姑に関連した俳句の例をまとめました。
姑を含む俳句例
美しく姑老い給ふ寒蜆/大石悦子
縁あつて舅姑月の家/中村奈津子
姑の鬼もこもれる十夜かな/閑鵞
姑の小包お年玉毛糸玉/黒田杏子
弱き身に姑の情の肩蒲団/荒木奎子
雁や農婦に終へし姑の葬/影島智子
鐘暗し姑蘇城外の夕時雨/藤野古白
早桃を供へて姑のお命日/井上ゆき
冬至粥嫁も姑も若からず/鳥本三紗
姑の顔むつかしき炬燵哉/寺田寅彦
睡足りて姑く蝿と相対す/尾崎紅葉
姑との距離まだ少し毛糸玉/伊藤琴
春水の中の虫螻姑皆可愛/川端茅舎
姑の出たあとぬくき炬燵かな/羊捨
姑の口裂けもせで唐辛子/正岡子規
姑の嫁につれだつ小春哉/正岡子規
姑方は係累多し切山椒/星野麥丘人
どこに姑どこに嫁ゐる袋掛/佃井文子
やかましき姑健なり年の暮/夏目漱石
福壽草姑訪はむ旅おもふ/石田あき子
俳句例:21句目～
姑とゆく色なき風の夫の墓/町田敏子
夏風邪や労り合ひて姑と母/宮原幸子
姑逝きし日数の嵩の春落葉/大石悦子
水餅をなぶる妻の手姑の手/市堀玉宗
母よりも姑に仕へて花菖蒲/渡辺くに
姑より嫁が呆けて老舗の冬/宮坂静生
姑と行く小さき寺の白い萩/植原悠子
姑のくはぬ餅ありよめが君/正岡子規
姑の味鱈と牛蒡の盆用意/福井寿美恵
春愁の姑の用事をまづ先に/稲畑汀子
麦踏の海向くときは姑憎む/田川飛旅子
一間へだてて姑ゐる二月かな/長谷川双
初髪や姑となりても老うまじく/堀恭子
夫がゐて姑がゐて苗よく育つ/影島智子
姑ありて年神様の灯の消えず/影島智子
余寒なを姑の薬を小分けする/佐野笑子
姑の手の冷たかりしを竹の秋/中村昭子
姑の背に付きゐしが吾に草虱/大石悦子
姑やあかゞりの手の恐ろしき/正岡子規
姑曰く谷原は寒く波郷亡し/星野すま子
俳句例:41句目～
薺打つ姑の生涯すこやかに/小池美千子
斗枡の艶姑のものなり年の暮/影島智子
旅に出る敬老の日の姑置きて/稲畑汀子
昨日より姑の無口や寒の雨/小島みどり
栗飯のふつくら炊けて姑迎ふ/百井芳枝
水櫛の目の涼やかに姑おはす/大石悦子
盆燈籠姑の小部屋に姑のこゑ/大石悦子
綿入れの肩に重しと姑老いし/佐藤佳津
迎火を姑は小さく折りて焚く/山田弘子
過去帳に姑の名記す雪夜かな/影島智子
雛飾り姑と呼ばるる日の近し/山田弘子
母よりも姑なつかしき雑煮かな/芦高昭子
姑の声耳朶に残りぬ花ぎぼし/小島千架子
姑が来て切餅の香の二夜ほど/神尾久美子
牛に紛れて姑は分け入る茸山/小泉八重子
白桃にいとど濡れたる姑あはれ/大石悦子
姑なくて灼けしままなる休み石/影島智子
綿入や姑となりたる昨日今日/高橋淡路女
亡き姑の浴衣着て夫に畏れらる/渡部マサ
蓮見舟姑が坐るを見て乗りぬ/蓬田紀枝子
俳句例:61句目～
視野に置く姑のくらしや黄水仙/小柳裕子
姑の部屋廊下のつなぐ夏のれん/稲畑汀子
姑としてつかず離れずアマリリス/小西宏子
茱萸熟れていつしか姑の顔となり/渡辺照子
屏風ともり姑の死顔に手を仕ふ/柴田白葉女
姑逝きていよよひとりに草を刈る/影島智子
鍬だこの姑にもありてあたたかや/影島智子
みなよい姑たちで茹蕗を剥ぐなり/喜谷六花
案山子手を拡げて姑を待つごとし/影島智子
梅酒漬け八十路の姑のたくましき/杉山良子
あたたかく姑の描く絵の花ばかり/八牧美喜子
白足袋や使はず捨てず姑のもの/野見山ひふみ
喪ごころの姑にひそかに黄楊咲きぬ/伊東宏晃
春炉焚かれず嫁も姑もみな死んで/成瀬櫻桃子
不機嫌な姑へ今宵の蚊帳を吊る/黒河内ちとせ
聞き及ぶのみの亡き姑稲妻美し/鍵和田ゆう子
自足袋や使はず捨てず姑のもの/野見山ひふみ
闇の岐路冷ゆるまで佇ち姑へ行く/加藤知世子
いつぽんは姑のためカーネーション/櫂未知子
羊羹を切る力が出て姑はすこやかに/徳田かつみ
俳句例:81句目～
風鈴の音色/姑と嫁のあいだで聞く/横山ミサヲ
今際なる姑を見守りて聞きたりき曇りにひびく海猫の声/沢口芙美
