漁火に関連した俳句の例をまとめました。
漁火を含む俳句例
蜜柑島夜は漁火もて囲む/三好曲
白の漁火となん雪の中/鈴木花蓑
漁火や函館山は星月夜/古澤活水
漁火は冬の祭の夜店の灯/中拓夫
漁火に通ひて峯の燈籠かな/支考
漁火の遠くにありて秋深む/晴風
夜の秋汝が横顔と漁火と/幸田充子
鰆村いねて沖には鰆漁火/秋光泉児
漁火の遠き沖あり避寒宿/勝谷茂子
漁火の三つがかなし千鳥城/岸田稚
島に覚め秋暁残る漁火とあり/林翔
漁火や岬の山は冬を待つ/小鳥幸男
漁火も蜃気楼も見有磯海/久家希世
漁火に似て庄内の梅雨灯/橋本榮治
風除や虚空と海と漁火と/松崎靖弘
長き夜の漁火一つ湖の上/宮坂てる
島人に漁火あかき夜の秋/荒川あつし
獺祭忌漁火ひとつ明るくて/千田一路
真野湾に漁火一つ夏ちかし/古川京子
新涼の漁火に風あるらしき/西村和子
俳句例:21句目~
神代より対馬の月よ漁火よ/岡本麻子
襟巻や早や漁火は沖に満つ/中村汀女
銀漢へ地は漁火をもて応ふ/加藤耕子
海胆汁や漁火うるむ塩屋崎/古市枯声
漁火のある刻うすき秋の闇/中田勘一
漁火のちかぢかとある年忘/勢力海平
一聯の漁火つらぬける夜の新樹/蓼汀
久々や旅の端居も漁火も/石井とし夫
漁火のぽつんと野分あとの海/長田等
漁火の中に暗き火寒に入る/伊藤京子
漁火の沖につながる天の川/別府雅美
冬闇の広袤漁火と汀白のみ/香西照雄
漁火の消え/葱畑から声が/大西敏子
漁火の焦がせる真夜の鰯雲/松本美簾
天の川漁火沖にふえてきし/丸山/久
漁火や胸先ひたす秋の闇/徳田千鶴子
漁火をはなれ黒雁浮寝かな/佐藤宣子
漁火すでに遠いひびきや麻畑/伊藤淳子
漁火の灯る夜長は沖にあり/池内たけし
いさり火の果や津軽の流れ星/岡澤康司
俳句例:41句目~
漁火をあふひが隠す避暑の宿/松藤夏山
いさり火も遠ざかる沖の夜寒哉/諸九尼
いさり火や月を離れし沖の隅/正岡子規
田草取沖に漁火ともるまで/杉田久美子
漁火やあまりに高く五月闇/楠目橙黄子
漁火の北へ片寄る夜長かな/鈴木真砂女
烏賊釣りの漁火鬼の目ん玉大/高澤良一
仲秋や漁火は月より遠くして/山口誓子
佐渡の灯も漁火も消え天の川/桑田明子
冬深し海も夜毎のいさり火も/八木絵馬
漁火をときをり消して雪しまく/林民子
沖は漁火降る雨の灯に崖もみぢ/及川貞
宵闇に漁火鶴翼の陣を張り/松本たかし
漁火よりも星座が近し冷し酒/冨山青沂
漁火も虎が雨夜となりにけり/籾山柑子
新涼の沖に漁火濡れて点く/桜井まゆみ
星飛んで漁火一つなかりけり/玉川鴦鳴
暗き夜や伊豆の山火と漁火と/鈴木花蓑
暗き夜や伊豆の山火を漁火と/鈴木花蓑
沖遠き漁火に梅雨上りけり/金尾梅の門
俳句例:61句目~
漁火に飛び入りせんと星流れ/松岡悦子
漁火の間近におぼろ誓子の忌/千田一路
消えがてに漁火ちら~と夕霞/鈴木花蓑
秋風の漁火いつまでも一つ/高橋謙次郎
籾を焼く火か漁火か羽前羽後/秋沢/猛
村雨に漁火消ゆるあら涼し/大須賀乙字
闇涼し漁火島の灯より混み/石井とし夫
月見草沖は漁火かざりそめ/徳永山冬子
漁火のひときは明き秋思かな/鈴木真砂女
漁火を以て裏の牆とすちちろ虫/下村槐太
烏賊釣りの漁火遠くよされ節/櫛田と志子
病むひとに冬もや漁火を隠すなり/及川貞
かや風や漁火の明滅思ひ寝る/金尾梅の門
平鰤の黄線躍る漁火の底/ひらきたはじむ
茅の輪くぐりて漁火の海に立つ/古賀昭子
漁火の置きたるごとく花の上/五十嵐播水
漁火に向き浜木綿は海女の花/神尾久美子
水天に無月の漁火のありやなし/亀井糸游
漁火が遠いよ稲の咲くころは/今井杏太郎
いさり火の消えて音ありむら千鳥/正岡子規
俳句例:81句目~
いさり火の一つ目を射る月の海/今井つる女
漁火の座のゆうべとおなじ秋の潮/内藤吐天
稲城よりあまた震へる漁火の見ゆ/西村公鳳
漁火の陣ほどきつつ/夜明けの蝉/平井幸子
漁火の月下にあるはあはれなり/五十嵐播水
いさり火を横にながめたる夜寒哉/正岡子規
漁火布陣避寒地の灯にうちつづき/皆吉爽雨
峯の鹿高瀬の漁火に鳴きにけり/廣江八重櫻
いみじくも漁火の夜景や避暑の宿/鈴木花蓑
飼屋の灯漁火よりもくらかりき/五十嵐播水
氷見川の河港焦がすは鰤の漁火/黒田桜の園
半夏生北は漁火あかりして/千田一路「波状」
よべの漁火飛び来しごとく凌霄花/猿橋統流子
喜雨の中しづかに漁火をつゞりけり/佐野まもる
漁火の真昼に照るやちやつきらこ/長谷部千代子
いさり火や鵜飼がのちの地獄の火/貞徳「山の井」