は億年瞑目雲の往来/伊丹公子
白薔薇の天使が墜ちる朝の卓/吉原文音
天使いま吾が肩に手を蟻地獄/景山筍吉
わが天使なりやをののく寒雀/西東三鬼
俳句例:41句目~
蓼枯れぬ天使の翼折れし如/水原秋櫻子
忘年の星に酔いどれ天使かな/高澤良一
天使のラツパみな鳴つて干場/和知喜八
熱帯夜天使のやうな冷気来し/小関桂子
聖夜劇終へし天使が母探す/遠藤若狭男
天使みつめゐる子の眼の蒼む/水口楠子
リラ冷の讃美歌もらす天使園/伊東宏晃
天使は生命しづかに花圃の隅/井上美子
月蝕へ笛吹くさまの天使百合/朝倉和江
八月の陽を射として天使の矢/対馬康子
冬ふかし薔薇園石の天使おく/原田青児
冬天へ天使の像のはばたける/衣川玲子
顔天使前向き耕人うしろ向き/西東三鬼
初御空天使の梯子かかりをり/大東照子
叫天使きのふは何を喋りしか/小出秋光
咲く花は天使の喇叭暑休大学/伊丹公子
啓蟄や天使の声のひきがへる/沢木欣一
春光のステンドグラス天使舞ふ/森田峠
線描のクレーの天使春のうた/矢島渚男
絵硝子の見える裏道飛ぶ天使/伊丹公子
俳句例:61句目~
ががんぼよ飛べ水煙の天使まで/橋本鶏二
その中の一羽は天使小鳥来る/高山あさ江
母がふく天使のラツパの花光り/和知喜八
天使の光背負へる夜のしじま/下村ひろし
柵瞬県れの砂利踏み天使像ゆく/西東三鬼
クリオネの立泳ぎなる天使かな/黒澤慶子
薔薇の苑石の天使は薔薇を見ず/谷中淳子
天使の泳ぎつかれて藻にしづむ/服部静江
囀に羽摶つことなき石天使/野見山ひふみ
地獄灼け天使の翼見ることなし/横山白虹
多孔質の天使訪い来る夜の突風/江里昭彦
大学総長らしき天使と聖夜待つ/大屋達治
スケートの少女天使の羽もらふ/桧垣くみ
秋風やひとみうすれし石天使/神尾久美子
聖保姆に園児に冬の天使百合/下村ひろし
酔どれ天使に寒灯さゝげ持つ電柱/穴井太
月照りて天使の羽のやうな雲/ふけとしこ
木犀の香につつまれし老天使/大木あまり
ひざまづき千草がくれに天使像/佐久間慧子
よちよちの天使のふぐり胡麻実る/吉原文音
俳句例:81句目~
スイートピー天使も匙を使ふらむ/須川洋子
パントマイム天使の輪っか夏空に/高澤良一
天使の糞と呼び優曇華を仰ぎけり/原子公平
月明の階を降りくる夢精の天使/八木三日女
氷河湖を天使が漕ぐのは黄昏どき/伊丹公子
天使の喇叭綺麗な嘘を吐いてゐる/丸山嵐人
ヴェール被てすぐに天使や聖夜劇/津田清子
恋の天使降りるならいまポピー畑/中山純子
水まいて天使の来る道あけておく/内田南草
夕映天使の鴎舞ふ間ぞ荒磯菜摘む/加藤知世子
郵便天使寒さがくれば寒さに克つ/磯貝碧蹄館
噴き上げの中の天使よ教師老ゆ/原田やすひこ
雲雀の天使零の星まで昇りつめよ/八木三日女
梅雨暗し天使も下りて来ざるべし/相生垣瓜人
ライラック天使の私語の聞こえくる/上野澄江
天使のみみだれながれながれて壇之浦/金井明
彷徨ふ蛾「墜ちし天使」を覓めつつ/相生垣瓜人
天使飛ぶ鹿飛ぶ狩猟の城は石のレース/伊丹公子
髯は天使の陽転であるありのとわたり/加藤郁乎
牡丹犯す酔ひどれ天使の眼と会へり/河野多希女