肴に関連した俳句の例をまとめました。
肴を含む俳句例
年くるゝ山里寒し塩肴/成美
夷講やことに難波の肴市/闌更
氷上詣跡の祭の肴舞/井原西鶴
のどけしや港の昼の生肴/荷兮
はつ秋や腮さけ行く生肴/暁台
肴荷の匂ひや急ぐ樗の木/露言
懸乞に皆食はれしか螺肴/梅間
凩や木の葉にくるむ塩肴/一茶
十月の笹の葉青し肴籠/炭太祇
肴屑俎にあり花の宿/高浜虚子
秋立ちぬ酒の肴の薑も/森澄雄
対岸の花を肴に枕流亭/高澤良一
洛中に居るが肴ぞ春の暮/小澤實
雪囲う肴町過ぎ日本海/石川/幸
藪入や覚えの膳に鹽肴/松瀬青々
ひと皿の肴となれや痩蕨/飴山實
江戸桜越後の熊を肴哉/正岡子規
歌か否連歌にあらずにし肴/文鱗
一湾の眺めを肴年忘れ/佐藤鬼房
晝過の町や殘暑の肴賣/正岡子規
俳句例:21句目~
千本に肴屋多し春の雨/西山泊雲
鳶ついと社日の肴領しけり/嘯山
鳥渡る夜空の音を肴とす/飴山實
霜晴や酒も肴も越のもの/小澤實
朝東風や砂まびれなる磯肴/響美
底冷えや伊那のはたごの塩肴/心猿
田作りや田作人の祝き肴/逸見竹石
肴多き海辺の里に夏断哉/正岡子規
肴屋や大久保殿の掛五貫/奥田彩雲
茅舎忌の酒の肴に貝割菜/田島和生
ひえ~と蛸肴あり大石忌/久米三汀
雨脚の青くなるまで肴台/宮坂静生
一はしり行つて見て来る朝肴/山店
人を見ん桜は酒の肴なり/正岡子規
雪の夜や包みの紙の干肴/中川宋淵
冬光忌酒の肴の目刺焼く/加山伍久
君来ませ木具の折敷ににし肴/才麿
韭和へを肴に講の濁り酒/松本竜庵
苦虫を肴に冷酒呷りをり/内田安茂
大君の來ませ御肴水祝ひ/正岡子規
俳句例:41句目~
小春日や松の根方の肴売/西山泊雲
小豆粥鰯肴のせちぶかな/玉越琅々
底に見る鉢の模様や水肴/井上井月
新海苔や肴乏しき精進落/正岡子規
神主の肴さげたり一の午/高浜虚子
月こよひ肴は三五十五文/正岡子規
新涼や尾にも塩ふる焼肴/鈴木真砂女
折々は酢になる菊の肴かな/松尾芭蕉
肴屋の命請負ふ河豚かな/安藤橡面坊
樗佩てわざとめかしや芝肴/服部嵐雪
肴には數の子よけん嫁が君/正岡子規
捨團扇肴の骨にまじりけり/正岡子規
猪口才な孫を肴に今年酒/川田さちえ
玲瓏と病む三日月を肴とし/川崎真彌
抑抑神ノ肴ハ赤子/牡丹雪/夏石番矢
後の月何か肴に湯気のもの/黒柳召波
船頭と月見あかしや肴きれ/高井几董
花の雲酒の肴は酢でころす/瀧/春樹
屋上の風を肴にビール酌む/高澤良一
居酒屋の肴となりし年の豆/富本修志
俳句例:61句目~
かたつぶり酒の肴に這せけり/榎本其角
樗佩びてわざとめかしや芝肴/服部嵐雪
唐辛子焼いて肴にちびちび呑む/滝春一
地酒酌むばっけの佃煮肴とし/高澤良一
火をさつととほす肴や夜の秋/太田寛郎
熱燗の肴は成田ごぼう味噌/鈴木さとる
田つくりや庵の肴も海のもの/正岡子規
ゆづり葉にのせて大和の焼肴/大島民郎
残肴に青き菜のあり帰雁啼く/久米正雄
門違ふ贈り肴も師走かな/菅原師竹句集
残肴に火を通しけり秋の雨/細木芒角星
夕風や酒の肴のところてん/星野麥丘人
さるすべり白し肴を焼く火あり/木村蕪城
つき出しの端にひつそり螺肴/松崎鉄之介
佳肴ありゆふべ真青き額の花/水原秋櫻子
温泉上りに三津の肴のなます哉/正岡子規
あらせいとう佛足石に肴の絵/すずきりつこ
涼しさや腮さげ来る夕肴/暁台「暁台句集」
燈ともして肴の春を惜しみけり/佐々木六戈
へし折て笹うちかけつ夏肴/春蟻「新深川集」
俳句例:81句目~
江の島や傘さしかけし夏肴/巣兆「寂砂子集」
夏の夜やいく原越ゆる水戸肴/一茶「七番日記」
陽炎や雫ながらの肴銭/一茶/文化十一年甲戊
昭和遠し冷しトマトといふ肴/伊藤伊那男「銀漢」
春雨や窓から直ぎる芝肴/一茶/文政元年戊寅
秋霧やあさぢを過る水戸肴/一茶/文化元年甲子
木がらしや木葉にくるむ塩肴/一茶/文化十四年丁丑
ここが一石路の友の安宿、赤ん坊茸蜂の子肴で飲む/橋本夢道
日の出町/今町/殿町/肴町/とほいおもひでのやうにあるけば/中山明