ポストに関連した俳句の例をまとめました。
ポストを含む俳句例
薫風の島のポストに落す文/星野椿
旱魃やポストに犬の尿短か/宮坂静生
労れて戻る夜の角のポストょ/山頭火
文落す夜寒のポスト音返す/大橋敦子
春愁を赤きポストに投函す/田中冬二
春愁はポストの朱さかへりみる/原裕
街灯もポストも踊りさうな阿波/蔦三郎
ポスト迄寒の満月上るころ/鳥居曼珠子
花風の埃に赤きポストかな/島村元句集
祇園会の真只中のポストかな/黛まどか
春の雨郵便ポストから巴里へ/浅井愼平
元町の丸いポストよ黍焼く香/吉田紫乃
凩やポストの腹のひらかるる/松尾隆信
切干や村にのこれる丸ポスト/福原満恵
ポストまで通ふ日多し三月尽/馬場利春
梅雨昏し船内ポスト灯れる/五十嵐播水
ポストの腹あいて降誕祭の街/大石雄鬼
暮遅し門燈をつけポストを見/星野立子
大方はポスト色あせ柳散る/波多野爽波
天高し町のポストに蝶もつれ/皆吉爽雨
俳句例:21句目~
ポストまで歩く時間や三ケ日/横山芦石
山蔭やしぐれの道の函ポスト/石塚友二
長安に落葉はじまる青ポスト/中村明子
宵闇やポストあるべき此辺り/数藤五城
塗り替へてポスト肩張る十二月/反町和子
新宮の九月の灼くるポストかな/黒田杏子
日の出前五月のポスト町に町に/石田波郷
春星や今日三度目のポストまで/内田美紗
春風と五分あるけばポストです/大塚駒女
炎天のポストは橋のむかふ側/鈴木しづ子
なまぬるきポストの口や原爆忌/内田美紗
ぬりたてのポストに落とす雪便り/石寒太
まるで陽炎兄逝きし日のポスト/神野園子
燕の巣フェリー乗場の赤ポスト/渡邊路美
ポストから玩具出さうな夜の雪/渡邊水巴
眼打つ雨あたゝかしポストまで/川崎展宏
稲妻に夜の湖畔のポストかな/波多野爽波
素足にて出る元日のポストまで/梅本初子
落し文森のポストに入れて来し/宮脇白夜
藁屋根と赤いポストや秋黴雨/長山登良雄
俳句例:41句目~
郭公や山のポストに日が当り/矢崎ちはる
ポストまで手紙を庇ふリラの雨/藤間綾子
雀隠れ母の散歩のポストまで/古賀まり子
ポストが口あけている雨の往来/住宅顕信
五六戸のためのポストや山眠る/水本祥壱
元日のポストの口が閉まらない/松田秀一
奥阿仁駅しぐれ真赤な箱ポスト/田村九路
寒星や出した手紙はまだポスト/内田美紗
手を入れしポストの口の春の闇/橋本榮治
ポストある茶店で書いて避暑便り/千原草之
神の留守ポスト真赤く立てりけり/藤岡筑邨
この避暑地ポストの多きことうれし/森田峠
ごみをかぶる柳の下のポストかな/寺田寅彦
たのまれて竹馬の子のポストまで/黒田杏子
たんぽゝや国境近く木のポスト/殿村菟絲子
緑蔭に母を待たせてポストまで/池村/惇子
ポストにも注連結ふ島の郵便夫/壺井/久子
ポストの頭冬日てらてら虚実古り/木村蕪城
ポストまでハガキを出しにお元日/荒井英子
春の灯の届くポストを覗きけり/安済久美子
俳句例:61句目~
ポストまで同じ木のある夜寒かな/森ゆきお
乗鞍のみじかき夏のポストかな/大庭三千枝
着膨れてポストが遠くなりにけり/細川加賀
松落葉踏みつゝ行けばポストあり/下田椎羊
枯野の陽果てしポストに口がある/河合凱夫
柄長鳴き牧のポストが賀状まつ/望月たかし
柳絮飛ぶ橋のたもとのポストかな/黒沼草生
友に会はん春塵かぶる駅のポスト/桜井博道
年の夜やポストの口のあたたかし/宮坂静生
薇を干すところ過ぎポストあり/加倉井秋を
ポスト開函四月の雪は何の意ぞ/磯貝碧蹄館
春の夜の船のポストを尋めあてぬ/横山白虹
街路樹にくくれるポスト出水跡/五十嵐播水
賀状投函村のポストをひびかせて/渡辺柳風
逆しまにポストをのぞく枯蟷螂/尾沼チヨ子
昨日見し山のポストを霧に探す/馬場移公子
ポストまで百歩ばかりのそぞろ寒/竹内しげ
雁木みち潜るポストに逢はんため/古賀光利
雷過ぎてポストの口はあたたかし/川崎展宏
海水着着てポストがあるので曲る/加倉井秋を
俳句例:81句目~
ポスト一つ雪かきわけし底に立つ/永田耕一郎
春の日やポストのペンキ地まで塗る/山口誓子
男は他郷の赤いポストにあこがれる/大西泰世
山のポストに甚平の子が背伸びして/中村明子
避暑便り今日まだポストにあるだらう/森田峠
夜のポストつぎつぎ谺が投函される/佐孝石画
ポストまで夜更け螢を見に出づる/上野さち子
ポストまで今年はじめて外にでて/永田耕一郎
ポストまで無月の下駄を鳴らしけり/ト部純栄
馬柵に結ふ白きポストや小鳥来る/小路智壽子
夜霧重し口あくポストが眼を閉ぢて/磯貝碧蹄館
温泉の町のはづれのポスト木の実降る/原田青児
鳩の巣のごときポストを菊に立て/阿部みどり女
友の地図のポストまだ見ず薔薇の垣/中戸川朝人
汗かいて歩めり常にポストは赤/奥坂まや「縄文」
金が送れない手紙もちポストをさがす/栗林一石路
メーデーにはポストとともに佇つ他なし/加倉井秋を
ここのポストの親しくなりし緑したたる/栗林一石路
あるといはれたポストゐた落葉ためてゐた/栗林一石路
連翹や塗られて手紙待つポスト/原月舟、長谷川零餘子編