水漬くに関連した俳句の例をまとめました。
水漬くを含む俳句例
醜松の十一月を水漬ける/齋藤玄
大雨に水漬きし藪や轡虫/福田蓼汀
秋風に水漬く屍と黙祷す/福田蓼汀
雪原の水漬く一線菜現れぬ/原田種茅
葭切や踏み板水漬く舟着場/遠藤英子
剣賜ひ水漬くかばねと卒業す/及川貞
星月夜水漬きし友を憂ひけり/杉本寛
水漬きつつ木賊は青し冬の雨/中村汀女
枯蓮の水漬きゐて水動かざる/加藤水万
青蘆の水漬きゆたかに島泊/落合伊津夫
水漬きつつ梢の花もつ月見草/西本一都
水漬田に田螺が描く古代文字/滝谷/章
水漬く稲陰まで浸し農婦刈る/沢木欣一
河骨の昨日の黄色はや水漬き/谷口和子
行々子いつも水漬きし屍かな/久保純夫
水漬きたる舟の内外の水馬/篠田悌二郎
蓼の花水漬きて涵す露臺石/下村ひろし
水漬きたる草に花あり一遍忌/小川軽舟
葛飾や水漬きながらも早稲の秋/秋櫻子
萩水漬き柳水漬きて棹の邪魔/下村梅子
俳句例:21句目~
水漬くべし汀の藤の花なれば/下村梅子
春田一隅水漬きて海の色宿す/米谷静二
深川は水漬く墓場のとんぼかな/龍岡晋
藻の花の水漬くに底の流れ疾し/横山房子
通ひ路の夕ベ水漬きぬ誘蛾燈/吉岡禅寺洞
はつ夏や中洲に水漬く胡桃の木/藺草慶子
ひたひたと水漬く板橋川とんぼ/逸見嘉子
みちのくは初夏石階の裾水漬き/青木文恵
ヨット解く春の桟橋水漬きつつ/加藤耕子
冷じく紅の水漬きて蕎麦倒る/八木林之介
新しき落葉も水漬きをりにけり/西村和子
枯蓮の水漬きて遠き人ばかり/岩中志げ子
梅固し棺据うるより水漬きそむ/栗生純夫
水漬きたる跡に烏がゐてさびし/後藤昌治
水漬きつつ潮来の冬田空とあり/大野林火
水漬きつゝ新樹の楊真白なり/水原秋櫻子
水漬きゐる桑畠よりも高き水位/栗生純夫
太郎水漬き次郎草生し茄子の馬/川瀬展宏
水漬く木に鉈傷のあり春の暮/宇多喜代子
水漬く霊むせび泣くとも鹿の声/杉山青風
俳句例:41句目~
水漬き稲架け干し室戸岬荒るる/西村公鳳
流し雛水漬きながらも迅かりし/下村梅子
磯採りの胸乳水漬けつ天草海女/石塚友二
秋出水案山子胸まで水漬ける/八牧美喜子
精霊舟ふれゆく草は水漬く草/米沢吾亦紅
紫陽花の下なる花は水漬き花/上田五千石
航涼し水漬かんばかり北斗星/五十嵐播水
舷に水漬く蓮の実かぞへゆく/軽部烏帽子
あぢさゐの水漬けるところ一碧に/皆吉爽雨
水漬く葉に乗つて鷭の子親を待つ/岸本隆雄
種案山子袖の水漬かんばかりなり/鈴木奈つ
水漬き田の水すれすれに蛙の目/黒柳百合子
梅雨水漬く鶏頭の芽を惜しとのみ/小林康治
水漬く樺霧氷の岳と夜明けたり/白澤よし子
葭切や水漬きしままのさつぱ舟/小川斉東語
倒れ穂の皆水漬きゐる刈らぬかや/石塚友二
乱れつゝ水漬けるさまに真菰枯れ/高濱年尾
蝌蚪ひとつ水漬く楊を越ゆるなり/芝不器男
額の花水漬くにも似て情死浮く/文挟夫佐恵
走り梅雨半ドン釣師水漬きつつ/平井さち子
俳句例:61句目~
激流へ倒木水漬きたるまま芽吹き/福田蓼汀
野いばらの水漬く小雨や四手網/水原秋桜子
雲雀野のにはかに傾斜して水漬く/古館曹人
ひつじ田の水漬きて神に近くあり/波多野爽波
田を植ゑて日本は水漬くばかりなる/高橋沐石
水漬きたる稲を刈らんとする日かな/中村汀女
子等の手に水漬く蓮の実深ければ/軽部烏帽子
ゆく舟に水漬きし蓮のうかばざる/軽部烏帽子
千屈菜の水漬きて咲くは濃かりけり/坂/泰子
みづうみの舟の津水漬くさくらかな/友岡子郷
蝌蚪縋るものに水漬ける馬酔木かな/高橋馬相
水漬く私を妹らみつけるたちまち景色/阿部完市
木場の冬水漬くものより昏れそむる/文挟夫佐恵
カナカナカナ指冷ゆるまで水漬くかな/安斎郁子
かけ稲の水漬くと真夜をたちいでゝ/軽部烏帽子
うすら氷を押せばたちまち水漬きたり/沢木欣一