山影に関連した俳句の例をまとめました。
山影を含む俳句例
鹿ながら山影門に入日哉/蕪村
青柿に山影移る天武陵/角川春樹
仏壇へ十一月の山の影/鈴木厚子
夕空や紫苑にかゝる山の影/閑斎
秋まつり大きな山の影の中/黛執
川半ばまで立秋の山の影/桂信子
大寺に山影どつと鳥総松/斎藤夏風
風吹いて消し山影や寒雀/宮武寒々
黄葉の一樹に山の影及ぶ/嶋田麻紀
山影や氷に上る風のいろ/鷹羽狩行
柴の戸に入るや秋たつ山の影/樗堂
山影の早き楮を抱き刈る/松林朝蒼
親鸞忌近き山影大いなる/飯島晴子
水芭蕉水面に山の影重ね/宮崎要子
半身に口山の影耕せる/中戸川朝人
朝の間の親山影や山始/大橋櫻坡子
爆竹や瀬々を流るる山の影/原石鼎
山に山の影濃く遠し神渡/池田如水
山影を砕きて鴨の着水す/松下朱実
山影を沈めて峡の代田掻/藤澤美代
俳句例:21句目~
山影のずんずん迫る薬喰/内田美紗
園にでて山影谿し榾の酔/飯田蛇笏
山の影落穂拾ひに稲苅に/相馬遷子
山影に終ひ支度の大根売/神原栄二
山影をひとつ移りし蕨狩/斉藤夏風
岩籠どさと置かれて山の影/下田稔
山影の中を這ひゆく早苗取/澤村昭代
山影の切込んでくる竹煮草/矢島渚男
山影の彩があるかに冬の水/古舘曹人
山影の瀞にゆがみし猟名残/斎藤夏風
山影の迫りてゐたる干蒲団/池田秀水
もう山の影がとゞいて大根引/飴山實
山影は暮色のはじめ雪婆/山田弥寿子
山影をかぶりて川面花の冷/西山泊雲
初鴨や男体山の影に浮き/小川斉東語
墓山の影となりゆく雁の空/齋藤愼爾
山にゐて二月の山の影をみる/小澤實
山影を日暮とおもひ浮寝鳥/鷹羽狩行
春蘭に山影せまる音もなし/青木重行
畦豆を引く山影の外に出て/山崎羅春
俳句例:41句目~
山の影洗ひし墓におよびけり/堤高嶺
山の影湖心にしづめ黄釣舟/加藤耕子
茶を摘むやまだ山影の母の里/中拓夫
葛餅や山影たたむ茶屋の前/吉田冬葉
高流れしても山影夕蜻蛉/鷲谷七菜子
鴨引きて湖に山影返しけり/菊井稔子
枯山の影の来てゐる晩稲刈/草間時彦
枯芝に夕日の山の影のびる/伊藤淳子
歳晩の橋の半ばに山の影/中戸川朝人
畑打にけふの終ひの山の影/野中亮介
送行や湖水の底の山の影/大峯あきら
麻刈りて屏風に淋し山の影/正岡子規
冬銀河山影かむる陶の町/柴田白葉女
初寅や信貴の山影寒きかな/石井桐陰
蒟蒻掘る人を覆ひし山の影/浅見さよ
山影が目と鼻のさき晩稲刈/宮田藤仔
山影に山沈みゐる梅の花/須ケ原樗子
山影のけふ深き川雛流す/鷲谷七菜子
山影のさす停車場や木槿垣/滝井孝作
三輪山の影置く池も涸れはじむ/森田峠
俳句例:61句目~
どの山の影ともならず蜜柑山/辻田克巳
田じまひの煙の捉ふ山の影/中戸川朝人
水打つや山影きたる街の中/大橋櫻坡子
ひやひやと百姓帰る山の影/鷲谷七菜子
山影の冷えてきたりし川床料理/小島健
岩手路や田植済みたる山の影/瀬知和子
山の影かぶさり冷ゆる崩れ簗/今井時子
午後もまた山影あはし幟の日/田中裕明
街道に山影せまるとろろ汁/鷲谷七菜子
残雪や日ねもす山の影去らず/籾山柑子
山干しの蒟蒻に来る山の影/野崎ゆり香
野施行の山影寒きところまで/福永耕二
数へ日の町に伸びゐる山の影/伊藤通明
のしかかる巨き山影馬冷やす/伊藤虚舟
末枯やはや落ちかゝる山の影/相馬遷子
山影の移りゆくなか胡麻叩く/棚田良子
冬銀河山影かむる和紙の里/柴田白葉女
山影は人を濡らさず牡丹の芽/鈴木太郎
山影を大きくしたる花野かな/永田呂邨
晩涼や湖舟がよぎる山の影/水原秋桜子
俳句例:81句目~
高稲架に冷えし山影倒れ来し/中島真沙
寺影を出て山影の林檎みち/鳥居おさむ
達磨市山の影濃き秩父かな/伊藤伊那男
山影をわけあう村人花山桜桃/児玉悦子
青みどろ山影鰡をとばしめず/林原耒井
山影を抜けしとき瑠璃黒揚羽/高橋笛美
はこべらや親につめたき山の影/長谷川双
ひえびえとなすこと溜る山の影/飯田龍太
三輪山の影なる中に種おろす/福田千栄子
山の影に押さるる日向蒟蒻掘る/奈良文夫
との窓を見てもすゞしや山の影/正岡子規
大根を蒔けば山影すぐに来る/大峯あきら
山影も夕日も入るる植田かな/水井千鶴子
蕎麦刈るやいちにち山の影の中/太田光子
ふたたびは山影を出ず遠花火/片山由美子
逆しまの山影蝌蚪のよりどころ/横山椒子
浦唄涼しそれとおぼしき夜山影/林原耒井
天城路の五時は山影花わさび/秋元不死男
山よりも山影の鋭き二月かな/川中由美子
睡る童に山影うつる簟/永野好枝「寧楽」