旅籠に関連した俳句の例をまとめました。
旅籠を含む俳句例
白雨に一足はやし旅籠町/此筋
馬士や旅籠定めぬ女郎花/調試
春の雨昼間線のなき旅籠/上村占
朝飯に木犀匂ふ旅籠哉/正岡子規
春雨や鏡に向ふ昼旅籠/井上井月
旅籠屋の数多枕や秋夕/松瀬青々
薄蒲團十三錢の旅籠哉/正岡子規
馬の尾に陽炎ちるや昼旅籠/惟然
旅籠屋の行燈暗し桃の虫/正岡子規
用意せし袷出す日や昼旅籠/炭太祇
春雨や旅籠銭もとはで奥座敷/正秀
五代続く旅籠の朝の干鰈/今泉貞鳳
初秋の枕小さき旅籠かな/正岡子規
秋袷木曾の旅籠の主かな/松藤夏山
花冷えや京の旅籠の蕪汁/田中冬二
菊の香や山路の旅籠奇麗也/炭太祇
蛍見や茶屋の旅籠の泊客/浜田酒堂
蜩や旅籠もすなる一軒家/正岡子規
飯遅き旅籠の縁や赤蜻蛉/角田竹冷
旅籠屋の前まだ白し春の雪/正岡子規
俳句例:21句目~
旅籠傘棚番傘一本菜種梅雨/藤岡筑邨
春の禽波浮の港の古旅籠/足立登美子
旅籠屋と言ふべくありぬ夕桜/大串章
旅籠屋の厠に鹿を聞く夜哉/正岡子規
白網旅籠屋ならぶ川添ひに/田中冬二
旅籠屋の淨手場遠き夜寒哉/正岡子規
旅籠屋に春の夕の仮寝かな/正岡子規
種芋や旅籠の急な梯子段/大峯あきら
柿くふて腹痛み出す旅籠哉/正岡子規
霧雨や旅籠古りたる山境ひ/飯田蛇笏
鹿聞て淋しき奈良の旅籠哉/正岡子規
大勢のさゝめく春の旅籠哉/正岡子規
藪村に旅籠屋もなき夜寒哉/正岡子規
大勢のとよめく春の旅籠哉/正岡子規
奈良の旅籠の飯に太刀塩辛き/滝春一
野分してやがて旅籠の時計かな/達治
銭なくて恋する春の旅籠哉/正岡子規
風花に馬を繋ぎて旅籠なる/清崎敏郎
奥祖谷の旅籠炉端の薬喰ひ/日守むめ
旅籠減る伝馬町筋えびす講/本宮鼎三
俳句例:41句目~
旅籠屋や山見る窓の釣干菜/正岡子規
鵙のこゑ旅籠の障子歪みたる/瀧春一
旅籠屋の門を出づれば春の雨/正岡子規
旅籠屋の飯くふそばに蚊遣哉/正岡子規
旅籠屋や霧晴て窓に不二近し/正岡子規
旅籠屋や霧晴れて窓に山近し/正岡子規
春の夜の鈍子に寝たる旅籠哉/正岡子規
木曾川に沿へる旅籠の夜の秋/田中冬二
海棠や旅籠の名さへ元酒屋/水原秋櫻子
為替まつ旅籠の灯影蟇ゐたり/中島月笠
秋暮るゝ奈良の旅籠や柿の味/正岡子規
ふるさとに旅籠住ひや蜆汁/楠目橙黄子
寒豆腐干し塞ぎたる旅籠かな/松藤夏山
寒豆腐干場はさみて旅籠かな/松藤夏山
屋島なる旅籠の庭の余花白し/斎藤朗笛
島旅籠一景さむく雑を煮る/佐野まもる
旅籠屋にひとり酒のむ秋の暮/正岡子規
旅籠屋に夕餉待つ間の暮遅し/正岡子規
旅籠屋に投げ出す足や蚋の跡/正岡子規
旅籠屋に浴衣のそろふ廊下哉/正岡子規
俳句例:61句目~
誘蛾燈見えて旅籠の欄による/西山泊雲
旅籠屋に飯くふそばの蚊遣哉/正岡子規
旅籠屋のよき灯に泊る柳かな/小杉余子
長閑さや鯛を見込みの昼旅籠/井上井月
門前の古き旅籠や竹の秋/中村吉右衛門
露さむし山の旅籠の終ひ風呂/田中冬二
鞍形の青嶺をそこに木曾旅籠/荒井正隆
旅籠屋の夕くれなゐにつゝじかな/蓼太
旅籠屋の客のおどりや置火燵/水田正秀
旅籠屋の居風呂ぬるき夜寒哉/正岡子規
旅籠屋の我につれなき寒さ哉/正岡子規
旅籠屋の戸口で脱げば笠の露/正岡子規
鶯や鳥居の内の旅籠町/吉武月二郎句集
菊いけて荷物ちらはる旅籠哉/正岡子規
猫の子の膳に随き来る旅籠かな/松藤夏山
みちのくの旅籠屋さびて巨燵哉/正岡子規
含み吐く旅籠の水や半夏生/長谷川かな女
四五枚の浴衣を干して旅籠らし/清崎敏郎
須磨涼しどの旅籠屋に宿とらん/正岡子規
縁先から豆作つて旅籠もする/栗林一石路
俳句例:81句目~
餅買ひにやりけり春の伊勢旅籠/正岡子規
よべ着きし紅葉の谷の旅籠かな/尾崎迷堂
柿に思ふ奈良の旅籠の下女の顔/正岡子規
浴衣白く蔵の旅籠に泊り合ふ/百合山羽公
みせばややむかし旅籠の総二階/小宮山政子
かきたてゝ炭火へりゆく旅籠の夜/河野扶美
古里の旅籠に泊る展墓かな/吉武月二郎句集
不知火の燃えてさびるる旅籠かな/本郷昭雄
旅籠屋の蚊帳に夜明けて須磨の海/正岡子規
来て見れば旅籠の庭もしぐれけり/室生犀星
旅籠出る一路に壬生の念仏かな/松根東洋城
旅籠あんどん据ゑ惜春の跡継女/鍵和田ゆう子