遺品に関連した俳句の例をまとめました。
遺品を含む俳句例
数あるはかなし遺品の秋袷/秦夕美
蝿叩遺品のごとく扱へる/高澤良一
遺品みな夜討装束義士祭/木田素子
冷まじや一葉遺品に頭痛薬/館容子
晩涼や遺品の鈴を大切に/村越化石
秋の潮遺品の画帖鋭きまま/長良扶沙
ことの外遺品の中の靴に黴/藤浦昭代
整理まだつかぬ遺品や虫払/神谷荻乃
その中の白衣も遺品熊楠忌/小畑晴子
殉教の血染めの遺品冴返る/桑田青虎
小机の遺品一つや冬座敷/松岡六花女
秋風や友の遺品の中にわれ/岩田昌寿
秋風や遺品とて磧石ひとつ/福田蓼汀
義士祭の遺品に並ぶ呼子笛/和田幸八
一挺の三味も遺品や大石忌/大橋敦子
遺品とや噛みあと粗き箱眼鏡/峰剛夫
遺品寒々なかんづく借用書/鷹羽狩行
冬すみれ遺品の杖の土乾く/仙田洋子
十三夜遺品のザイル壁に影/福田蓼汀
青木の実青し特攻遺品展/鈴木けんじ
俳句例:21句目~
捨て切れぬ遺品の靴の黴拭ふ/高橋豊子
敗戦忌据ゑし遺品のみな鉄塊/小泉小泉
死後晴れて友の遺品の蝶図鑑/杉本雷造
春しぐれ遺品の中のわが手紙/内田美紗
良夜かな机上の遺品正しおり/西脇鈴子
義士館に遺品のつづれ青葉冷/杉山恵子
母と娘と遺品の整理して冬夜/大橋敦子
秋風の荘に古りゆくみな遺品/山田弘子
百年の移民史遺品黴びさせず/恩智景子
原爆の遺品出でくる川ざらへ/朝倉和江
城の冬滅ぼされたる遺品展べ/大橋敦子
夾竹桃遺品に妻のものあらず/吉野義子
月光の暖簾も母の遺品にて/大木あまり
木の実落つ人の遺品を懐に/平本くらら
立秋や遺品剃刀てのひらに/殿村莵絲子
母の遺品曝して眩し飛燕過ぐ/河野南畦
幾つかは遺品とならむ冬帽子/藤田湘子
復活祭聖書は兄の遺品なる/内海よね女
貝殻も遺品のひとつ鳥雲に/片山由美子
遺品とは春愁募るものばかり/藤巻淳子
俳句例:41句目~
遺品分け終へ夕顔の白きかな/影島智子
還り来る遺品のひとつ盆迎ふ/八幡里洋
陶枕も遺品の一つまどろまむ/稲葉百年
父の日や遺品のなかの金釦/遠藤若狭男
小鳥も遺品冬日の椽に影跳ねて/友岡子郷
岩かげにひるね脱衣の遺品めく/品川鈴子
春惜しむ遺品の絵筆軸欠けをり/岩田昌寿
時の日に遺品の時計巻きにけり/大崎七峰
梁掛けに遺品となれり夏帽子/上田五千石
玉葱や遺品の中に芽吹きゐて/立木青葉郎
山茱萸や近衛家遺品寂びにけり/那須乙郎
水澄んですんで遺品の琴の爪/大木あまり
亀鳴くややがて遺品とする小箱/朝日彩湖
これ一つ父の遺品は黒マント/古賀まり子
海鳴りも遺品のひとつ石蕗の花/三森鉄治
梅雨兆す魯迅遺品の黒かうもり/細見綾子
ほほゑみといふ遺品あり十二月/黒田杏子
遺品少なし牧師夫人の五月の死/須佐薫子
キヤラメルの箱も遺品や熊楠忌/西本博子
体臭なきいくさの遺品冷ゆる汗/玉城一香
俳句例:61句目~
霜月や母の遺品に祖父の太刀/野々村/紫
妻の遺品ならざるはなし春星も/右城暮石
鴎外遺品見て出て雁を仰ぎけり/菖蒲あや
遺品そのまま紺朝顔の殖ゆるまま/福田蓼汀
ががんぼの一肢が残り遺品の書/榎本嵯裕好
籐椅子の籐ほつれゐる遺品かな/滝川ふみ子
遺品みな粗なるがいとし一葉忌/竹内万紗子
ゆりかもめ「戦線文庫」遺品なし/攝津幸彦
父が遺品の梨地の時計文化の日/中村草田男
ぼつぼつと遺品の整理日脚伸ぶ/松本つや女
遺品手にしてはつまづき冬支度/新田記之子
祖母よりの父の遺品の褞袍干す/矢口由起枝
遺品あらんかと出水の樹枝くぐり/福田蓼汀
遺品あり岩波文庫『阿部一族』/鈴木六林男
黴させてならぬ遺品のあることを/稲畑汀子
遺品のピッケル黒光りして夏兆す/伊藤よう子
日盛りをゆくふところの遺品かな/鷲谷七菜子
花野ただよふ音は遺品のオルゴール/仙田洋子
つつみあましはためく母情セルも遺品/香西照雄
遺品見る片方のみの登山靴/山岸修「かつらぎ選集」