轍に関連した俳句の例をまとめました。
轍を含む俳句例
搬送の轍を深く牧閉す/佐藤愛
麦畑に砲車引込む轍哉/正岡子規
焼砂に深き轍や雲の峯/正岡子規
深轍北へ遡れば終の母/齋藤愼爾
地車の轍の跡や五月雨/正岡子規
一条の轍がつづく寒砂丘/島村正
霰粒石採り場への深轍/右城暮石
茂吉忌や雪の轍を水流れ/中拓夫
墾道の深き轍や秋の蝶/相馬遷子
大枯野雲には雲の深轍/河口俊江
花を待つ苑中にして深轍/北野民夫
菜種散る泥の小道の轍哉/正岡子規
誰が辿る轍の趾や春の雪/稲岡/長
轍くろく雪を抉れり國境/相馬遷子
乙鳥や轍の小つかみゆく/高井几董
乳母車轍わづかに若草野/祇園快太
今朝の秋野への轍の深きこと/月笠
轍中のわれはなり西東忌/佐藤鬼房
朝凪や轍乱るる千里浜/墓田まさこ
市制施き新樹の雨の幾轍/友岡子郷
俳句例:21句目~
凍解けて轍深さよ塀の際/松藤夏山
道芝にあふひ祭の轍かな/五車反古
坂道の轍帯なす花の屑/橋本ふみ子
桑を解く三国旧道瞽女轍/松川洋酔
雪来るか山中に入る深轍/中村明子
轍また深みにはいり夏大根/桂信子
花屑の轍の行方太宰故地/成田千空
濃く淡く轍のながき雪の岸/中田剛
白鳥や空には空の深轍/高野ムツオ
礼拝堂に従ふ深轍も夜涼/宮津昭彦
祭牛轍の音に乗りそめし/江川虹村
日よ月よ千代の轍の初車/上島鬼貫
税重し寒の雨降る轍あと/古沢太穂
あたたかや土に轍の通学路/高橋秀夫
いとけなき霊はや橇の白轍/成田千空
深々と紫雲英の中に轍ある/長谷川櫂
轍乾く最後の水馬を発たせ/宮坂静生
雉子啼き轍くひこむ裾野径/前田普羅
水涸れて轍のあとや冬の川/夏目漱石
厳冬や深き轍に藁を敷き/大岳水一路
俳句例:41句目~
笹鳴きや深き轍の木出し道/石川文子
花屑の犇めき合へる轍あり/高澤良一
寒月に大いに怒る轍あり/秋元不死男
寺深く轍ゆるして芽水仙/平井さち子
氷上のまつしぐらなる轍かな/辻桃子
牧五月草に轍のかすかなる/宮坂静生
打水のあと相咬める轍かな/田中蛇湖
故郷は轍にかかる蝶の翅/小檜山繁子
獄近し冬土痩せしへ深き轍/香西照雄
車前草の花かかげたり深轍/高木良多
轍あと春の渚をひとまはり/細川加賀
轍あと深くかげりぬ誘蛾燈/山口誓子
月見草轍の水のしんと冷え/川崎展宏
轍あと絶えざる門や鳥総松/高濱虚子
杜甫の轍芭蕉草鞋や春終る/中村義郎
梨咲くと轍を重ね砂丘馬車/神尾季羊
水底に轍渡れり山ざくら/中戸川朝人
からぐるま死角の轍かきつばた/仁平勝
冬浜や浪に途切れし轍あと/松本たかし
夕凍みの人去らしめる轍かな/鈴木慶子
俳句例:61句目~
凍天へひとすぢ黒き轍あと/富澤赤黄男
春暁の轍は納屋の奥よりぞ/佐々木六戈
春草に轍のあとの外れてあり/高野素十
深く入り浅く抜けたる雪轍/能村登四郎
深轍われの忌も過ぎ一月も/河原枇杷男
炭竃の路といふなり轍あり/阿波野青畝
秋曇や山路に深き轍あと/阿部みどり女
藁打つ音くぐもり轍深みゆく/成田千空
蛭の池埋め立てられし轍かな/日隈翠香
磯轍噛みし藻よりの昼の虫/中戸川朝人
盆みちに轍の深きところかな/中原道夫
油槽車の二重轍や菜種梅雨/殿村莵絲子
無駄足となりし深さの雪轍/平井さち子
醜草に轍食い入る私記のはじめ/徳弘純
網走へつながる雪の轍かな/後藤比奈夫
冬の轍の中の一つがひき返す/田川飛旅子
埋めころす刈田や轍荒く来て/平井さち子
春泥のふかき轍となり暮るる/金子麒麟草
春灯をりをり野路ともつかぬ轍道/草田男
田じまひの深轍霜あしたにも/中戸川朝人
俳句例:81句目~
砂丘ただ炎ゆ異国の轍のふかく荒く/太穂
朝の郭公砂の轍のまだ崩えず/中村草田男
廻り冴ゆる独楽や絶えざる澪/轍/成田千空
轍より血が噴く死なぬもののため/佐藤鬼房
鬱の日のさき行く轍消すはわたし/米元元作
スノータイヤの轍の文様僧が駆る/平井さち子
轍深く輓き出しけり稲車/宮部寸七翁、吉岡禪寺洞選
水涸れて砂に食ひ入る轍かな/著森遺稿集/貴志著森