故人に関連した俳句の例をまとめました。
故人を含む俳句例
秋晴て故人の來る夕哉/正岡子規
童顔の故人も来よや菊根分/上村占
爐開や故人を會すふき膾/正岡子規
門を出て故人に逢ひぬ秋の暮/蕪村
夕方の故人優しや迎春花/池田澄子
梅柳の故人茶に又雪の朝朗/松岡青蘿
繙きし故人の書より枯紅葉/田中冬二
霜月や故人おほかた男なり/鈴木鷹夫
表札も故人のままや露の家/中杉隆世
移り住む家や故人が茎の石/浜田波静
わけもなく故人の話菊根分/星野高士
秋風や故人に朱引く金蘭簿/河野静雲
葬式に来ている故人龍の玉/森田智子
歳晩の雑踏故人まぎれぬる/山口青邨
初時雨故人の像を拝しけり/夏目漱石
四明忌や城北会は皆故人/名和三幹竹
埋火やありし故人の恋の文/小沢碧童
夜の壁に故人の鏡雪や来る/渡邊水巴
故人みなよき顔に冬深し/宇多喜代子
おほかたの故人空しや鳴雪忌/高濱虚子
俳句例:21句目~
虫干に故人の愛でし衣裳あり/片岡我当
豆飯を供へ故人となられたる/高野素十
野ざらしの故人しのべば身は軽し/原裕
雨蛙故人が好きで鳴きにける/岸風三楼
雪舞へる石門になほ故人の名/飯田龍太
パリ西日意中の画家はみな故人/皆吉司
一つ家に故人とふたり秋の暮/中村苑子
元日や故人もわらひ倶会一処/河野静雲
風知草故人はゆめに前のまま/藤田湘子
魂まつり故人桔梗を好みけり/野村喜舟
年迎ふ故人の部屋に灯を点し/中嶋秀子
鳥帰るテレビに故人映りつつ/岸本尚毅
鳥雲に故人の句集世に出づる/橋本鶏二
我を訪ふ故人心ありうら若葉/正岡子規
故人と居る思ひ小春の白障子/村越化石
故人にも十年のとし竹落葉/百合山羽公
故人のみ昃る写真芦は青し/中戸川朝人
故人の書追憶やまぬ冬座敷/堀田みつ子
故人やや遠きはなやぎ絵燈籠/皆吉爽雨
暖かや紙背に透けし故人の句/白石不舎
俳句例:41句目~
若竹や故人しきりに夢に入る/会津八一
枯草の日の中にゐる故人かな/日美清史
紅梅と故人のごとく対しけり/富安風生
母を恋ふ故人の句あり銀杏散る/岸風三楼
逢ひたきは故人ばかりよ秋の風/結城昌治
しぶしぶと秋雨の夜の故人の書/田中冬二
まへうしろ左右も故人ら探梅行/熊谷愛子
緑立つ故人に物を問へとこそ/神尾久美子
冬日向目つむれば臥す故人見え/飯田龍太
故人より借りつぱなしの黴句集/草間時彦
能を見て故人に逢ひし師走かな/高浜虚子
見て過ぐる故人の書屋秋すだれ/亀井糸游
故人多き思ひに仰ぐ秋の山/安斎桜カイ子
故人の間網戸のうちも固く締め/手塚基子
故人との夢ばかり見て梅便り/伊丹三樹彦
新豆腐夕べ故人の唄う聞く/長谷川かな女
悪しき冬来るや故人を装ひて/相生垣瓜人
故人来れり何もてなさん梅の宿/正岡子規
故人思ふや風炉の名残を妻とゐて/原石鼎
雪降りをり夢に故人の向うむき/松村武雄
俳句例:61句目~
秋灯下子ととり出しぬ故人の書/田中冬二
秋風やありし句稿に故人の朱/五十嵐播水
月今宵故人まぶたにうかむや夢/松岡青蘿
秋風や逢ひたきひとはみな故人/結城昌治
炭のにほひす故人爐の端へ来る/中塚一碧樓
ががんぼに偲ぶ故人のありにけり/下村槐太
もの芽出づ故人に逢ひし思ひあり/福田蓼汀
冬河原故人はバスからも降りず/今長谷蘭山
並木座の故人ばかりを観て日永/土橋たかを
故人おもふや風炉の名残を妻と居て/原石鼎
故人住みて煙草懸けたる小家かな/高浜虚子
餌音をふるふ故人職場の籠雲雀/中村草田男
紅梅にホ句に故人はうるはしき/深川正一郎
虫干しの一間故人のものばかり/大場美夜子
虫鳴いて故人は老いることのなし/高木石子
黐の花咲けば故人のことさらに/深見けん二
この日かずの故人をおもふしぐれ哉/加舎白雄
故人の書に出でし抜髪冷えきはむ/中戸川朝人
端居せるほとりみづみづしく故人/赤松ケイ子
湯気立てゝ故人を待てるごとくなり/五十嵐播水
俳句例:81句目~
懸りゐる故人の額や夏座敷/高浜虚子「六百五十句」