見つむに関連した俳句の例をまとめました。
見つむを含む俳句例
友去りて一燈見つむ夜の秋/林翔
春雪を見つめ茨に紅見る日/斎藤玄
祝詞の間蟻を見つむる大祓/高澤良一
押黙り苧殻の焔見つめをり/高澤良一
身辺に禍なく見つむ冬夕焼/西田飄石
一日が了る麦酒の泡見つめ/高澤良一
けふの月天城離るゝ見つむ今/及川貞
六月の竃火の奥見つめをり/飯島晴子
一点を見つめ鉄切る春闘経て/増田達治
押黙る遅日の口を見つめをり/綾部仁喜
新焼酎透し未来を見つめをり/松永良朗
見つめ続け見つめ終らず氷下穴/斎藤玄
枯蟷螂逆さに人を見つめをり/石工冬青
柿若葉淋しき時は火を見つむ/坂本宮尾
白百合や一点見つめ礼拝す/上田日差子
夏桔梗見つむ眼がしんと澄み/高澤良一
暮るる湖見つめ師走の外にあり/柊愁生
黒板といふ黒見つめ受験待つ/櫻井幹郎
登山馬憩へるときは山見つむ/松裏薙世
見つめ居れば明るうなりぬ蝸牛/原石鼎
俳句例:21句目~
宵待草ぱつちり闇に戦見つむ/香西照雄
幼子の高さで見つむ蜻蛉かな/谷口桂子
氷片を見つめ見つめて失いぬ/池田澄子
冷まじく己見つむる一日あり/斎藤道子
初鏡拭ひたしかなもの見つむ/都筑智子
鯛焼となる顛末を見つめをり/須川洋子
荒波を見つめ海女等の懐手/沖崎玻瑠子
古暦穴のあく程見つめをり/広瀬百合子
喪主われを見つむ眼の数寒椿/鈴木鷹夫
船乗のデッキに見つむ陸萌ゆる/下田稔
見つめ待ちをる御来迎遂になく/斎藤幸一
炭火を見つめ亡児の幻に言触りつ/瀧春一
一点を見つむるにはた~が飛ぶ/細見綾子
三人とも麻の服着て見つめ合ふ/飯島晴子
冬は過ぎゆく空壜をただ見つめ/対馬康子
冬夕焼くちびる乾くまで見つむ/鎌倉佐弓
見つむれば虹あらはるる虹の上/相馬遷子
卒業のアルバム未来見つむ瞳よ/山田弘子
愛憎にとほく薄氷見つめをり/つじ加代子
吾亦紅見つむだんだん黒くなる/高澤良一
俳句例:41句目~
遠野火を見つめ寡黙な戦中派/すずき春雪
闇見つめ見つめて躑躅現れぬ/八木林之介
隙間風来し方見つめ直すとき/久保田静子
雛見つむ雛より細き目つきして/高澤良一
炉火見つめ心痛めてをりにけり/山田弘子
森落葉見つむる木菟の眼やあらむ/大野林火
永き夜の地震のときは見つめ合う/池田澄子
燃えあがる送り火見つむただ黙す/安間敏子
猪食ひしあとのくらがり見つめをり/岸田稚
曼珠沙華出て曼珠沙華見つめ合ふ/松山足羽
かがなべて川を見つむる青き川を/細谷源二
かたちなきものを見つむる楸邨忌/森田公司
けぶるまで見つめ菖蒲のかくれ花/手塚美佐
ときに梅雨を見がてに見つめ傅道者/竹中宏
よく働く蟻の時間を見つめをり/猪俣千代子
雪暗の川面を見つめをりしかな/片山由美子
雲のすきばかり見つむるこよひ哉/正岡子規
口応へ出来ぬストーブ見つめをり/西村和子
堕落だなまっすぐ見つめ好きと言う/大西泰世
夕立のこなたばかりを見つめをり/八木林之介
俳句例:61句目~
地を見つめをりまたたくに落葉積む/松村蒼石
蟻見つむわが眷族に富むものなし/成瀬桜桃子
仁王立ちの雀と見つめ合うしばし/田中久美子
どしやぶりの雨の送り火見つめをり/錦織ゆか
かはせみの見つむる水の去年今年/平井さち子
言ひそびれし半句を見つめ霜夜かな/谷口桂子
此の顔や紫苑の花を見つめ居り/長谷川零餘子
梅雨見つめをればうしろに妻も立つ/大野林火
満月をまつすぐ見つめカンツォーネ/吉原文音
火を見つめ酒飲む癖や迢空忌/七田谷まりうす
梅雨見つむ母でありいつ見舞ひても/茂里正治
氷河湖を見つむこころもエメラルド/高澤良一
電報置き鬼灯見つめ居るばかり/長谷川かな女
大干潟われを見つむる眼のあらむ/片山由美子
おのれ見つむ雨は紅葉にそゝぎをり/馬場移公子
大文字をいのちの火とも見つめをり/つじ加代子
紫蘇の実殻丹念に見つめ居て寒き/飛鳥田れい無公
死を見つむる事花を眺める如くあれ/と/折笠美秋
遠き子供の泣きやむまで梨見つめをりし/宮林菫哉
冬火を見つむおそらく死ぬまで見つむる火/細谷源二