明くに関連した俳句の例をまとめました。
明くを含む俳句例
鴬や懐の子も口を明く/一茶
蛤も大口明くぞ鳴く雲雀/一茶
初烏一山雪に明くるかな/忍月
愛染の祭仏の燭明く/今井風狂子
戸明くれば東街道や冬籠り/几董
薬喰や明くるをまたぬ鶏汁/露甘
蕗の葉にぽんと穴明く暑哉/一茶
穴の明く松風もなし朧月/千代尼
雪ふりの明くる日ぬくし藪椿/之道
歓送や颱風に明くる駅の前/瀧春一
長城の一片明くる合歓の空/桂樟蹊子
明くるまで月光宿る霧氷林/田村恵子
うら門のひとりでに明く日永哉/一茶
風寒し卯の花原の明くらみ/松岡青蘿
寒明くるとて垢面の一教師/木村蕪城
寒明くるはだかの竹に母の顔/齋藤玄
麦めしで埒明く客やほととぎす/之道
ほの明く水溜りゐる霧の中/鈴木貞雄
松江とは城より明くる初鴉/藤原杏池
梅が香に障子明くればまだ寒し/伽孝
俳句例:21句目~
死の如し萩の裏葉の一夜明く/齋藤玄
下総は沼より明くる野蒜摘/木山白洋
有明に狐飼ふ子の春明くる/前田普羅
寒暁や神の一撃もて明くる/和田悟朗
法鼓いま薫風に明く蔵王堂/加古宗也
炭乏しそのほか乏し寒明くる/及川貞
地所のこと半ば埓明く芒哉/瀧井孝作
白く明く野麦も秋の道埃/山田みづえ
白魚や黒き目を明く法の網/松尾芭蕉
後山道ゆく手明くて雪見月/飯田蛇笏
約束の机も買はな寒明くる/小林景峰
紅はちす湖より明くる伊香郡/下田稔
蝌蚪明く原人のごと睡る漢/成田千空
幾鉢の朝顔明くるしづけさよ/手島靖一
雨明くなりし目前のひつじ草/臼田亞浪
月明く焦土の運河潮満ちたり/内藤吐天
野鼠の穴ぽつかりと寒明くる/伊藤京子
はつゆきや落葉拾へば穴が明く/千代尼
侠客の鮎にしらじら谿明くる/高澤良一
春疾風喪服を吊りし一夜明く/横山房子
俳句例:41句目~
水音より明くる街道燕来る/加藤安希子
月光も岩越す濤も寒明くる/米沢吾亦紅
鉾の灯のともれば扇店も明く/岸風三楼
初旅の熊野雷鳴もて明くる/山口超心鬼
土明く紫の日照雨はじきけり/西島麦南
蓬莱や障子明くれば日の光り/角田竹冷
老星は鞴火に似て寒明くる/百合山羽公
浜明くる砂地育ちの車前草に/高澤良一
大師講明くれば暮るゝ夜なりけり/白雄
大椨の幹のざらりと寒明くる/高澤良一
秋灯のあまりに明く人若く/五十嵐播水
槍ケ岳槍研ぎ澄まし寒明くる/小島左京
寒明くと日がな濡雪日照り雪/西本一都
竹の声晶々と寒明くるべし/上田五千石
月明くなりて水天わかれけり/日野草城
水音の明くる早さよ水芭蕉/三ケ森青雲
寒明くる白い障子を北にはめ/清水径子
盛り上る鰆の潮に瀬戸明くる/河野美奇
寝羅漢の薄目ひらきて寒明くる/旭蝸牛
栃の花安静時間明くる待つ/石田あき子
俳句例:61句目~
水垢離の背より明くる師走風/横光利一
冷奴音なく食べて忌の明くる/大木あまり
わが俳句人もすさめず寒明くる/西本一都
夏の夜や木魂に明くる下駄の音/松尾芭蕉
天譴のゆるみしこゝち寒明くる/河野静雲
寒明くる日当る板塀日かげる溝/菖蒲あや
寒明くる繊月温室にあふがれぬ/西島麦南
山の宿けんちん汁の香に明くる/設楽雅衛
川波の手がひらひらと寒明くる/飯田蛇笏
手を打てば木魂に明くる夏の月/松尾芭蕉
放下する雪も僅かに寒明くる/百合山羽公
或る家で猫に慕はれ寒明くる/秋元不死男
白梅に明くる夜ばかりとなりにけり/蕪村
杉の香に明くる山河やむかご飯/高橋好温
糸で明くからくりの目や初氷/宇佐美魚目
槻芽立ち月夜明くるを急ぎをり/小林康治
紙を漉く女の業に寒明くる/長谷川かな女
花を待つこころに明くる御空かな/桂信子
暑き日の昨日の空に似て明くる/橋本一水
露草の瑠璃より明くる紀の山河/松本幹雄
俳句例:81句目~
歳明くる戸を星空へ繰りて老/長谷川素逝
明くる日の事にこもれる椿かな/永田耕衣
裏白と一夜明くれば古稀の父/百合山羽公
寒明くるこぼれたまりし梅もどき/林原耒井
海鳥のほのぼのしろく終夜業明く/細谷源二
枯木灘がうがうと鳴り寒明くる/横山美代子
望の夜もともしび明く病みにけり/日野草城
樟の木に樟の香のあり寒明くる/上野さち子
ははの喪の明くる葛湯をときにけり/村岡悠
豁然と寒も明くべきものなるを/相生垣瓜人
郭公や尿意しきりに一夜明く/阿部みどり女
客間洩る寝語りに雪の夜の明くる/宮武寒々
うるうると白木蓮容れて明くる空/高澤良一
白百合やほの~明くるほとり草/東洋城千句
靉靆と野の明くるかなほととぎす/石崎素秋
いとせめて送火明く焚きにけり/長谷川零余子
夏の夜は明くれどあかぬまぶた哉/荒木田守武
松明入衆の火をうちかぶり寒明くる/高橋朔羊
堕ちし蛾のあをあを明くる看護かな/石川桂郎
ままごとの茣蓙そのままに霜に明く/永井龍男