恋人に関連した俳句の例をまとめました。
恋人を含む俳句例
立冬や体温高き恋人よ/三池泉
兄以上恋人未満掻氷/黛まどか
恋人のいつか後に立て居る/山店
春水の影も手を組む恋人ら/林翔
恋人に近づく冬の象の鼻/皆吉司
恋人と書院に語る雪解かな/泉鏡花
恋人をかくした芒かれにけり/一茶
成人の日は恋人の恋人と/如月真菜
妻は恋人一人静の深山口/原子公平
恋人のからだの丘も春の暮/正岡豊
恋人のスミレは只に菫色/攝津幸彦
白芙蓉今日一日は恋人で/宮田朗風
空中に虻とどまれり恋人来/小澤實
麦秋の耳に陰もち恋人よ/久保純夫
三歳に恋人がゐて水遊び/都築智子
恋人の肌覗きけり二日灸/川合仙子
恋人の舌重き満水の禁猟区/安西篤
その日より恋人の消え鎌鼬/窪田英治
綿虫を見ずや森ゆく恋人ら/堀口星眠
春の雪吾子の恋人餉に加へ/田中純子
俳句例:21句目~
恋人も仮眠の蝶も指で突く/新庄佳以
恋人と別の水汲む夕ぐれは/久保純夫
恋人は飛のような靴で来る/瀬間陽子
恋人よ椿の落ちる湖がある/柿本多映
恋人の乳守出来ぬ御田うヘ/井原西鶴
一掬の水をダリアに恋人に/小林貴子
働いてきて恋人ら薔薇公園/和知喜八
初電車子の恋人と乗り合はす/安住敦
恋人の大きな臍を守りけり/岡田秀則
古き古き恋人に逢ふ春の夢/草村素子
恋人へ小さな滝を与えたり/鳴戸奈菜
恋人の踊りの帯を直しやる/伊藤通明
鴨濡れて恋人の傘細かりし/瀬間陽子
雑喉ねせし其の恋人のよぶ声か/蝶夢
恋人よ雪が時間が降りつもる/鳴戸奈菜
恋人よ電信柱はしづかに晴れ/桑原三郎
恋人よ鴨の頭をさげてゆく/宇多喜代子
恋人よ麦分け行けば岸がある/安井浩司
恋人はアネモネに似て喘ぐかな/三池泉
火を噴くは檜の墓標恋人よ/鈴木六林男
俳句例:41句目~
秋風や背に恋人のうすあぶら/江里昭彦
恋人も海市も待つは幸ならむ/橋本榮治
薄紅葉恋人ならば烏帽子で来/三橋鷹女
恋人が去り部屋中に恋そだつ/高柳重信
恋人となるにふたとせ薄紅葉/満田春日
恋人とひとり間ををく踊りかな/清水浩
恋人のああ何の瞳ぞ薔薇映し/高柳重信
恋人の肌はつかしきひるね哉/正岡子規
恋人はめんどうな人さくらんぼ/畑耕一
恋人よ有る時をこそ木賊立つ/安井浩司
恋人を待たせて拾ふ木の実かな/黛まどか
シャガールの恋人たちの冬木立/石原八束
シャガールの月恋人に夜が白む/橋本榮治
泪羅の淵に夕べ逢いたる恋人よ/寺井谷子
老いてゆく恋人よ葡萄棚の下/今井杏太郎
右側に恋人の居る冬景色/ともたけりつ子
折りたたむ音楽隙間に恋人たち/伊丹公子
抹香くぢらの裏から帰る恋人よ/攝津幸彦
恋人の顔して待てりさくらどき/柴田奈美
恋人は見ざりしといふ流れ星/遠藤若狭男
俳句例:61句目~
恋人や額にあおい木がしげり/津沢マサ子
水の流れる方へ道凍て恋人よ/鈴木六林男
恋人も枯木も抱いて揺さぶりぬ/対馬康子
恋人と骨のかけらを取り換える/中田美子
椿いくつも嗅ぐ恋人のなき旅は/宮坂静生
恋人はおいてけぼりや鱒を釣る/如月真菜
犬掻きよ十年後の恋人よ/土肥幸弘「梟夢」
デモすすむ恋人たちは落葉に佇ち/宮坂静生
ポプラ並木枯葉と踊る恋人たち/千葉ちひろ
月はまだレモンのかたち恋人たち/川崎展宏
猫の恋人目なんぞにおかまいなく/高澤良一
恋人を待つマフラーをゆるく巻き/柴原保佳
恋人たち言葉ヨットのように過ぎ/前川弘明
落日はげしくて黙る廃礦村の恋人/伊丹公子
鳰見てゐるは母子その他は恋人達/鈴木栄子
恋人たちにレモン月夜の飛行船/草薙朱砂郎
恋人たちに海猫はふと沖の絵の具/吉田透思朗
フリージア子に恋人のできたるらし/宇咲冬男
わが恋人涼しチョークの粉がこぼれ/友岡子郷
恋人奪いの旅だ/菜の花/菜の花/海/坪内稔典
俳句例:81句目~
千万年後の恋人ヘダリヤ剪る/三橋鷹女「白骨」
虎の尾を一本持つて恋人来/小林貴子「北斗七星」
透明な温泉壺に沈ませている裸形の恋人も/橋本夢道
熟すまま来世紀まで寝かしおく葡萄酒千本そして恋人/松平盟子
わが指と恋人の指ゆきかへるかたつむり見るだけの夕暮/荻原裕幸