野の仏に関連した俳句の例をまとめました。
野の仏を含む俳句例
国東に野仏多し蛇苺/糸井/昭
百仏に一怨の翳野紺菊/金子青銅
野仏の指欠け村の冬構/中井之夫
蝿とんで野仏の顔動きしか/静塔
応仁の野仏ひそと竹落葉/都築澄子
石あれば仏と思ふ野紺菊/吉田健二
野仏に体温のある秋日和/古矢良枝
野仏の空昏れいろに寒卵/久行保徳
野仏の片頬照らす十三夜/山本英昭
竜の玉膝つき拝む野の仏/福島裕峰
野仏や夕雲あそぶ松の涼/河野南畦
芦枯れて野仏の顔枯以上/平畑静塔
野仏の赤き前垂れ山眠る/古田芳子
秋風や膝の高さの野の仏/毛塚静枝
野仏の足元つつむ草紅葉/福嶋照子
仏めく石を見立つる枯野かな/北枝
野薊や朱の痕残す摩崖仏/細井房俊
仏光も花野明りの七ッ山/久米正雄
仏桑花屍いくつ晒せし野/桑田青虎
野仏に遠き一樹も桜かな/増田月苑
俳句例:21句目~
野仏となるぞ花野に長居せば/狩行
露涼しついで詣りの野の仏/荒武蕾
冷まじき仇野の灯よ幾仏/松村和子
あだし野の秋の彼岸の仏道/倉田紘文
綿木や野仏も夜を経たまひぬ/森澄雄
野仏の欠けた鼻鳴る一人旅/南出好史
秋風や石にうすうす野の仏/藤岡筑邨
野仏の合掌に雪舞ふばかり/前川/実
一体の風化仏より枯野なる/豊田都峰
仏めく石を見立る枯野かな/立花北枝
笑ひ仏とて野に笑ひ天高し/大橋敦子
野仏のみんな丸顔九輪草/中川ゆうじ
天竺や小松引く野の仏だち/藤野古白
野仏の蔦紅葉して奈良井宿/黒柳春江
初蝶に逢いて光りし野の仏/九鬼重子
仏見てまた仏見に枯野バス/畠山譲二
野仏へ接骨木芽吹く塩の道/葛西節子
冬に入る野仏の辺に柴束ね/吉野義子
野桑熟れ親指ほどの円空仏/吉田汀史
野紺菊や人は仏に癒されて/佐柳妙子
俳句例:41句目~
大夕焼野仏に血が通ひ出す/立澤菊子
錦木や野仏も夜を経たまひぬ/森澄雄
野仏の胸当て寒き二月かな/上田俊二
負仏に赫ツと日させし花野哉/西山泊雲
逝く春の影やはらかし野の仏/池田雅水
野の仏と語る嵯峨野の雪の声/橋本夢道
野を焼ける火色にはるか仏の灯/井上雪
野仏に供華分けもして墓参り/山田弘子
野仏に添寝がしたし朴落葉/永井喜久司
野仏に菰を巻きゐる小春かな/柴田青水
野仏の指の先まで良夜かな/木庭布佐江
野仏の石となりゐて日脚伸ぶ/渡部幸枝
野仏の糸引くお目や曼珠沙華/野村喜舟
あだし野の仏にこぼす松手入/山田弘子
野仏の蓑あらためて鍬はじめ/尾田青城
あだし野の紅葉散華の仏たち/村中聖火
あだし野の西日げむりの群仏/石原八束
はだれ野に朽ちて簓の仏かな/小原啄葉
野仏の遠目とろりと目借時/土肥原澄子
風光る石を出られぬ野仏に/榎本冬一郎
俳句例:61句目~
みよし野や花の雲居の仏たち/山田弘子
冬ざれや乾ききったる野の仏/高橋重男
野仏をやさしくかすめ秋の風/畠山譲二
春雷やあそび出でたる野の仏/山根和子
燭ひとつ貰ひ良夜の野の仏/猿橋統流子
白鳳の野仏在はす恵方道/長谷川浪々子
磨崖仏見むと枯野に深く入る/宮田正和
仲秋の陽がしみとほる野の仏/加藤青圃
笹鳴や野仏おはすどんづまり/渡邊たけし
まゆ玉の一枝添へたり野の仏/牛山一庭人
仏出てあそぶ花野となりにけり/外川玲子
野仏の一重まぶたに木の実降る/松尾悦子
野仏の前いらむしに螫されをり/加藤楸邨
みかへれば野仏みかへれば秋風/吉野義子
野仏の影かたぶきぬほとけのざ/田辺博充
野仏をいたはるごとき冬日かな/横山嘉子
野仏は口あけたるがよし赤のまま/信童二
野の仏へくそかづらを着飾りて/石田あき子
稲の香にむせぶ仏の野に立てり/水原秋櫻子
なづな咲く野に出て遊べ童子仏/伊藤よしと
俳句例:81句目~
ただ石として灼くるのみ野の仏/千代田葛彦
すぐろ野を越え来し仏かぐろしや/巌谷小波
昏れてなほ花野へひらく仏の瞳/つじ加代子
しどみ野や石くれとなる仏たち/加藤三七子
萌えいづるものの中なる野の仏/高田ときわ