被爆に関連した俳句の例をまとめました。
被爆を含む俳句例
氷水真赤広島被爆の日/矢島渚男
梧桐の被爆の幹に蝉生る/川口崇子
被爆後の人うつり去る春の川/原裕
広島の被爆者名簿虫干す/多摩/茜
秋青き茂りや被爆中心地/石塚友二
炎天の認定被爆者席二百/鈴木貞雄
萩刈れば現れし被爆の石畳/宇川紫鳥
被爆せし廃船眠る雪の果/相河美智子
曼珠沙華私誰の子被爆の子/高橋/翔
かの窓を覆う青桐被爆者病む/穴井太
粽結ふ母に被爆の家のこり/中尾杏子
梅雨晒し被爆聖像石に帰す/津田清子
鶯の初音ききとむ被爆坂/秋月すが子
除幕され被爆碑雪をひた面/奈良文夫
被爆せし大樹が放つ蝉時雨/朝倉和江
遺されし被爆者手帳年迫る/玉井吉秋
被爆者の万の声聞く竹煮草/河野南畦
被爆して幾夏原因不明の死/玉城一香
被爆林灼け長官の死を伝ふ/皆川白陀
葉桜や塔の九輪に被爆痕/木村里風子
俳句例:21句目~
被爆墓地朝焼けて艦進水す/石原八束
洗鯛宿の婢さらりと被爆談/奈良文夫
被爆堂濃き片影を我に賜ふ/中島斌男
被爆址に人日の客情脆し/下村ひろし
被爆地の歳月封じ小米咲く/宮崎良樹
戦やみ被爆の跡の風は秋/小松崎爽青
目の玉を宥める瞼被爆地忌/池田澄子
被爆地に残暑の森や風軽し/雨宮抱星
春寒し被爆の漁夫の描眉毛/羽部洞然
ある秋の日に遭う産衣被爆物/和知喜八
被爆時報平和の泉いま激す/下村ひろし
被爆村の友の賀状を読み返す/市川智栄
青麦に影濃き被爆ドームかな/増田昌恵
額に汗孤老や被爆永らへし/下村ひろし
風雨して被爆十八年忌なり/下村ひろし
今年また被爆名簿を曝しけり/滝はる江
冬の鳶被爆地上に降りられず/岸風三樓
原子雲灼け地軸なき被爆絵図/玉城一香
夏の蝶被爆ドームの中へ消ゆ/平松睦子
大花火どれも被爆の声で満つ/石橋照子
俳句例:41句目~
戦遠し被爆ドームの蝉しぐれ/野地一枝
持ち古りし被爆者手帳原爆忌/竹下陶子
新樹あり被爆石あり朝日さす/関塚康夫
春寒し被爆詩人の忌を修す/小林美智子
栗咲くや被爆者に来る検診日/朝倉和江
流燈の火を打ちかへす被爆川/大矢章朔
炎天の心音たしかむ被爆の地/小林道夫
牡蛎船の灯りを映す被爆川/小池シゲミ
犬一猫二われら三人被爆せず/金子兜太
白布敷き被爆者名簿曝しけり/矢田邦子
白結飯すずしく被爆石の上/赤松ケイ子
空蝉の爪のくいこむ被爆の木/助田素水
立ち上がる直射日光被爆者忌/三橋敏雄
被爆像仰ぎ現し身灼かせをり/中島斌男
菊冷の家具にもありし被爆痕/朝倉和江
落葉被て被爆石獣病む如し/下村ひろし
葉桜やガラスケースに被爆石/坂本孝子
被爆の町で華僑は白い粉を練る/高島茂
被爆図や死蝶は眼閉づるなし/二川茂徳
被爆国に大統領よ座りなさい/谷山花猿
俳句例:61句目~
被爆地に夾竹桃の花咲けり/中野美智子
被爆堂クローバ柔し憩へとぞ/中島斌雄
被爆忌のいのち素直に髪洗ふ/中尾杏子
被爆忌の地中の霊に水そそぐ/深谷雄大
被爆忌を重ねて餘命有難し/下村ひろし
黙祷や汗なめて礼す被爆時報/小林康治
被爆映画終わる冷房止めしまま/嶋谷陽子
この庭もかつて被爆地水を打つ/朝倉和江
被爆地の樹液吸ひたる夏の蝶/平中恵美子
被爆忌の噴水は穂を高くせよ/下村ひろし
被爆地や母の音こぼす冬泉/鍵和田ゆう子
被爆地や鳩と落葉と乳母車/野見山ひふみ
夜遊びの老婆に泛び被爆の橋/鈴木六林男
被爆待ち一頭でいるキリンの首/谷山花猿
被爆後のいつ竣りし噴水銀の棒/友岡子郷
夏帽胸に当てて二少女被爆の磴/友岡子郷
被爆忌や油の浮いた田水沸き/下村ひろし
炎天はきつと/被爆の余熱である/森洋彦
讃美歌のながるる月の被爆坂/松田とも子
仰ぐ木となりたり被爆地の新樹/朝倉和江
俳句例:81句目~
五人共被爆者といふ牡蠣割女/波出石品女
旱り灯の高みくらみて被爆墓地/石原八束
母子まなこ没して炎えて被爆展/諸角せつ子
水を欲る被爆の手あり硝子器に/国武十六夜
ひとたびは失せし被爆の髪洗ふ/秋月すが子
被爆地の空に尽きせぬ残暑あり/飯島芙美子
被爆地の骨のしろさのさくらかな/朝倉和江
被爆地へ発つハンカチの白ばかり/鈴木鷹夫
寒き夕映え被爆ドームを宙にして/岸風三楼
蘇鉄咲き祈る指なき被爆使徒/野見山ひふみ
夾竹桃いずくに咲くも被爆の花/安田くにえ
春尽きて氏名さだかに被爆服/鍵和田ゆう子
被爆手記吾にはあらず忌に詠ふ/下村ひろし
花うぐい被爆の川をさかのぼる/荒田千恵子
草刈るや被爆の孤老生き耐へて/下村ひろし
被爆箪笥買ひ替へよとや亀の鳴く/朝倉和江
花かつお原爆被爆者の忌日殖える/池田澄子
ただ祈りあるのみ被爆の碑ぞ灼くる/向野楠葉
被爆忌のけふも児下ろす患者来る/下村ひろし
被爆忌へその日の孤児が母として/下村ひろし