寝かすに関連した俳句の例をまとめました。
寝かすを含む俳句例
山姥の杖寝かせある冬苺/富岡廣志
煤払ひ畳に仏寝かせあり/阿部静雄
葡萄山長き短き房寝かす/三好潤子
山中や泉を寝かせ涅槃雪/村越化石
一燭が尽き盆の妣寝かしけり/蔦悦子
管楽器寝かす五月の海の上/河合凱夫
分身の杖を寝かせて花の宴/松宮/昭
菜の窪の苺を寝かす患者食/石川桂郎
春の草測量棒を寝かせけり/井上弘美
寝かさば石立たさば仏夏蓬/篠崎圭介
月雪や旅寝かさねて年一夜/加舎白雄
秋耕の鍬寝かし置く木の根方/北村保
種薯を土に寝かせて祭くる/石工冬青
笛吹いて神を寝かさぬ雪祭/稲垣陶石
いち枚に夕日寝かせて柿落葉/吉田鴻司
三尺の藤房を掌に寝かせみる/伊藤敬子
ころ柿を寝かす新藁切り揃へ/佐藤良生
すぐ転ぶ紙雛なり寝かせおく/内田美紗
猫は尾を雀隠れに寝かせたる/鈴木鷹夫
もう一度福笑して寝かさるる/河野美奇
俳句例:21句目~
空席に破魔矢を寝かせ湖西線/鈴木鷹夫
出開帳寝かせて運ぶ芭蕉さま/森きよし
六月のピザ生地寝かす雨の昼/高澤良一
初話因幡の兎で寝かすかな/長瀬ナヲ子
棹寝かせ客待つ舟や行々子/加瀬ゆきえ
残雪を寝かしたるまま耕さず/茨木和生
糠床に寝かしつけたる初茄子/宮原つね
網棚に寝かせ高野の女郎花/猿橋統流子
蓬莱に寝かされてをり年を待つ/森澄雄
蒟蒻を蚕棚に寝かす山日和/馬場移公子
子寝かせし手足をひらき夜泳ぐ/中山純子
三年を寝かす定めの味噌仕込む/内田恒楓
上総には豆造を寝かす闇がある/武田和郎
九官鳥早く寝かして土筆煮て/平井さち子
冬に入る誰の寝かせある土間も/菖蒲あや
味噌桶の寝かせ干さるる五月晴/宇野篤子
寝かされて乳飲み児匂ふ冬座敷/塩川祐子
大夕立する廊に子を守り寝かす/上野章子
狐火の母には見えて子を寝かす/太田土男
嬰寝かすやうにたたみぬ花衣/野島美津子
俳句例:41句目~
復原家に赤児寝かせて麦を刈る/宮坂静生
涼しさに寝かねし唄や門の月/小酒井不木
水ひと夜寝かせて置きし雛料理/茨木和生
寒造寝かせておく間の倉の闇/宗像夕野火
嬰を寝かすごとく不作の俵積む/長崎美根
竿灯のはじめ寝かせて進むなり/杉浦典子
板壁や馬の寝かぬる小夜しぐれ/中村史邦
寝かせある根釣の竿を跨ぎけり/田中裕明
稲架かこむぬくき処に子を寝かす/角光雄
木を伐つてそのまま寝かす花の山/樅山尋
自転車も芝生に寝かせ春の雲/長谷川久子
良き土に淑き女寝かす真昼かな/金子兜太
花の雲櫂は寝かせしままにせよ/田部谷紫
萩くくり地震に備へて墓寝かす/西本一都
わが梅雨の臍を水平に寝かしやる/森澄雄
繭玉の下に赤児を寝かせ置く/野崎ゆり香
虫の夜の手足寝かせて耳覚むる/菖蒲あや
野遊や赤子は草に寝かされて/坂本香寿子
門番のひとり寝かねるあつさ哉/正岡子規
青芝に自転車寝かせおく恋よ/正木ゆう子
俳句例:61句目~
頭澄む子なれ虫音に寝かされて/大熊輝一
鰰の寿司寝かせをり男鹿海女/阿部月山子
洗ひたる独活寝かしたる目笊かな/石川桂郎
種案山子きのふも畦に寝かされて/関森勝夫
春一夜寝かして稿のふくらみぬ/肥田埜勝美
けふの月人を寐かして晴れにけり/正岡子規
ねんごろな枯金ペンを寝かし置く/丸山嵐人
鳥雲に赤子ごろんと寝かされて/桜田とく子
万緑のトロッコ列車児を寝かす/日永田義治
蚊遣して子を寝かせては燈下の母/鈴木栄子
子を寝かせ来て踊るなり石鏡海女/小島飽石
寝かせある琴柱をさます小春かな/柴田雪路
青竹の寝かされて待つお水取/美濃部多津子
寝かせたる時計が鳴るよ煤はらひ/加藤松薫
庫裏に子を寝かせ十夜の信徒たり/大杉洋子
リヤカーに赤子寝かせて田螺売る/三沢治子
売れ残る目なきだるまを籠に寝かせ/宮坂静生
朝顔に雨戸すかして二度寝かや/阿部みどり女
寝かされて案山子は手足もてあます/濱田桐花
もう少し寝かせてくれと今朝の秋/井上ルリ子
俳句例:81句目~
梨むいてゐるかたはらに児を寝かせ/田中裕明
蓮掘りてしばらく畔に寝かせけり/北見さとる
東京裁判子を寝かしつつ蚊帳にきく/川島彷徨子
冬の灯に子達を追うて寝かしけり/阿部みどり女
芯のみとなりし案山子を納屋に寝かせ/宮坂静生
冷え冷えと抜き身寝かされゐたりけり/永野ヤヨイ
もう寝かして欲しくお前の膝に蛾が落ち/小澤碧童
子を寝かせ緋鯉現るように妻/松本勇二「海程句集」
熟すまま来世紀まで寝かしおく葡萄酒千本そして恋人/松平盟子