床几に関連した俳句の例をまとめました。
床几を含む俳句例
下町の鉢物並べ竹牀几/坊城中子
大阪に暗き町あり竹床几/光山是無
馬方と一つ床几の日永哉/正岡子規
玉椿拾うて戻る床几かな/野村泊月
木場堀の夕風に置き竹牀几/浅賀木
雲中の床几となりぬ冷奴/綾部仁喜
海見ゆる桜の中の床几哉/正岡子規
鮓桶をこれへと樹下に床几哉/蕪村
花の雨床几の前を流れそむ/野村泊月
山吹や滝に向つて椅子床几/西山泊雲
湯治場や床几を移す新樹陰/正岡子規
独居る萩の中なる床几かな/野村泊月
琴伝の留守の床几や鉾囃子/細川加賀
石くぼむ床几の跡や苔の花/正岡子規
まぼろしの清々軒と竹牀几/石川桂郎
秋深き床几に置かる煙草盆/石川文子
義仲寺の庭に床几や梅日和/江崎成則
花冷の床几の背中合せかな/細川加賀
一脚の床几に木地師鳥渡る/古舘曹人
落柿舎の二つの床几春の風/高野素十
俳句例:21句目~
劇場の小さき庭の竹牀几/島田みつ子
古床几出して貴船の祭宿/中村七三郎
四斗樽を床几に花の木陰哉/正岡子規
行春の床几離れて水辺かな/野村泊月
軒涼み尼の師弟の牀几かな/安田孔甫
雨だれのうちの床几や桜餅/野村泊月
壺焼や海見て憩ふ茶屋床几/松藤夏山
青麦に床几立てたる写生哉/正岡子規
順々に牀几を起ちて秋の風/富田巨鹿
島の鞆の波止場の床几かな/皆吉爽雨
毛氈をかけし床几や露の中/後藤夜半
鵙日和床机を足して陶を干す/岩城久美
うつむける床几の人や夜の秋/野村泊月
鮓つまむ床几の下は蝉の谿/佐野青陽人
腰かけし牀几斜めであま酒屋/星野立子
竹床几今はもうなき木挽町/久保田次郎
竹牀几師匠小路といふ名あり/中村若沙
涼めとて床几もて来る涼み哉/正岡子規
花人の寒がつて居る床几かな/野村泊月
一力の涼み牀几の土佐太夫/中村さとし
俳句例:41句目~
仰向いて蝙蝠を見る床几かな/野村泊月
地蔵会の果てて露おく縁床几/千賀静子
地蔵会の脚濡れてゐる竹牀几/岡本高明
花暮れて床几に残る茶碗かな/角田竹冷
夕冷ゆる桜の下の床几かな/五十嵐播水
夕焼涼し牀几へ膳を運び出づ/高田蝶衣
花疲れ一つ床几に女同志/阿部みどり女
女五人に床几狭さや草の餅/飯島みさ子
寺茶屋の床几炬燵に片手入れ/西本一都
床几あり滴りを目の前にして/高浜年尾
床几にて僧が食べゐる掻き氷/塩川雄三
落し文拾うてかけし牀几かな/稲田都穂
涼風をあびる木の間の床几哉/正岡子規
憩ふべし天の真名井の竹牀几/米山利子
蓮宿の門の床几に著きにけり/野村泊月
行春の床几たゞある茶店かな/野村泊月
新蕎麦や床几のはしに泉鳴り/井沢正江
火祭の御師が門辺の二た牀几/高浜年尾
真桑瓜見かけてやすむ床几哉/正岡子規
路地口や祭床几のはや置かれ/近藤竹窓
俳句例:61句目~
誘ひ立つ涼み床几の舞子たち/後藤夜半
目かくしす柔かき手や竹牀几/青木月斗
無表情とはあきらめか竹牀几/高木晴子
ことごとく滝に向へる床几かな/後藤夜半
この床几吾も休めど遍路のもの/山口誓子
さそひ立つ涼み床几の舞子たち/後藤夜半
晩涼や主婦ら床几を路次に出し/岸風三楼
もてなしの床几一つや梅の丘/五十嵐播水
ゆづられし花の床几の端にあり/後藤夜半
壺焼のたぎるを待つや磯床几/高石/敏子
大火鉢ありし床几や鳰の茶屋/金子せん女
田楽の四人にせまき床几かな/牛田富美子
草枯に宇津の餅屋の床几かな/大須賀乙字
母人へ涼み床几をあけて待つ/波多野爽波
斜めにも置きある梅の床几かな/後藤夜半
日の当る床几をえらび梅見茶屋/山田光子
暗がりの萩の床几をえらびけり/野村泊月
柿の皮を掃きつ床几を置かへつ/正岡子規
桃の日の床几に何も落ちてこず/田中裕明
空いてゐし床几にかけぬ花疲れ/後藤夜半
俳句例:81句目~
遍路の荷おろす床几に花の塵/深川正一郎
竹牀几出しあるまゝ掛けるまゝ/高浜虚子
立てかけし床几に雨の落花かな/野村泊月
ほどほどの床几しつらへ梅見茶屋/三宅豎子
忌あけの涼み床几を出しにけり/五十嵐播水
掛茶屋の屋根に床几に落葉して/田中松陽子
梅の茶屋床几つらねて客見えず/金子せん女
訪ふたびの常座や尼寺の竹床几/木村日出夫
牀几より落ちんばかりに外寝かな/下村非文
湯豆腐の湯気ちぎれとぶ床几かな/舘野翔鶴
渡御筋の床几のはしを借りにけり/野村泊月
肩こりぬ花の床几に静まれば/阿部みどり女
紅葉見え瀧見える茶屋の床几かな/正岡子規
床几の下へ掃きこまれたる落葉かな/西山泊雲
秋の蚊に床几うごかす西日かな/長谷川かな女
身じろげば何處かきしみて竹床几/松田トシ子
父も竹牀几もなくてはや久し/神尾季羊「日向」
氷水牀几にくづす褄がしら/『定本石橋秀野句文集』