牛乳に関連した俳句の例をまとめました。
牛乳を含む俳句例
新聞に遅る牛乳獺祭忌/高萩篠生
牛乳に雨意あり父を仇に母/金子晉
夏痩や牛乳に飽て粥薄し/正岡子規
朝顔に牛乳飲めぬ女かな/久米正雄
牛乳の泡泡を押す夏の朝/高澤良一
西行忌旅の牛乳淋しめば/攝津幸彦
牛乳を胸にこぼせり豆の花/後藤章
朝寒の大き足音牛乳来る/沢木欣一
初雪に白き牛乳瓶置かる/齋藤愼爾
牛乳に薄き膜張る冬の朝/酒井直子
手絞りの牛乳温し月見草/猪口義雄
牛乳を一気に飲みて雲の峰/和田子
教材の牛乳パセリ夏料理/大西ヒロコ
その朝の猫に牛乳原爆忌/鳥居おさむ
秋の牛乳房のほかは漆黒に/中島斌雄
春の牛乳おはよう牧の雪嶺よ/有働亨
春暁の木の股に置く牛乳壜/安東次男
湯上りの牛乳昼の雪見つゝ/高澤良一
牛乳が来てゐる春の土匂ふ/金田咲子
朝靄に梅は牛乳より濃かりけり/茅舎
俳句例:21句目~
別海は無医牛乳を雪に置き/古舘曹人
牛乳に血の味がして烏頭/和田耕三郎
吹いて飲む牛乳に膜春の雪/川崎展宏
夜霧来てしろき牛乳飲む一息に/湘子
奏できし牛乳一本露の戸口/桜井博道
牛乳を飲む六月の雲をのむ/木村ふく
牛乳壜微塵に破れ寒波来/一力多美子
牛乳屋ことと音しぬ霧の門/田村了咲
牛乳罐白樺におき霧に消ゆ/小池文子
母に先づ牛乳沸かす春の雪/蒲沢康利
啓蟄や牛乳ごくと飲みたるよ/如月真菜
牛乳の膜こそ永久に不滅なれ/攝津幸彦
牛乳搾る香に迷い出て秋の蛇/中島斌雄
はる~と牛乳配り来ぬ露の宿/増田龍雨
牛乳の膜貌鳥の鳴いてきし/進藤三千代
露霜の縁に牛乳壜おきゆきぬ/田中冬二
牛乳の噴きこぼれをり冬木立/長谷川櫂
牛乳を呼ぶ夜霧の駅は軽井沢/川端茅舎
鳩ら青き冬あかつきの牛乳車/成田千空
寒く潔き少年の日の牛乳配り/成田千空
俳句例:41句目~
露の灯の陽とさしかはる牛乳店/桂信子
牛乳を飲む万緑に負けぬやう/辻美奈子
雪降り来牛乳とレモン睡る窓/小池文子
愛撫のやうに牛乳流す朝の駅/攝津幸彦
新聞と牛乳が届きて避暑の宿/坊城中子
道北の四つ葉牛乳ひいやりと/高澤良一
牛乳来るいつのまか蝉絶えし空/中拓夫
皮となる牛乳のおもてや朝ぐもり/草城
牛乳配る児の懐や雲雀の子/石島雉子郎
梢に巣凾幹に末子の牛乳凾/中村草田男
桐高く咲きくりくりの牛乳屋/宮坂静生
爽やかや口笛吹きて牛乳搾る/山口牧村
残雪や濃い牛乳は噛んで飲む/勝海信子
牛乳を冷すヒユツテの鯉生簀/大島民郎
霧を来て言葉規しき牛乳くばり/下村槐太
つばくらめ牛乳の重さに秤伸び/羽部洞然
野に初日膝へたばしる牛乳搾る/小原啄葉
ビール好き牛乳嫌ひ賞められず/高木晴子
原生林に入る牛乳に循環され/八木三日女
山国の冬は来にけり牛乳を飲む/高浜虚子
俳句例:61句目~
柳散る牛乳すこしあたためて/牧瀬蝉之助
氷河見てはじめの牛乳を温めよ/古舘曹人
牛乳をあたためてゐる良夜かな/岡田史乃
朝露に濡れて置かれし牛乳の壜/吉屋信子
牛乳を飲ませてあげる春の鳥/渡辺誠一郎
牛乳のむ花の雪嶺のつづきにて/細見綾子
牛乳煮るやラヂオの小鳥朝焼に/石橋秀野
牛乳罐背負ひ盆花を手にさげて/清崎敏郎
牛乳袋しづめる門の雪あらた/金尾梅の門
短夜の地に跼みつつ牛乳をのむ/宮武寒々
蛍死んで牛乳びんとなりにけり/五島高資
豆の色底へ濃くなる牛乳うまし/林原耒井
牛乳うまし寒の入日の雲染めて/太田鴻村
野の霞濃くなれば牛乳溢れけり/林原耒井
白波に菜の花曇り牛乳を呑む/阿部みどり女
牛乳の罐背負ひ盆花を手にさげて/清崎敏郎
牛乳屋ちらと睹し秋暁の閨正し/中村草田男
牛乳の膜すくふ節季の金返らず/小野田兼子
牛乳をよく飲むやうに雪が降る/舛田としこ
牛乳の皺になりゆく雪降る夜/阿部みどり女
俳句例:81句目~
山の晴牛乳青くさき昼寝ざめ/阿部みどり女
アラームは「花から牛乳」雪の朝/出口/誠
風邪声になだめ叱りつ牛乳搾る/成瀬かた子
牛乳を飲む白鳥小舎のあらくれて/古舘曹人
ほととぎす耳もとにあり山の牛乳/柴田白葉女
牛乳わかす冬樹にひかり満つる刻/柴田白葉女
牛乳つめたく午前はいつまでも午前/下村槐太
じいさんは窓から見てます森永牛乳/吉沢敏江
朝ぼらけ林檎咲く家へ牛乳買ひに/松本たかし
醒めて牛乳飲まされてをり手なき如/岩田昌寿
樫の実をパチッと踏んで牛乳来る/加藤すゝむ
急な朝発ち牛乳すこし壜にのこし/鴻巣又四郎
飲み足りて草の香にほふ牛乳なりき/林原耒井
松蝉やオートミールにそゝぐ牛乳/久保田万太郎
机に一本の牛乳が置かれ今日の朝日さす/住宅顕信
牛乳買ふと山坂こえぬ虹の橋/『定本石橋秀野句文集』
それから牛乳屋が星子の五勺瓶を入れに来ている音でわが家の朝/橋本夢道