爺に関連した俳句の例をまとめました。
爺を含む俳句例
常念も爺も峙つ雪の果/澄雄
氷店爺と婆ゐて婆出て来/小澤實
爺と婆布子着てをり別れ霜/瀧春一
婆よりも爺のひそけき早苗村/澄雄
向日葵の高きに爺の肩車/中川和子
螽焼く爺の話や嘘だらけ/正岡子規
日向ぼこ子犬と孫と爺と婆/伊藤勉
彎曲し二百十日の爺婆よ/齋藤愼爾
御正忌の飯炊き爺の長煙管/志奈子
竹藪あり爺婆をりて初雀/山口青邨
元旦や爺と婆とが子宝湯/後藤綾子
春の夜や京の大路の化爺/正岡子規
ゑひ泣の老爺うたてや年忘/松瀬青々
爺が行水のあと婆が洗濯や/鵜沢四丁
さし艾ともす老爺を生身魂/松瀬青々
鮟肝に目尻を下げぬ好々爺/高澤良一
竹馬に乗つて爺に見せにゆく/松本旭
どの組も爺婆付きの七五三/高澤良一
雪形の種撒き爺や鎌を研ぐ/堀越鈴子
陽炎や昼寝の爺の白髪なり/正岡子規
俳句例:21句目~
降られけり十夜帰りを爺と嫗/黛鏑川
にごり酒爺が自慢の秋田犬/佐藤牧羊
衣更着や爺が紙衣の衣がへ/正岡子規
川狩や念珠みえたる爺の腰/綾部仁喜
爺は釣婆は念仏の春日かな/正岡子規
恐る恐る花見る爺や丸の内/正岡子規
七十の爺がかしらや早苗取/石塚友二
上簇期爺診て爺に送られし/金子千侍
麦蒔もして子孝行爺と婆/小原菁々子
藁に寝て子牛守る爺神楽宿/田中英子
六夜様婆にまじりて爺一人/斎藤青山
冬晴れや庭来る爺は吾が姿/野村喜舟
爺婆無臭無温首折る千枚田/国しげ彦
爺婆の蠢き出づる彼岸かな/内藤鳴雪
蕗のとう一年爺は病んで喃/古沢太穂
昔爺と婆と住みけり桃の花/正岡子規
唐辛子ぐいぐい曲り爺婆村/熊谷愛子
豆刈つて洞爺の湖の藍深む/竹中恭子
女生徒に爺の咲かせし花の雲/楠節子
春天を降り立つごとし爺杉/平井照敏
俳句例:41句目~
婆杉は失せて爺杉梅雨深し/細川加賀
爺さまの口許に似て隼人瓜/高澤良一
木耳や爺と婆とに病増え/滝沢伊代次
小溝澄む真昼老爺の白絣/柴田白葉女
爺と婆手つなぎ四万六千日/菖蒲あや
秋近き洞爺の大に身を置きぬ/林原耒井
その君が薬掘りとは爺むさい/高澤良一
御社壇に小春の爺が腰かけて/正岡子規
ステテコや湯滝に通ふ爺仲間/遠藤梧逸
一島を売りに出されて爺脱皮/玉乃井明
初あらし洞爺は大き湖なれば/林原耒井
初電話爺と婆になりました/赤坂芙美江
をうをうと爺が鳥呼ぶ菜種梅雨/原田喬
婆依怙地爺臍曲がりのつぺ汁/川村紫陽
子守爺いままでゐたる茂かな/飯島晴子
小春日や又この背戸も爺と婆/正岡子規
山焼きの爺を鬼爺と思ひけり/正岡子規
岩海苔を掻きに爺婆走りけり/矢島渚男
月涼しといへる老爺が達者哉/尾崎紅葉
絵馬堂の子守爺婆々冬ぬくし/河野静雲
俳句例:61句目~
武甲山晴れて爺似の桑の瘤/内藤とし子
爺の背に負はれて冬田何もなし/森澄雄
爺婆に水車とまりし雪ごもり/山崎秋穂
爺婆の美しき田を植えにけり/久米正雄
瘤爺の山焼く火をぞ放ちけり/野村喜舟
盆前のこんにやく畑爺が出て/大石悦子
祭見やこぶの爺のあこにをる/高野素十
老爺老婆共に杖突き風の弥生/原子公平
花むしろ踊れる婆々に爺不興/河野静雲
藁塚も老爺の影ひく日暮れ刻/海上晴安
藻屑拾ふ老爺か老婆なる孤り/成田千空
道問へば頬被り解く老爺かな/森田英夫
酒酌んで壷となりたき爺夜長/椎野順子
雪形の蝶よ爺よと田水張る/笠原蜻蛉子
鶴首の爺来て清水すこし飲む/嶋田麻紀
百万遍数取り爺のちやんちやんこ/平岩静
爺と婆と江戸見に行くや綿帽子/正岡子規
啜るたび爺むさくなるとろろ飯/高澤良一
河豚料る爺と婆でありにけり/小原菁々子
色鳥来爺さん婆さんぱりつとす/武田伸一
俳句例:81句目~
爺に水かけてよろこび水遊び/石井とし夫
千国雪来と爺のもてなし隼人瓜/柳沢芳子
八目鰻捕る川の向かうの頑固爺/高澤良一
炉ばなしの盛りすり寄る爺の膝/影島智子
今年も亦爺が南瓜を召されける/寺田寅彦
お使ひはさらし鯨よ爺ちゃん子/高澤良一
泣けぬ爺ばかりのベンチ八重桜/熊谷愛子
爺さまの意地の悪さよ涼しさよ/筑紫磐井
雪舞ふ日老爺橇曳き町さまよふ/岡田日郎
しぎ焼に爺婆の箸出合ひけり/大木あまり
慈恩寺の爺と婆の舞や稚児桜/阿部トヨ子
真菰編む爺婆が居て星とべり/長谷川かな女
岩牡蠣のやうな爺ゐてさざえ売る/高澤良一
ひよんの実に自問自答の阿爺かな/垣上鶯池
掘りて昏れぬ爺もろとも八つ頭/山田みづえ
面掛けの出を待つ「爺」と椨の瘤/高澤良一
爺ちやんにもらふ皺くちやお年玉/木田千女
死の家遠見に舟漕ぐばかり老爺の手/伊丹公子
種案山子死んだ爺様に似てをられ/竹南寺摩耶
炉辺の婆々おつゝけ爺が帰るといふ/鈴木花蓑