国境に関連した俳句の例をまとめました。
国境を含む俳句例
雪残る頂一つ国境/正岡子規
連翹や水衰えし国境/穴井太
片栗や近江若狭の国境/浜明史
山眠る岡山兵庫国境/吉屋信子
流氷の海が即ち國境/伊藤柏翠
朝涼し国境渡る乳母車/有馬朗人
国境上り下りや芽吹山/山崎/博
布袋草氾濫国境兵歩く/松山足羽
一峡を以て国境鳥渡る/倉田紘文
会釈して通る国境夏薊/赤尾恵以
真夜中を叩く私的な国境/穴井太
軍服の袖に蝿来て国境/藺草慶子
國境を越ゆ火車の窓黍嵐/石寒太
滝の上鷹が定める国境/有馬朗人
麻薬嗅ぐ犬ゐて暑き国境/堀恭子
流氷のいま国境に掟あり/古舘曹人
国境や秋深く置く石一つ/中川宋淵
國境の棒杭立つや秋の山/正岡子規
その沖に国境のある鰯網/二宮弘子
大嶺の集まり眠る国境/松本たかし
俳句例:21句目~
海は国境少年の凧あがる/対馬康子
轍くろく雪を抉れり國境/相馬遷子
実柘榴や因幡美作国境/和田しずえ
夏蝶の越ゆる国境検問所/水田光雄
国境を守るかに鷲旋回す/広中白骨
吾も越す霧の國境群鶫/石田あき子
夏燕いまは見えざる国境/対馬康子
国境へ夢の速さに水流れ/対馬康子
国境に大稲妻の走りけり/内田/進
畑打や孔子去る魯の国境/大谷句仏
国境のなき大空を鶴飛来/高橋白露
国境や寒天乾く路傍より/古舘曹人
流氷の眼下に浮かぶ国境/川村暮秋
初雪や川ひとすぢの国境/大和美人
枯れざまの馥郁として国境/草間時彦
眠らざる国境白線より五月/対馬康子
きしきしと国境の風氷下干/佐藤昌市
国境の雲低うして虫そぞろ/臼田亜浪
雪のあとさき柿瞬きて国境/松村蒼石
雪山を背に立つ国境歩哨兵/深田久彌
俳句例:41句目~
風花や遮断機ひとつの国境/八巻絹子
バーゼルは国境の町窓西日/高木晴子
俳諧に国境はなし虚子祀る/杉崎西風
厚ジャケツ一枚着足す国境/鈴木栄子
双六の折り目正しき国境/宮下恵美子
呉と越の国境なる畦を焼く/白井眞貫
国境に全うしたる秋の虹/大峯あきら
国境に長き停車や枯るる中/森田公司
国境のゲートに遊ぶ羽抜鶏/小林泰子
国境の夜の町なりソーダ水/原田青児
国境の灘を背に負ひ秋耕す/犬束孤憧
国境の町向日葵の炎なす/片山由美子
国境は涼し兵舎の置ランプ/田村了咲
国境を見晴す対州馬肥ゆる/河野青華
国境に立てば故郷恋ふ冬茜/加藤一水
国境を越え来る人夫棉の秋/田口梅子
國境に鋸草などあはれなり/山口青邨
山は秋湯けむりの立つ国境/高澤良一
昼月や稲架結ひかはる国境/佐野美智
あきつとび国境の丘高からず/山地曙子
俳句例:61句目~
国境過ぐ岩と蛇との空間澄み/中島斌雄
焚火して國境に果つ道普請/石田あき子
獅子独活の弾け咲きして国境/大石悦子
国境といはれ夏潮あるばかり/稲畑汀子
笑顔には国境のなき春の旅/山崎志津子
巨大な工区の隅で国境石枯れる/穴井太
国境は人のみにあり鳥雲に/小岩よし子
納涼映画国境越えて逃亡せり/鈴木栄子
継ぎ目なき国境の空鶴引けり/秋本敦子
国境をは気儘にニライカナイ/上野草子
国境の辺り胡瓜の花ざかり/井上たか女
葡萄熟るる起伏いつしか国境/細谷鳩舎
螻蛄は夜の闇をふりまく国境/河野南畦
南洋の朝礼こは国境行の汽車/伊丹公子
春の夜の藁屋ふたつが国境ひ/飯田龍太
銀行一つ国境に雨冷ゆるかな/吉野義子
国境の湖の一つにスワン来る/久米幸叢
国境や馬鈴薯の花咲ける町/橋本多佳子
棒切れを国境となす蝌蚪の国/伊藤瓔子
ふところに水のながれる国境/久保純夫
俳句例:81句目~
国境やシネマのなかの扇風機/大井恒行
国境の他に何もなし春の部屋/攝津幸彦
国境の丘また丘や葡萄熟れ/小路智壽子
薄雪草陸奥と出羽との国境/小野百合子
おぼろ夜の汽笛トンネルが国境/野澤節子
この天のどこが国境赤とんぼ/北見さとる
なんばんにかくるゝ家や国境/鈴鹿野風呂
国境はいくさかりがね渡るなり/田村了咲
国境の西にジョン&メリー没る/攝津幸彦
泥濘や国境過ぎればダリアの村/石井哲夫
国境の冬日まいにち沈みけり/大峯あきら
三輪車で国境こえるかるくなり/阿部完市
蒼白の国境にきて哄笑ふかな/富澤赤黄男
國境の野に夏花めき手折るもの/依田明倫
国境を越えて雲雀になつてゐた/柿本多映
鹿鳴くや日の入るときの国境/大峯あきら
たんぽゝや国境近く木のポスト/殿村菟絲子
ひなげしの咲く国境を越えにけり/増澤和子
国境を越えきて眠るハンモック/石崎多寿子
国境へ向くしづけさを合歓咲けり/内田美紗